2018年11月28日水曜日

千葉県貝塚 遺構遺物検索例(人骨)

貝塚を例とした千葉県遺跡DB活用方策の検討 7 遺構遺物検索例(人骨)

千葉県遺跡DBにおける貝塚755件の遺構遺物欄記載を「人骨」で検索してみました。DB遺構遺物欄活用例として検索したものです。

1 人骨出土貝塚
人骨出土貝塚は36件で貝塚全体(755件)の約5%となります。
地形別にみると台地に立地する貝塚がほとんどですが、低地の貝塚から人骨が出土している例もあります。

千葉県 人骨出土貝塚

千葉県人骨出土貝塚 地形立地分類
・低地2件は茂原市の渋谷貝塚と下太田貝塚で、下太田貝塚は時代「縄文(中・後・晩)」で遺構遺物概要が「貝層、獣骨層、土器包含層・縄文土器、石器、土偶、骨製品、人骨200体以上、赤色顔料粒子、植物種子、植物遺体」となっていて人骨200体以上という特段に注目すべきものとなっています。低地立地貝塚で人骨出土した例は特別な考察が必要な事例のようです。
・台地貝塚から人骨が出土している事象は貝塚が集落における埋葬場所であったことを示していると考えます。

2 人骨出土貝塚の分布特性
下に千葉県 貝塚地形立地分類を示します

千葉県貝塚 地形立地分類
この図と1に示した千葉県人骨出土貝塚地形立地分類をくらべると、貝塚が密に分布するところと人骨出土貝塚が密に分布するところがほぼ一致します。
その分布一致の様子はヒートマップ(カーネル密度推定)を対照すると一目瞭然です。

千葉県人骨出土貝塚ヒートマップ(カーネル密度推定)

千葉県貝塚ヒートマップ(カーネル密度推定)

3 考察
・貝塚が密に分布する場所に人骨出土貝塚が密に分布するのですから、一般論としては貝塚が埋葬の場に使われるという文化が分布図に表現されていると言えそうです。
しかし、人骨出土貝塚の分布は貝塚全体の分布と比べてかなり極限されています。この様子から、貝塚に人骨を埋葬するという風習が限定された時期のものであるなど、限定条件が存在しているように想像します。
・貝塚から人骨が出土して、それが発掘調査報告書等に記載されている遺跡の総数のうち、DB検索(「人骨」)でヒットする貝塚(36件)の割合がどの程度のものであるか、まだ情報を持っていません。
・人骨出土貝塚の中に大膳野南貝塚が含まれていません。これはDB出典(ふさの国文化財ナビゲーション)における内容面更新に限界があることを示しています。遺跡データベースの内容を発掘報告書発行に従って順次更新するという本来のデータベース管理作業はおそらく不可能に近いことであると理解します。

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