2022年6月19日日曜日

考古学講座「煮炊きに使われない縄文土器」受講

 Take the archeology course "Jomon pottery not used for cooking"


Yamanashi Prefectural Archaeological Museum Reiwa 4th Year Archeology Course 2nd "Jomon Pottery Not Used for Cooking" (Lecturer: Professor Yuki Iwanaga, Yamanashi Prefectural Buried Cultural Property Center) was held online on June 18, 2022. Did. Make a note of the outline and impressions. The lecturer's talk ranged from buried pottery, wessel with handles for suspension, pottery with perforated collar to the cultural space division of the archipelago in the middle of the Jomon period.


2022年6月18日に山梨県立考古博物館令和4年度考古学講座第2回「煮炊きに使われない縄文土器」(講師:山梨県埋蔵文化財センター岩永祐貴先生)がオンラインで開催され、受講することができました。その概要と感想をメモします。

1 講座の概要

次の5点について数十枚の判りやすいPowerPoint画像でお話がありました。

ア 土器を研究して何を知りたいか

イ 埋甕

ウ 釣手土器

エ 有孔鍔付土器

オ 今後の展望

なお、事前に4ページの資料をダウンロードして読むことができました。

2 講演要点メモと感想

自分が特に興味を持った事柄と感想をメモします。

2-1 土器を研究して何を知りたいか

縄文土器研究の概念について説明がありました。小林達雄の様式・型式・形式の説明があり、この説明に続いて、岩永先生の問題意識が3点にわたってありました。

・社会・集落はかならず複数型式が共存するが、それはどのようなものか。

・通婚圏のような具体的な集団・人の移動について。

・特定の土器(大木式)を受け入れた地域と拒む地域の差。

→岩永先生の問題意識が鮮明ですから、次の埋甕、釣手土器、有孔鍔付土器の話がとても判りやすく、また興味が深まりました。

2-2 埋甕


山梨県立考古博物館常設展の埋甕コーナー

・長野県域が主分布域である唐草文土器の影響が、山梨県域で偏在的である様子が述べられ、興味を持ちます。長野県富士見町の立場川を境にその東部では唐草文土器の流入は少なくなり、八ヶ岳南麓では小型に変容する。一方、釜無川右岸域では大型でオリジナルに近い唐草文土器がある。そして、山梨県内では埋甕に唐草文土器が使われるのも釜無川右岸域だけである。

・このような情報から八ヶ岳南麓域と釜無川右岸域では集団差がありそうである。このような研究進展により集団単位を見出す可能性がある。

→以上の発表は私の興味を強く刺激します。できれば空間地理的ポンチ絵があると非専門家にとってよりわかりやすいものになると考えました。

2-3 釣手土器


山梨県立考古博物館企画展「心を描く縄文人」に展示された釣手土器

・釣手土器は顔面把手土器の顔面把手だけが独立して成立したことが判ってきている。

・釣手土器の出土状況は、山梨では住居埋土内が多く、長野では床面出土が多く、北陸では遺構外からほとんど出土している。

・使用方法が空間的伝播の過程で変化している可能性がある。

→釣手土器に関する詳しい情報を聞くことができましたので、今後学習を深めたいと思います。

2-4 有孔鍔付土器


山梨県立考古博物館常設展に展示されている有孔鍔付土器

・酒造具説、太鼓説、貯蔵具説があるが、変遷と使用痕から太鼓説は否定できる。

・有孔鍔付土器に注口が付いたものが出土している。

→有孔鍔付土器に関する詳しい説明を初めて聞き、大変参考になりました。太鼓説が専門家の中で受け入れられているようだという自分の感想を是正する必要があります。

・八ヶ岳周辺に縄文中期に釣手土器や有孔鍔付土器、埋甕の儀礼を司った集団が存在し、そこに南東北から何らかの縄文文化(生業関連、どんぐりアク抜き技術?)が到来した。

→縄文中期文化の大局観を空間地理的ポンチ絵とともに知ることができ、大変参考になりました。

3 総合感想

海外旅行先でいままで気が付かなかった日本の特性に気が付くことがありますが、同じように、今回web講演会で千葉縄文中期に関する覚醒がありました。今回web講演最後の縄文中期文化大局観図を見て、千葉縄文社会の縄文中期大局的位置付けを直観できました。縄文中期の千葉社会を考える際、南東北と中部高地双方の影響を考えなくては片手落ちになるということです。

素晴らしい学習機会を提供していただいた、岩永祐貴先生と山梨県立考古博物館に感謝します。


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