2011年2月23日水曜日

花見川中流紀行 8河川景観と送電線鉄塔

            花見川沿いの送電線
 花見川中流の河川沿いには送電線の鉄塔が併走しています。犢橋川合流部から浪花橋までの左岸と長作川から汐留橋までの右岸です。このうち京葉道路付近から浪花町付近までの左岸は送電線が2条並列になりますので、景観上のインパクトは強いものがあります。
 このような風景をどのように捉えたらよいのか、これから勉強していきたいと思っています。
 手始めに花見川流域の送電線ネットワークと変電所の配置を図化してみました。資料は2万5千分1地形図です。
            花見川流域の送電線と変電所の配置
 この図を頼りにして、電話で東京電力に送電線についていくつか尋ねてみました。2人の技術者の方から丁寧な対応をしていただきました。いろいろなやり取りの結果次のようなことがわかりました。
・花見川から犢橋川の谷津を通り、宇那谷川、勝田川とその支谷津を抜けるルートは50万ボルトの特級幹線であること。(運用上日本の最大電圧で、大容量発電所と1次変電所、1次変電所間の送電に使用する規格のようです。)
・このルートが最初につくられたものであること。
・流域北西部(八千代市高津付近)から南東部(千葉市稲毛区長沼町付近)に抜ける2本の直線的なルートは15万4千ボルトの幹線であること。(都市部近郊の変電所までの送電に用いられるようです。)
・送電線の電圧(ボルト)は50万、27.5万、15.4万、6.6万などがあり、さらに幾つもの段階を経て最終的に家庭用の200、100になること。
・(亥鼻橋付近で送電線が一度花見川をまたいでいるがその理由はという質問に、直接的な回答ではありませんが)一般論として、地権者から上空を送電線を通してもらいたくないという要望がある場合、公共的な空間をつかうことがあるとのこと。
・送電線は、都心の新設部で、高層ビルの存在等で鉄塔の建設が出来ない場合は地下化するが、それ以外は鉄塔で配線する。既存の送電線を地下化する考えはないとのこと。
などでした。
 ネットワークの概要がおぼろげながら分かってきました。変電所の位置をみると工場、浄水場、鉄道などの場所にあり、これらに伸びている送電線の電圧は低いものになります。ちなみに、柏井浄水場の変電所に伸びる送電線の鉄塔には「浄水線、6万6千ボルト」と表記されています。
            花見川近くの変電所
 次に、送電線ネットワークと河川との関係を見るために、河川沿いの送電線だけ抜き出して見ました。
            花見川流域の河川沿い送電線
 花見川中流だけでなく、犢橋川、宇那谷川、勝田川の一部、勝田川支谷津、高津川の一部などに送電線が走っています。市街化した場所を避けて送電線を配置するために河川や谷底を利用したのだと思います。東京の高速道路が古川(渋谷川)の上空や荒川を通るのと同じような現象だと思います。
 現在ある送電線を地下化するという考えは、現在ある鉄道を地下化するというのと同じように困難なことで、現実的ではないことが分かりました。そこで、河川景観上からは、鉄塔のある風景を前提に、どのようにしたらより好ましい花見川や支川・谷津の風景をこれからつくるか、ということが課題であると感じました。鉄塔の色や形状などは、維持管理や将来の建替えを考えれば、より風景に合ったものに変更ありだと思います。
 送電線は社会の重要なインフラですから、他のインフラと同じようにその社会的意義をもっと学習する必要があると感じました。

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