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2025年9月14日日曜日

遺物3D分布資料の観察方法を知らないことに気が付く

 I realized I didn't know how to observe 3D artifact distribution data.


We're nearing completion of a 3D distribution data collection of tens of thousands of artifacts from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshikita Shell Mound. I'm very concerned about developing analytical methods for this data. However, I realized, to my own blunder, that I didn't know how to normally observe or represent 3D distribution data. So I began gathering information on how to observe 3D distribution data.


有吉北貝塚北斜面貝層の数万遺物の3D分布資料が完成するメドがたちました。この資料の分析方法開発に強い問題意識を持っています。しかし不覚にも、3D分布資料の通常観察方法、表現方法を知らないことに気が付きました。そこで3D分布資料の観察方法について情報収集してみました。

1 遺物3D分布の観察方法を知らないことに気が付く

有吉北貝塚北斜面貝層の数万遺物の3D分布資料が完成するメドがたちました。その3D分布資料をいかに分析するのか、分析方法開発に強い問題意識を持っています。過去には3D密集度などの指標を開発したことがあります。

しかし、よくよく考えてみると、3D分布資料の通常観察方法(ありのままの様子の観察方法)を自分は知らないことに気が付きました。不覚なことです。平面分布資料なら「分布図」をつくれば、通常の観察はできます。GISを使えば、条件を変えて自由に分布観察できます。しかし、3D分布資料の場合、それを観察するツールの存在を自分は知っていないことに、気がついたのです。

3D分布資料ではある1視点(特定の1視点)からの観察では対象物が重なり、あるいは遠近感がわからないので、多数対象物の場合、分布特性が明瞭にならないことが普通です。多数視点資料を連続的に見る(断層撮影資料の連続観察など)とか、視点移動により動画を撮影し、その動画を見るなどの方法が必要になります。

今後、3D分布資料の観察方法について検討を深めることにしますが、まずはChatGPTから情報を引き出してみました。

2 ChatGPTからの情報

【ChatGPTへの質問】

遺物が密集して出土した貝塚を対象に、遺物の3D空間分析を目指しています。

今、Blender3Dビューポートに出土地点3D座標にもとづいて多数の遺物がプロットされています。

3Dビューポートをギズモを利用して移動・回転・拡大縮小してその分布特性を観察していますが、遺物が密集して重なるため、分布特性の把握が困難です。遺物の平面分布ならば、平面分布図を作成して観察すれば分布特性は直観的に理解できますが、3次元空間ではこのようにできません。

Blender3Dビューポートにプロットされた多数遺物(CUBEオブジェクトで表現)の3D分布特性を直観的に観察・理解する方法やツール・アドオンがあれば教えてください。

Blender以外の3Dソフトでそのような観察が可能なものがあれば教えてください。

【回答】

とても面白いテーマですね!

「3D分布を直観的に理解する」ためには、単に3Dビューポートに多数のCUBEを置くだけでは限界があるので、可視化の工夫や専用ツールが有効です。以下にBlender内でできる方法と、Blender以外の選択肢を整理しました。

1 Blender内での可視化・観察方法

1-1 カラーやサイズによる情報付加

オブジェクトの属性(例:Z座標、出土層位、種類)に応じてカラーを変化させると、分布のパターンが見やすくなります。

→ Geometry Nodes で「位置」ノードからZ値を取得し、カラーへマッピング可能。

CUBEの大きさを属性で変えると「密度」や「重要度」を直感的に表現できます。

1-2 スライス(断面表示)

モディファイアの Boolean や Clipping Region (Alt+B) を利用して、任意の高さや断面を切り出す。

断面ごとに分布を比較すれば、密集した3D構造の「層ごとの特徴」を把握可能。

1-3 点群化(CUBE→点表示)

遺物をすべて点(頂点)として表示すれば、重なりが少なく分布傾向が見やすくなります。

Geometry Nodesで Instance on Points を使い、小さなSphereや単点表示に変換。

1-4 ヒートマップ的表現

Geometry NodesやShaderで「点密度」を計算して、密集領域を色で可視化。

例:KDTreeノードアドオンやPythonスクリプトで局所的な点密度を算出し、マテリアルに反映。

1-5 Blender用アドオン

Scatterplot 3D (外部アドオン): CSV座標から点群を生成して可視化。解析用に便利。

MeasureIt / MeasureIt-ARCH: 計測やラベル表示で空間把握を補助。

2 Blender以外の3Dソフト・ツール

2-1 CloudCompare

オープンソースの点群処理ソフト。

点密度のヒートマップ表示、断面抽出、クラスタリング解析などが得意。

遺物の3D座標を「点群データ」として読み込めば直感的な解析が可能。

2-2 ParaView

科学可視化向けの強力なツール。

点群やメッシュの大規模データを扱える。

ヒストグラムや等高線、ボリュームレンダリングなど多彩な可視化が可能。

2-3 MeshLab

3Dモデルや点群の解析・処理ツール。

点群のカラーリング、断面表示、クラスタリングに対応。

2-4 専用GISソフト(ArcGIS / QGIS 3Dビュー)

