縄文土器学習 268
1 人頭形土製品3Dモデル
成田市下総歴史民俗資料館に縄文前期(諸磯式期)人頭形土製品[レプリカ](南羽鳥中岫第1遺跡E地点)が展示されていて、以前から興味をもっていましたので3Dモデルを作成しました。
人頭形土製品[レプリカ](南羽鳥中岫第1遺跡E地点) 観察記録3Dモデル
撮影場所:成田市下総歴史民俗資料館
撮影月日:2019.09.05
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.513 processing 24 images
人頭形土製品[レプリカ](南羽鳥中岫第1遺跡E地点)展示の様子
2 人頭形土製品の記述
「千葉県の歴史 資料編 考古1(旧石器・縄文時代)」にはこの人頭形土製品についてつぎのように記述されています。
「人頭形土製品は南端の土壙から出土している。人頭形土製品とは人間の頭部を写実的にかたどった土製品をさす。これが出土した土壙の形状は、1.14×0.83m、深さ30cmの楕円形を呈しており、その規模から、被葬者は屈葬の姿勢で葬られたと考えられよう。本遺物は土壙中央の壁際に横たえられており、出土した位置や高さから、遺骸の隙間に置かれた可能性が高い。人頭形土製品は、器高15.1cm・最大幅13.5cm・開口部8.0cm、器厚は頭頂部で最大15cmである。製作技法は土器と同様、輪積み技法を用いているため、中空であり、頭頂部は土器の底部を丸く削って作り出している。また顔面表現のほとんどは、粘土を貼り付けて表現されており、隆帯の貼り付けによる眉表現と膨らませた眼によって落ち窪んだ眼窩を表現し、横位の沈線で閉じた眼を描いている。鼻は立体的で高く、ヘラを用いて鼻孔を深くあけている。口の部分もほかと同様に、粘土の貼り付け後に沈線による表現が行われる。このように各部は精巧に作られるが、頭髪や耳の表現は省略されている。また、唇の下および縁に沿っては穿孔が計4か所にあり、人頭形土製品の使用方法を解明する手がかりとなるものと思われる。例えば、これに紐を通すなどして、蓋を被せる、固定させるなどの機能が考えられるが、慎重に検討する必要がある。人頭形土製品は土器製作技法を応用して作成されているため、逆さにすると容器としても使用でき、土製品と土器の二面性を兼ね備えている。しかし。土器として直立させた場合、底部を丸く削っているために非常に不安定であり、顔面表現も逆になること、また内部の調整が粗いことなど、容器としての機能は二次的なものと判断されるが、副葬品としての性格上、内部に供物を入れて埋葬者に供献した可能性は否定できない。この土壙からは、人頭形土製品のほかは明らかに副葬された遺物はない。また、土製品自体にも時期を明示できる特徴的な文様が皆無であることから使用された時期については不明である。しかし、前期土壙群の範囲内のひとつの土壙から出土していること、土壙形態が前期のそれに類似すること、遺物を共伴する前期土壙の特色に似ていることなどから考え、前期の所産ととらえたい。」
人頭形土製品の写真と出土状況
「印旛の原始・古代-縄文時代編-」(2007、財団法人印旛郡市文化財センター)から引用
3 メモ
埋葬者の顔を模したデスマスクであると考えます。
眼窩のへこみや鼻のとがり方、唇が出ていることなどの特徴から、長い殯期間を終えて遺体がミイラ化した時点でこのデスマスクがつくられたと考えられます。
殯期間の最後をデスマスク作成で区切り、遺体をデスマスクとともに土坑に埋葬したと考えます。
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参考 3Dモデルのカメラ配置
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