2018年5月29日火曜日

植物・灰の送り場土坑、トイレ、柱穴

大膳野南貝塚後期集落 土坑の再検討 50

大膳野南貝塚後期集落の土坑一次用途を次のように分類して考察を進めてきています。
・貯蔵土坑…考察済
・特殊用途土坑(屋根付き土坑)…考察済
・動物食関連送り場土坑…考察済
・植物食関連送り場土坑
・トイレあるいは植物食関連送り場土坑
・土坑墓…考察済
・柱穴

この記事では植物食関連送り場土坑、トイレあるいは植物食関連送り場土坑、柱穴について考察します。

1 植物食関連送り場土坑
植物食関連送り場土坑とは貯蔵土坑あるいは他の目的が明白な土坑を除いた土坑で貝や獣骨が出土しない土坑です。
植物食関連送り場土坑の時期別分布は次のようになります。

植物食関連送り場土坑
堀之内1式期以外の時期が明白な土坑が少なく、逆に堀之内式期、後期、不明(縄文時代)が多いので時期別考察は出来ないことがわかります。
そこで全期を一括して扱い考察します。

植物食関連送り場土坑 全期
貝層と竪穴住居が形作る環状構造の外にも内にも分布していることが特徴です。
植物食関連送り場土坑には次の異なる機能の土坑が混在している可能性があります。
1 植物や灰などを送った土坑
2 人の最終埋葬土坑(集骨葬)
3 人の一次埋葬土坑(遺体を腐らせて骨だけになるようにすることを目的とした施設)
現状のデータだけでもさらに詳しく分析すれば1、2、3の目星をある程度つけることは可能であると考えますが、その分析は今後の課題とします。

2 トイレあるいは植物食関連送り場土坑
トイレあるいは植物食関連送り場土坑とは形状や出土物からトイレであると推定した土坑です。
縄文時代といえども住居近くに施設としてのトイレを設けて人糞を特定場所に溜めたと考えます。それにより生活環境の悪化を防いだにちいがありません。
トイレは土坑の形状であったと考えられます。
また住居、トイレ、墓、貯蔵庫、送り場(祭祀の場や廃物置き場)などはミクロなゾーニングはあるにしても長年月の総合投影図である発掘図として把握するならば混在していることは当然です。
従って、トイレが土坑の中に存在していることは確実です。
同時に、トイレと推定はしましたが植物食関連送り場土坑との主要な差異は形状だけであり、根拠としては薄弱です。そのため、そのような自信の無さを「トイレあるいは植物食関連送り場土坑」という名前に反映させました。
トイレあるいは植物食関連送り場土坑で時期が判明しているのは堀之内1式期の3基だけであり、他は詳細時期が不明のため全期を一括して考察しました。

トイレあるいは植物食関連送り場土坑 全期
トイレあるいは植物食関連送り場土坑は集落縁辺と中央部に分布しているように観察できます。

3 柱穴

柱穴
柱穴として掘られた土坑(10号土坑)と貯蔵土坑の二次用途が柱穴であるもの(320号土坑)の2基が観察できます。
10号土坑は集落北側に建設された祭祀柱(トーテムポール)、397号土坑は集落南側に建設された祭祀柱かもしれません。

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植物食関連送り場土坑、トイレあるいは植物食関連送り場土坑、柱穴の詳細検討は学習区切りの予定上ほとんどできませんでしたので今後の課題として後日取り組むことにします。
土坑学習のふりかえりと大膳野南貝塚学習全体のふりかえりを行い大膳野南貝塚発掘調査報告書の通読学習を5月一杯で一旦区切ります。
6月から学習視点をリセットして、縄文時代学習および大膳野南貝塚学習のとりまとめ活動をはじめます。

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