3D座標をGISにインポートすれば、空間統計解析や3D分布のヒートマップが可能。

出土地点が地理座標に近い形で整理されているなら有力。

3 まとめ

●Blenderで直感的に観察するなら

→ 色分け、スライス、点群表示、ヒートマップ表現が有効。

●解析・統計的に理解したいなら

→ CloudCompare や ParaView を使って点群解析するのがおすすめ。

ご希望に合わせてさらに具体化できます。

たとえば「BlenderのGeometry Nodesで密度ヒートマップを作る方法」や「CloudCompareで断面分布を解析する手順」を詳細に説明することもできますが、どちらに興味がありますか?

3 感想

ChatGPTから試してみる価値のある情報を得ることができました。この情報を基に分布特性を直観的に理解できる3D資料作成を目指して、次の試みをしてみることにします。

1 遺物(オブジェクト)の大きさ、形状、色などの変更、表示種別の選択(全種別表示か特定種別表示か)

2 断面表示、断面連続表示(動画)

3 点群表示

4 密集域表示

5 CloudCompare、ParaView、MeshLabの試用

3D分析方法開発に熱中するまえに、そもそもの3D分布の素観察、素表現の大切さに気が付いたことは、自分にとってよかったことです。3D分布の素観察方法、素表現方法の開発がなければ、いかなる3D分布分析開発も大きな価値を持つことができません。

4 参考 有吉北貝塚北斜面貝層の遺物分布図データ(2025.09.12現在)の動画(視点直線移動)


有吉北貝塚北斜面貝層の遺物分布図データ(2025.09.12現在)の動画(視点直線移動)


動画作成の様子

オブジェクト(現在5㎝×5㎝×5㎝)をもっと小さくして、種別に色分けすれば(あるいは1種別だけの表示にすれば)、それだけで分布特性が判りやすくなりそうだと直観できます。


2022年9月26日月曜日

「294土器破片と貝層断面図の関係」3Dモデルの作成と観察方法の初歩的検討

 The 3D model of "Relationship between 294 pottery fragments and cross-section of the shell layer" and observation method.


I created a 3D model of "Relationship between 294 pottery fragments and cross-section of the shell layer". At the same time, a basic study was conducted on how to grasp the relationship between the 3D distribution of pottery fragments and the stratigraphy of shell layers. In the future, I aim to acquire new knowledge on shell layer continuity through more detailed investigations.


「294土器破片と貝層断面図の関係」3Dモデルを作成しました。同時に、土器破片3D分布と貝層層位との関係把握方法について初歩的な検討しました。今後さらに詳しく検討して貝層連続性に関する新知見獲得を目指します。

1 「294土器破片と貝層断面図の関係」3Dモデルの作成

294土器破片の3D分布、貝層断面図15枚及び土器片分布平面図・立面図をBlender座標に同寸でプロットしました。

「294土器破片と貝層断面図の関係」3Dモデル

294土器破片:赤小立方体


貝層断面図凡例(貝層断面2の例)

赤小立方体の大きさは0.1m×0.1m×0.1mで、3Dモデル正面からみて左下奥の頂点が正確な出土ポイントを指す。土器片分布平面図の緑線メッシュは2m×2m、立面図は2m×1m。

土器片分布平面図、立面図、貝層断面図は有吉北貝塚発掘調査報告書から引用・塗色

"Relationship between 294 pottery fragments and cross-section of the shell layer" 3D model

"Relationship between 294 pottery fragments and cross-section of the shell layer" 3D model

294 Pottery Fragment: Red Small Cube

Shell layer cross section legend (example of shell layer cross section 2)

The size of the red small cube is 0.1m x 0.1m x 0.1m, and the vertex in the lower left corner when viewed from the front of the 3D model indicates the exact excavation point. The green line mesh of the earthenware fragment distribution plan is 2m x 2m, and the elevation is 2m x 1m.

The pottery fragments distribution plan, elevation, and cross-section of the shell layer are quoted from the Ariyoshi Kita Shell Mound Excavation Report and colored.

次に、このモデルの主要情報だけを抜き出して、シンプル版をつくりました。

「294土器破片と貝層断面図の関係」3Dモデル (シンプル版)

294土器破片:赤小立方体

貝層断面図凡例(貝層断面2の例)(上に同じ)

赤小立方体の大きさは0.1m×0.1m×0.1mで、3Dモデル正面からみて左下奥の頂点が正確な出土ポイントを指す。

貝層断面図は有吉北貝塚発掘調査報告書から引用・塗色

"Relationship between 294 pottery fragments and cross-section of the shell layer" 3D model (simple version)

294 Pottery Fragment: Red Small Cube

Shell layer cross section legend (example of shell layer cross section 2)

The size of the red small cube is 0.1m x 0.1m x 0.1m, and the vertex in the lower left corner when viewed from the front of the 3D model indicates the exact excavation point. 

