2017年6月13日火曜日

西根遺跡 特大加曽利B式土器接合片分布分析 まとめ

この記事は西根遺跡特大加曽利B式土器接合片分布分析の最終回でまとめをします。

1 第4集中地点
第4集中地点の特大加曽利B式土器の配置は次の通りです。

特大加曽利B式土器(最大径45㎝以上)の分布 第4集中地点
画像は発掘調査報告書「印西市西根遺跡」から引用

これらの土器は接合片の分布から次の2グループに分けることができます。

1-1 接合片が本体付近に分布するもの

10C08 粗 壺A3

10C09 粗 壺A3

10C18 粗 深鉢B2a

これらの土器は他の複数の土器を運んできて、それらを近くに配置したことが推察できます。
複数の土器を運んできた時、破片が入り混じったのだと推測します。

1-2 接合片が本体付近から離れて各所に分布するもの

10C17 粗 壺A3

10C19 粗 深鉢B2a

2つの土器ともに南方向の小グリッドから接合片が出土しています。
接合片が出土する場所は本体土器と一緒に運んできた別土器を配置した場所であると推測しますので、2つの土器ともに南方向から運んできたことが推測できます。

2 考察
「10C17 粗 壺A3」を例に取れば次のように運ばれてきたと推測することができます。

接続片出土場所から推定する土器揚陸場所と運搬経路
「10C17 粗 壺A3」

置いた場所の直近流路からではなく、その下流から置いた場所に移動させたことの意味は、直近流路場所が既に舟がつけない環境にあったからであると考えます。
廃絶ミナトの祭祀であるからその場所(廃絶ミナト=直近流路)で土器を揚陸できないことは当然のことになります。

3 まとめ
第1集中地点~第4集中地点の特大加曽利B式土器接合片分布分析から次の情報をくみとることができたと考えます。

a 土器は破片を含んだ機能喪失状態で持ち込まれたらしいこと。
b 土器は複数一緒に運ばれ、各所に次々に置いていった場合と、近接する場所に集中しておいた場合があったらしいこと。
c 土器は置きたい場所の下流で舟からおろし、その場(流路内)で置いたものもあるが大半は揚陸して陸域を運搬して配置したらしい。
d 土器を置きたい場所の直近流路で揚陸していないことは、直近流路が廃絶ミナトであり、その場所に既に舟が近づけなかったことを示しているらしいこと。
e 土器を置きたい場所とは廃絶ミナトの広場であったらしいこと。

このうち「c、d、e」のイメージを図化すると次のようになります。

廃絶ミナトに機能喪失土器を運び込む活動のイメージ

 

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