2018年2月19日月曜日

漆喰貝層有無別中テン箱数統計の再集計

大膳野南貝塚後期集落の出土物による竪穴住居検討 28

「後世の削平」影響を加味して中テン箱数統計を再集計してみました。

1 「後世の削平」影響を加味しないこれまでの中テン箱数統計

漆喰貝層有無別中テン箱数(全竪穴住居対象)
漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居では中テン箱数の平均値が10倍近くなり、異常です。

漆喰貝層有無別竪穴住居分布(全竪穴住居対象)

2 「後世の削平」影響を加味した中テン箱数統計(再集計)

漆喰貝層有無別中テン箱数(覆土層有竪穴住居対象)
漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居では中テン箱数の平均値は倍半分の関係になります。

漆喰貝層有無別竪穴住居分布(覆土層有竪穴住居対象)

3 考察
「後世の削平」により覆土層が無くなった竪穴住居はほとんど中テン箱数がありませんが、その値は本来の中テン箱数を示すものではありませんからそれを統計の母数に含めると間違った統計になります。
その間違った統計が1です。

「後世の削平」により覆土層が無くなった竪穴住居を除いて、覆土層が有る(一部残った)竪穴住居だけを対象に中テン箱数統計を再集計したものが2です。
この統計で中テン箱数平均値をみると漆喰貝層有竪穴住居が2.7、漆喰貝層無竪穴住居が1.5となり倍半分の関係に近くなります。
漆喰貝層有竪穴住居はその数が多く平均値は信頼できます。ところが漆喰貝層無竪穴住居はその多くが覆土層無竪穴住居としてこの統計から除外されていてサンプル数が少なく信頼性が落ちます。
また、具体的にみると台地崖(急斜面)の竪穴住居が5軒もふくまれています。これらの竪穴住居は斜面林管理などに関わる可能性のあるもので、台地面の竪穴住居よりも社会ランクが低いことが想定されます。中テン箱数は竪穴住居廃絶祭祀の規模や回数に比例すると考えられますから、台地崖(急斜面)の竪穴住居は最初から台地面のものより中テン箱数が少ないと想定できます。従って、漆喰貝層無竪穴住居の中テン箱平均値は本来の値と比べて小さくなっている可能性が濃厚と想定します。

このような想定から、漆喰貝層有竪穴住居の中テン箱数が多く、漆喰貝層無竪穴住居の中テン箱数が少ないという捉え方が確実に判断できる状況にはないと考えます。
現段階では、見かけの統計数値は脇に置いて、漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居の中テン箱数平均値の間には有意な差は無いと仮定することにします。

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