2022年6月13日月曜日

土偶が両手を広げる意味

 Meaning that clay figurine open both hands


At the pottery with clay figurine decoration (Teradoko No.2 site,Hokuto City),I can feel that the clay figurine (goddess?) is protecting the pottery with both hands open. I associated this with the appearance of tutuelary goddesses of the dead guarding the four Canopic jars of Tutankhamen.


土偶装飾付土器(北杜市寺所第2遺跡)では土偶(女神?)が両手を広げて土器を守っているように感じることができます。この様子がツタンカーメンのカノプス壺を守る女神の姿に似ていると連想しました。

1 土偶が両手を広げる土器と連想した造形


土偶装飾付土器(北杜市寺所第2遺跡) 3Dモデル画像

土偶が両手を広げています。土偶が2体向き合っています。土偶(女神?)が土器を守っているしぐさとして感じることができます。

この土器を見た瞬間に次の造形を連想しました。


ツタンカーメンのカノプス壺をおさめた施設(神社)を四方から守る女神 (エジプト考古学博物館で撮影、2018)

施設(神社)の中にある4つのカノプス壺にはツタンカーメンの4つの臓器が納められています。


参考 ツタンカーメンのカノプス壺施設の構造 「TUTANKHAMEN」(BONECHI)から引用

女神が両手を広げて施設を守っています。この事例ではツタンカーメンのカノプス壺がいかに大事なものであるかという意味を女神が両手を広げて情報発信しています。

さて、土偶装飾付土器(北杜市寺所第2遺跡)では土偶(女神?)は両手を広げてどのような情報発信をしているのでしょうか。

自分には土器で調理する材料(食べ物)を土偶(女神?)が守っているとはとても考えることができません。もっと重要なものを守っていると想像します。出土状況などこの土器に関する詳しい情報を知ってからさらに思考を深めることにします。

2 炉で使われた様子が感じられない

土偶装飾付土器(北杜市寺所第2遺跡)のみならず、土偶が土器を抱くような構図の土偶装飾付土器(韮崎市石之坪遺跡)も、土偶の胴体が3体描かれている土偶装飾付土器(北杜市寺所第2遺跡)も炉で使われた使用感が感じられません。


土偶装飾付土器(韮崎市石之坪遺跡) 3Dモデル画像


土偶装飾付土器(北杜市寺所第2遺跡) 3Dモデル画像

調理道具等として土器を炉において利用すれば必ず土器下部は擦れて文様が希薄になったりして使用感が残ると考えます。ところがこれら3つの土器をショーケース越しに見る限り使用感が残っていないように観察できます。これらの土器の利用目的を知りたくなります。

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追伸

このブログ記事を投稿した直後に、その前に北杜市考古資料館にお願いしていたこの土器の背面の画像が届きました。その画像では前面の土偶より全体が小ぶりの土偶が描かれています。頭も肩も手の長さも短く、特徴的なのは尻がより上部にあり、かつ顕著に小さくなっています。

自分はツタンカーメンの連想から同じような土偶が前後に張り付いているに違いないと疑問を持ちませんでしたが、自分の想定は大きく外れました。資料館学芸員の方のお話では「お尻の大きいほうが女性、小さいほうが男性ではないかとされ、男女が向き合っている状態です。」とのコメントもありました。

「物事を一面だけで判断してはならない」ということの見本みたいな体験をすることができました。

送っていただいた画像をこれからじっくり検討することにします。第一印象では、この土器は母女神と子女神が抱き合っている様子を土器一つで表現しているように感じました。この土器は出産に関連する土器であり、死産や乳幼児死亡に関連するものかもしれないと空想しました。

北杜市考古資料館に感謝申し上げます。

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