2023年8月9日水曜日

TV番組「”整理整頓”それはヒトの本能なのか」感想

 Impressions of the TV program "Is it human instinct to keep things in order?"


On August 7th, I watched "Is it human instinct to keep things in order?" on BS4K. This show is always good at "delusion".

It was a program that introduced not only the image of spatially tidying up things, but also the abstract level of tidying up, such as tidying up of rules and tidying up of spiritual roots, as an archaeological phenomenon. I was very inspired and learned.


8月7日BS4Kで「”整理整頓”それはヒトの本能なのか」を視聴しました。このNHKBS番組「ヒューマンサイエンス40億年のたくらみ」はときどき見ますが、いつも、テーマを掘り下げ、既存定説にチャレンジするような自由奔放な「妄想」を得意とする、とても魅力的な番組です。

「”整理整頓”それはヒトの本能なのか」では考古学も触れられるということなので、楽しみにして視聴しました。

1 私が理解した考古学関連の整理整頓

1-1 整理整頓のしくみ

・人の脳のワーキングメモリは7±2だけしかない。その限られたメモリーで大量情報を処理できるのは、人は言葉(概念)で地物や抽象事象をグルーピングできることによる。整理整頓はこの仕組みに基づいて可能となる。


整理整頓

1-2 整理整頓は定住が始まってから生まれた

・旧石器時代の石器作成で生じた岩屑は清掃されていない。つまり整理整頓されていない。これは片づける必要が生じる前に移動したからだ。


整理整頓はまだ

・定住が始まると整理整頓が必要となり、モノを空間的に配置して、それで社会秩序を形成した。千葉の貝塚は廃棄貝殻を集落を囲んでドーナツ状に積み上げ、それが白く光り、景観や精神生活の秩序にかかわったかもしれない。一年中美味しい貝スープ鍋料理を食べられるという幸福のモニュメント・シンボルだったかもしれない。


整理整頓 白い貝塚

1-3 整理整頓は文明を加速させた

・貝の日輪分析から、1年中貝を採集している集落や特定季節だけ採集している集落の違いがわかり、漁場の時間的管理が地域全体で行われている様子が明らかになりつつある。これは漁場利用のルールが厳密になり、漁場から得られる富の分配が高度化している様子をしめしている。つまり漁場利用ルールという整理整頓が文明加速の原動力となっている。

・縄文時代に共同墓というものがある。千葉では異なる遠方から集まった集落最初時代の人々の埋葬を共同墓で行っている。これは異なるルーツの人々が共同墓埋葬で統合されて一つの集団の始祖になったことを表現していると考えられる。この例は、死後の概念を共有しつつ、生活世界の秩序を作るために実行された精神的な整理整頓であり、必要不可欠であったと考えられる。


整理整頓が絶対に必要

1-4 整理整頓は利益を最大化する手段として使われる

・整理整頓は利益を最大化する手段として使われるので、階級社会になれば王族や指導層の統治手段として整理整頓が行われる。

2 感想

・「モノを空間的に整理整頓する」というイメージだけではなく、ルールの整理整頓、精神的ルーツの整理整頓という抽象レベルの整理整頓が混在した番組だったので、テレビ視聴習慣が無くなった自分にはいささか難解な番組でした。ビデオをとっておいたので、見直して、ようやく番組全体像を理解しました。

・旧石器時代は廃棄物清掃なし、縄文時代は廃棄物置き場(貝塚)を作って整理整頓したという様子は理解できました。

・旧石器時代は狩猟採集の社会的ルールなし(あるいは虚弱)、縄文時代はルールによる整理整頓強化という番組内容になっていれば理解が進んだと思います。

・出自(ルーツ)についても旧石器時代とくらべて縄文時代は社会交流の中で精神的整理整頓が必要不可欠になっていたという説明があれば、より理解が深まったと思います。

・整理整頓という言葉は「〇〇を実現するために整理整頓する。」という文脈で使われるために存在しています。縄文時代の整理整頓の様子「貝塚の構造」「漁場管理ルール」「出自(ルーツ)の統合」を静的に知るだけではなく、「その整理整頓により実現しようとした事柄や背景」の理解学習を深めたいと考えます。

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