2018年5月17日木曜日

着目すべき貝・獣骨送り場土坑の抽出

大膳野南貝塚後期集落 土坑の再検討 44

動物食関連送り場土坑という名称は生硬な表現ですから、記事表題は「貝・獣骨送り場土坑」としました。

1 着目すべき動物食関連送り場土坑の抽出
動物食関連送り場土坑のうち獣骨出土数が多い土坑に着目します。その土坑付近で獣食を伴う祭祀が盛んに行われた結果であると考えます。
動物食関連送り場土坑の獣骨出土数を棒グラフにして立体的に表現してみました。

動物食関連送り場土坑 獣骨数棒グラフ 1
数字は出土獣骨数(上位のみ記入)

動物食関連送り場土坑 獣骨数棒グラフ 2

獣骨数を記入した上位6位までの動物食関連送り場土坑に着目して、その様子を次の記事で検討することにします。

参考 獣骨数棒グラフの平面図

全期集成 動物食関連送り場土坑

2 考察
動物食関連送り場土坑のうち獣骨多数出土土坑の分布から人送りの集落におけるメイン空間の概略が判るような気がします。
獣骨数277と78の2つの土坑のある付近が南貝層の人送り祭祀メイン空間であることは確実ですが、南貝層全体が廃屋墓に覆われています。
獣骨数139の土坑は北貝層付近にありますが、この付近には土坑墓・廃土坑墓があります。この付近が人送りの一つの中心地であることは間違いないと考えます。
獣骨数125と57の土坑のある付近には廃屋墓はなく、土坑墓が2基存在しています。獣骨数の多い土坑は人骨こそ出土していませんが土坑墓そのものである可能性があります。
西貝層に近い獣骨35が出土した土坑の近くには単独埋甕があります。単独埋甕から人骨は見つかっていませんが単独埋甕だけでなく獣骨数の多い土坑も人送り(埋葬)の施設である可能性があります。
人骨こそ出土しません獣骨数の出土多い動物食関連送り場土坑は土坑墓ではないかと疑って次の記事で検討してみます。

獣骨数の多い動物食関連送り場土坑が土坑墓かもしれないという仮の推論を念頭に上記立体地図をみると、廃屋墓群の内側に土坑墓群が分布する構造が観察できます。

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