2023年8月10日木曜日

中峠式67番土器5点の空間移動イメージ

 Spatial movement image of 5 pieces of Nakabyo type pottery No. 67


I imagined the spatial movement of five pieces of Nakabyo type  pottery No. 67  unearthed from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. It can be seen that the pottery fragments are rolling down as time changes.


有吉北貝塚北斜面貝層から出土した中峠式67番土器5点の時間変化に伴う空間移動をイメージしました。時間変化に伴い土器破片は転がり落ちていることが判ります。

1 参考 中峠式67番土器の発掘調査報告書記載


中峠式67番土器

「67は本群期(注 第6群、中峠式)の浅鉢形土器である。くの字に外折する無文の口縁部をもち、頸部に連続コの字状文を持つ楕円型区画文が施され、以下は無文となる。口縁部と頸部の境界にも横位連続コの字状文が巡る。」図版及び文章とも発掘調査報告書から引用

2 中峠式67番土器の分布と出土層位


中峠式67番土器5点の分布

崩落面と斜面貝層の推定境界面の上から3点、下から2点出土しています。


中峠式67番土器5点の出土層位

5点が隣接する11番断面に出土座標を投影すると、出土層位は崩落層2点、斜面貝層2点、ガリー運搬堆積層1点になります。同じ土器個体の破片がかくもばらけた層位から出土する情報はとても貴重な情報であると直観できます。この出土層位のばらけを次で検討しました。

3 中峠式67番土器5点の空間移動イメージ例


中峠式67番土器5点の空間移動イメージ例

同じ土器個体の破片ですから、近くで破壊されて最初は5点同じ場所に存在していたと仮定できます。その場所を図化されている11番断面のさらに上にあると考えます。そうすると例えば、最初に2点が崩落層に落下し、その次に残り3点が最初の斜面貝層に落下する。そのうち2点が後の時期の斜面貝層に落下する。さらにそのうち1点は北斜面貝層最後期のガリー運搬堆積層(加曽利EⅡ式新)に落下すると考えると、つじつまがあってきます。斜面貝層は斜面であるがゆえに不安定で貝層自体も重力で下方に移動し、それに伴い土器破片も時間経過ともに下方に移動したと考えます。

4 メモ

土器破片は斜面では時間経過とともに下方に移動し、より新しい層位に移動することが判りました。貝層も時間経過とともに下方に移動すると考えられます。その際、内容物のソートが行われるのではないかと想定できます。発掘調査報告書で記載されている混土貝層、混貝土層の混貝率とか優先貝種の記載は、時間経過の中で貝層が地学現象的にソートされた結果だと考えます。最初に投棄されて縄文人の足元に生まれた貝層は全て混貝率100%であったのです。


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