2018年2月10日土曜日

貝塚円環形状と竪穴住居分布の関係

大膳野南貝塚後期集落の出土物による竪穴住居検討 20

竪穴住居を漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居に区分して出土物等を考察するとその違いが際立ち、集落の様々な特性把握に役立ってきました。
しかし、漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居の違いが判りそうで判っていないので、その疑問解消に向けた検討をします。
この記事で疑問が解けたわけではないのですが、検討の糸口は見つけたのかもしれません。

1 貝層と竪穴住居の分布

検討図 1
竪穴住居を漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居に区分して貝層分布と一緒に示した地図です。なんとなく円環状の構造になっていますが全体として明瞭な円環と言われると首肯できません。

2 貝層の分布

検討図 2
貝層と地点貝層だけを抜き出しました。図面上部の大きな地点貝層を除くと円環といってもいいような形状を観察できます。

3 漆喰貝層有竪穴住居の分布

検討図 3
漆喰貝層有竪穴住居だけを抜き出すとその分布は思った以上に円環形状らしくなります。

検討図 4
検討図2と3をオーバーレイするとより円環形状が明瞭に浮かびあがります。図面上部の大きな地点貝層と竪穴住居は円環形状を乱す要素として、特別の意味があるのかもしれません。

4 漆喰貝層無竪穴住居の分布

検討図 5
漆喰貝層無竪穴住居の分布は貝層や漆喰貝層有竪穴住居にみられたような円環形状は見られません。漆喰貝層無竪穴住居の分布構造は漆喰貝層有竪穴住居の分布構造と明らかに異なります。

検討図 6
検討図2と5をオーバーレイするとその分布構造の違い(合わない有様)が明瞭になります。

5 検討
漆喰貝層有竪穴住居とは漁撈活動に従事する家族の住居であることは確実です。漁民です。その漁民が円環状の貝塚形成と円環状に竪穴住居も建てたと理解できます。
この集落空間構造をつくる漁民の活動と漆喰貝層無竪穴住居(の家族)がどのようにかかわっているのか、疑問が解けないのが現状です。
漆喰貝層無竪穴住居は出土物が極めて貧相です。文字どおり漆喰貝層が全く出土しません。漆喰貝層無竪穴住居家族は漁民としての意識が無かったことは確実です。漆喰貝層有竪穴住居家族と生業と意識が異なると考えられます。
しかし住居数は漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居とであまりかわりません。
疑問解消に向けて検討を続けます。

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