The shell layer are quoted from the Ariyoshi Kita Shell Mound Excavation Report and colored.


3Dモデル(シンプル版)の動画

2 土器破片3D分布と貝層断面図の関係把握方法

2-1 単純投影方法について

貝層断面図は縦断図1枚、横断図14枚が描かれています。


貝層断面図配置の様子

当初は、貝層断面図横断図の内13枚は2mピッチと短い距離であることから、土器破片を最寄りの横断面図にY軸方向(縦断方向)に投影して、該当する貝層層位がその土器破片の出土層位であるとすればよいと考えました。(単純投影方法)

しかし、実際の3Dモデルをみると、貝層が縦断方向にきつい勾配を有しているところが広範囲にわたっています。このため、単純投影方法では土器破片と貝層層位の対応は大きな誤差が生まれることは明白です。従って、単純投影方法は採用できないことを悟りました。

2-2 貝層の趨勢的縦断勾配を考慮した方法

貝層の縦断方向勾配は上流で急であり、下流で緩やかです。その様子は全体として趨勢的に変化しているように見えます。そこで、断面図毎にその場所の貝層層位(貝層分類)が趨勢的な勾配を持って上下流方向に分布していると仮想します。その仮想貝層3D分布と土器片3D位置を対応させて、土器片が出土する貝層層位を把握することにします。趨勢的勾配で仮想する貝層が現実に存在した貝層とどれだけの精度で対応するのかは不明ですが、「単純投影方法」とくらべればはるかに高い精度になります。この方法を「貝層の趨勢的縦断勾配を考慮した方法」と呼ぶことにします。

294土器は横断面図2付近に9個の土器破片が分布します。この9個の土器破片について「貝層の趨勢的縦断勾配を考慮した方法」を適用すると次のようになります。


294土器の横断面図2付近における「貝層の趨勢的縦断勾配を考慮した方法」適用 上流側


294土器の横断面図2付近における「貝層の趨勢的縦断勾配を考慮した方法」適用 下流側

土器破片9個の出土貝層層位問題はそれが純貝層とどのような関係にあるかということに集約されます。

これまでの学習作業で、純貝層から出土する遺物はほとんどなく、遺物のほとんどは純貝層下の混貝土層や混土貝層から出土することが判っています。

そこで、純貝層の断面がそのままの形状で縦断方向にこの付近の趨勢的勾配で存在していたと模式的に仮想して、その模式仮想貝層に294土器破片9個が対応するかどうか調べてみました。

なお、この付近の趨勢的縦断勾配は貝層断面図1(縦断面図)を利用してもよいのですが、土器破片9個の縦断勾配の方がより正確なので、それを使います。なんとなれば、この9個がばら撒かれたときの地表面の位置がこの9個の出土位置と一致し、その縦断方向線が当時の地表面の勾配であると考えられるからです。

結果として、模式仮想純貝層に対応する土器破片は、横断面2の上流側で4個の内2個、下流側で5個の内で2個ということになります。ただし模式仮想純貝層に対応するといっても全てその最下層部分です。

この結果から294土器破片は純貝層が形成される直前頃から純貝層形成開始直後頃にばら撒かれたと時間幅を持って読み取ることができます。ただし、土器破片がばら撒かれたのはある一時点であり、時間幅はありません。したがって、解釈としては「294土器破片は純貝層が形成される直前頃に(あるいは純貝層形成開始直後頃に)ばら撒かれた」という2つの異なる可能性を指摘することになります。

この2つの異なる解釈は両立できないものですから、他の情報に基づいて、どちらか一つを選択する必要があります。

2-3 貝層3Dモデル作成による方法

貝層横断面の縦断的連続性の検討は発掘調査報告書では行われていません。しかし、2-2の方法を適用して、個別土器の破片と貝層断面図情報(貝層層位)の対応が判ってくると、貝層層位の区分とその連続性が判ってきます。その時点で、判明した貝層層位区分に基づく貝層3Dモデル(貝層層位毎の3Dモデル)をBlenderで作成し、それと土器破片の対応を検討することにより、より蓋然の高い土器破片3D分布と貝層断面図の関係把握を検討することができます。この方法を「貝層3Dモデル作成による方法」と呼ぶことにし、将来の取組課題とします。

3 メモ

次の記事で、2-2の方法により294土器の全土器破片と貝層との関係を把握し、その結果を考察することにします。