縄文土器学習 563
加曽利EⅠ式土器11器を3Dモデルで観察するなかで、脳裏に浮かんだ土器部位の意味や文様の意味についてメモします。完全なる想像(妄想)ですが、この意味に関する想像は縄文趣味学習の中で重要な活動だと考えます。
1 加曽利EⅠ式土器の器形部位の意味
●加曽利EⅠ式土器器形部位の意味
口縁部…天空界(空の上にある、神々が住む見えない世界)
頸部…天空界と地上界の境(風景的な空)
胴部…地上界(現実世界)
●文様の意味
口縁部文様…天空界つまり祖先など神々が住む場所の理想の姿を表現する記号。
把手・突起…天空界に存在する理想の湧泉を表現する記号。
頸部文様…天空界と地上界の境の様子を表現する記号。
胴部文様…地上界の様子を表現する記号。
加曽利EⅠ式土器器形部位の意味(想像)
2 文様で表現される区画の意味
区画文を含めて各種文様で区画される土器表面空間は縄文社会における集落縄張り(集落が排他独占的に利用できる土地空間)を表現していると考えます。
加曽利EⅠ式土器の口縁部、胴部に見られる区画(分節空間)の例
3地文の意味
3-1 縄文
斜め方向の模様は螺旋空間的表現であり、クランク文と類似の意味(多様な土地条件の利用)があると考えます。
3-2 撚糸文
縦方向の模様は雨を表現していると考えます。
4 文様の意味
4-1 「S」(ヨコ)字文
河川と泉の組合わせ記号と考えます。
4-2 区画文
集落縄張り(集落が排他独占的に利用できる土地空間)を表現していると考えます。
4-3 渦巻文
水流における渦巻(豊かな水の象徴)あるいは湧泉を表現していると考えます。
4-4 クランク文
螺旋状に下から上へ空間が移動している様子を表現している記号と考えます。具体的には標高の低い場所(海岸)から台地・丘陵・山地という高い場所まで利用条件の異なる空間の利用を比喩的に表現していると考えます。その意味は生活に必要な多様な土地条件を縄張りに取り込んでいる「豊かな集落環境」を象徴していると考えます。
クランク文、クランク状区画(空間分節)の意味(想像)
4-5 曲線文
河川の記号であると考えます。現代地図記号と同じです。
4-6 棒状沈線文
雨を表現していると考えます。
5 感想
水にかかわる記号が多くなっています。
把手…吹き上がる湧泉
地文 撚糸文…雨
文様 「S」(ヨコ)字文…川
渦巻文…湧泉
曲線文…川
棒状沈線文…雨
これは縄文時代生活環境できれいで量の多い水確保の価値が極めて高かったことを示していると考えます。
きれいで量の多い水が湧泉や川から確保できれば、飲料水のみならず排泄に関する衛生環境の保持なども可能になったのだと考えます。現代人が考えるよりも、縄文人ははるかにきれい好きであり、新鮮で多量の水確保に凝っていたのかもしれません。
参考 加曽利EⅠ式深鉢11器 観察記録3Dモデル総集(試作2)
加曽利EⅠ式深鉢11器 観察記録3Dモデル総集(試作2)
このモデルの用途:加曽利E式土器細分類学習のための補助観察資料
撮影場所:加曽利貝塚博物館令和2年度企画展「あれもEこれもE -加曽利E式土器 北西部地域編-」
撮影月日:2020.11.27 2021.01.06 2021.02.02
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr v5.019で生成
左から
No.38 勝坂・阿玉台末/加曽利EⅠ初深鉢(柏市小山台遺跡B区)
No.37 加曽利EⅠ式深鉢(野田市東亀山遺跡)
No.39 加曽利EⅠ式深鉢(柏市小山台遺跡B区)
No.56 加曽利EⅠ式深鉢(流山市中野久木谷頭遺跡C地点)
No.57 加曽利EⅠ式深鉢(流山市中野久木谷頭遺跡C地点)
No.55 加曽利EⅠ式深鉢(流山市中野久木谷頭遺跡C地点)
No.20 加曽利EⅠ式深鉢(市川市向台貝塚)
No.36 加曽利EⅠ式深鉢(松戸市根木内遺跡第4地点)
No.40 加曽利EⅠ式深鉢(柏市小山台遺跡B区)
No.25 加曽利EⅠ式深鉢(船橋市高根木戸遺跡)
No.21 加曽利EⅠ式深鉢(市川市向台貝塚)
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