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2026年7月22日水曜日

有吉北貝塚北斜面貝層と地考古学(Geoarchaeology) その2

 The Ariyoshi-kita Shell Midden (North Slope Deposit) and Geoarchaeology: Part 2


I hypothesized that the shell deposit on the north slope was formed through the dumping of materials—such as shells and pottery fragments—from the upper part of the slope by Jomon people, followed by repeated gravitational redeposition and final accumulation. I have outlined the conceptual approach for testing this hypothesis.


北斜面貝層は縄文人によって斜面上部から貝殻や土器片などが投棄され、それらが重力性再移動を繰り返した後、最終堆積して形成されたと仮説しました。この仮説検証方法のイメージをまとめました。

この記事は2026.07.21記事「有吉北貝塚北斜面貝層と地考古学(Geoarchaeology)」の続きです。

1 これまでの検討で浮かび上がってきた北斜面貝層形成仮説

【北斜面貝層形成仮説】

北斜面貝層は縄文人によって斜面上部から貝殻や土器片などが投棄され、それらが重力性再移動を繰り返した後、最終堆積して形成された。


北斜面貝層形成仮説のイメージ

【仮説背景情報】

・急斜面に斜面貝層がサージ状・塊状に発達している。

・単位斜面貝層は斜面下部で大きな貝殻・密集、斜面上部で小さな貝殻・まばら~貝殻なしという、素材大きさ・密度のグラデーションとなっている。

・単位斜面貝層では斜面下部に土器片が密集し、斜面上部では土器片がまばらとなる。

・単位斜面貝層の斜面下部の土器片は80%が下凸形で堆積していて、土器片が回転して安定した形で最終堆積した様子がうかがえる。(斜面ではない加曽利貝塚での土器片は下凸形50%となっている。)

・出土土器型式の位置関係から、規模の大きな貝層逆転現象が見られる断面がある。

2 仮説検証ステップ

2-1 人為的投棄の確認

斜面上部から縄文人によって貝殻や土器片が投棄された蓋然性は高いと考えられるが、本当にそういえるのか、検証します。投棄場所、投棄時期について分析し、投機単位、投棄頻度などについて情報が得られるか検討します。同一斜面の上部と下部から出土した土器片の接合について、人為的投棄の証拠として検討します。

2-2 投棄後に斜面下方へ再移動したことの確認

貝殻・土器片の粒径・密度・配向・接合関係などから貝殻が投棄後に斜面下方へ再移動したことを検証します。

2-3 再移動メカニズムの検討

再移動メカニズムとして次のようなファクターが考えられます。

【再移動メカニズムファクター】

・雨水を含む高濃度流

・乾燥粒状流

・泥質基質流動

・表面流洗堀・再堆積

・人による斜面貝層利用及び人動物による踏圧移動

これらのファクターが再移動にどの程度寄与しているか、以下の資料を作成して検討することにします。

【ファクター検証資料】

・地山地形3Dモデル

・貝層分布3Dモデル

・遺物分布3Dモデル

・剥取断面ファブリック分析結果

・土器接合資料

3 メモ

仮説検証ステップの2-1と2-2はこれまでの検討で情報がかなり集まってきています。2-3再移動メカニズムの検討が最も重要です。これまでの検討で高濃度流(規模の小さな土石流)関与が濃厚になってきていますが、それがどの程度寄与しているかなどはまだ不明です。メカニズムの検討は個人で行うイメージではなく、北斜面貝層発掘担当専門家や地考古学専門家との相談による新たな検討フェーズに移行すると想定します。


2026年7月21日火曜日

有吉北貝塚北斜面貝層と地考古学(Geoarchaeology)

 The Shell Midden on the Northern Slope of the Ariyoshi-Kita Shell Midden Site and Geoarchaeology


On two occasions—once at the end of May and again at the end of June—I employed the term "data synthesis" in an attempt to form a rough, hypothetical overview of the developmental history of the northern-slope shell midden currently under study. I intended for this to serve as a crucial step toward accelerating the analysis.

Unfortunately, things did not go as planned. However, identifying that the obstacle standing in my way lies within the field of geoarchaeology represents a significant achievement.


5月末と6月末の2回にわたって、データ総集という用語を使って、今検討している北斜面貝層発達史の全体像をざっくりと仮説的に理解しようとしました。これを検討における重要なステップにして、検討加速を目指したのです。

残念ながら目論見通りにはなりませんでした。しかし立ちはだかる壁が地考古学(Geoarchaeology)という分野であることが判ったことは大成果と言えます。

この記事は2026.06.24記事「有吉北貝塚北斜面貝層のデータ総集 その2」に続く記事です。

1 6月末以降の取組み

6月末以降、北斜面貝層検討の取組みは低調で検討が進みませんでした。データ総集という用語では検討対象の本質を捉え切れなかったようです。

6月末以降現在までの取組みは北斜面貝層を3D次元で把握するための技術開発に終始し、これはとても大きな成果を得ました。

2 北斜面貝層と地考古学(Geoarchaeology)

これまで自分が調べた北斜面貝層では、次のような事象が観察されています。

・急斜面に斜面貝層がサージ状・塊状に発達している。

・単位斜面貝層は斜面下部で大きな貝殻・密集、斜面上部で小さな貝殻・まばら~貝殻なしという、素材大きさ・密度のグラデーションとなっている。

・単位斜面貝層では斜面下部に土器片が密集し、斜面上部では土器片がまばらとなる。

・単位斜面貝層の斜面下部の土器片は80%が下凸形で堆積していて、土器片が回転して安定した形で最終堆積した様子がうかがえる。(斜面ではない加曽利貝塚での土器片は下凸形50%となっている。)

・出土土器型式の位置関係から、規模の大きな貝層逆転現象が見られる断面がある。

これらの事象から、土石流とは規模が全く異なりますが、同じ原理の高濃度流事象が関わって貝層が発達したのではないかと推察してきてます。このような推察が正しいのか、別の解釈が有りうるのかが今後検討のメインになります。つまり、貝層を地象事象として扱うことになります。

この検討は地考古学(Geoarchaeology)そのものであると言えます。

この地考古学(Geoarchaeology)検討の成果が出ることによって、新たな遺物解釈が生まれる可能性があり得ます。ひいては有吉北貝塚集落の新たな解釈が生まれる可能性もあり得ます。

北斜面貝層の地考古学(Geoarchaeology)検討から何らかの成果を生み出すべくチャレンジすることが、今の自分に課された使命であると、かなり大げさですが、考えました。


北斜面貝層の様子(剥取断面遠景)


北斜面貝層の様子(第2断面遠景)

3 これからの取組み

北斜面貝層検討の本格研究段階では北斜面貝層発掘担当専門家や地考古学専門家の判断に基づくものになると考えられます。それらの専門家に提出する3D資料を作成することが、これからの自分の作業になると考えます。

直近では懸案事項となっている次の作業に取組みます。

・地山地形3Dモデルの精緻化

・剥取断面ファブリック分析

同時に、仮説検証方法について検討を深めまとめることにします。