埼玉編年のデータベース化による分析的学習 4
縄文土器学習 565
埼玉編年(1982)Ⅸ期・Ⅹ期(加曽利EⅠ式)3群土器について学習しましたので、メモします。
1 埼玉編年(1982)Ⅸ期・Ⅹ期(加曽利EⅠ式)の土器群構成
埼玉編年土器群分類と有吉北貝塚土器群分類の対応
2 3群土器11細分類の理解
…………………
Ⅸ期・Ⅹ期 3群土器 分類メモ
1 主文様帯の位置 口縁部
【Ⅸa期A類(15)】
口縁部文様帯
細隆線文
【Ⅸa期B類(16)】
口縁部文様帯
細隆線文による曲線文
【Ⅸb期A類(13)】
口縁部細隆線渦巻文
胴部にも渦巻文
【Ⅸb期C類(15)】
口縁部・頸部橋状把手4単位
胴部条線文
【Ⅹ期A類(15)】
口縁部重弧文
頸部格子目文
2 主文様帯の位置 胴部
【Ⅸa期C類(17)】
胴部縦位棒状隆帯
4単位眼鏡状突起
条線文
【Ⅸa期D類(18)】
胴部縦位棒状隆帯
口縁部外反、櫛状沈線文
【Ⅸa期E類(19)】
胴部沈線渦巻文
【Ⅸb期B類(14)】
頸部橋状把手
【Ⅹ期B類(16、17)】
口縁部無文
頸部細隆帯
胴部条線文
【Ⅹ期C類(18)】
口縁部無文外反
胴部沈線横走
…………………
埼玉編年(1982)Ⅸ期・Ⅹ期(加曽利EⅠ式)3群土器(曽利式比定土器)分類の理解
3 3群土器分類理解の3D資料化
3群土器分類の理解(カードの空間配置)を3D資料にして、3D空間でカード記述を読めるようにしました。
埼玉編年(1982)Ⅸ期・Ⅹ期(加曽利EⅠ式)3群土器(曽利式土器比定)分類カードの3D展開 素材1
このモデルの趣旨:埼玉編年(1982)土器分類を理解学習するための3Dツール作成用素材
素材3Dモデルの動画
4 感想
ア 関東縄文人が中部高地縄文社会に興味を持つ
加曽利EⅠ式土器の時代に曽利式比定土器(3群土器)と曽利式影響下土器(2群土器)が主体であるキャリパー形土器(1群土器)と一緒に出土します。加曽利E式土器(1群土器)は斉一性の高い土器ですが、中部高地に中心をもつ曽利式土器の影響を受けていることは興味深いことです。関東縄文人が交易等で知る中部高地縄文社会に興味を持っていたことが判ります。
加曽利EⅠ式期には関東では沿岸部における漁業開発が進み、沿岸部だけでなく地域経済全体を潤す側面があり、豊かさが増大したと空想します。一方、その時期に中部高地が経済面でどうであったか知識がありません。関東と中部高地に経済的な格差があったのかどうか知りたいところです。しかし関東で曽利式比定土器や曽利式影響下土器が広範囲にかつ継続して非在地土器として出土する様子は、関東縄文人を引き付ける中部高地の魅力があったことは間違いないと考えます。中部高地に対する何らかの「あこがれ」が関東縄文人にあったと想像します。土偶やヒスイから連想できる精神文化かもしれません。
イ 曽利式比定土器の斉一性の低さ
曽利式比定土器の主文様帯は口縁部にあるものと、胴部にあるものの2種あります。この様子から曽利式土器は加曽利E式土器とくらべて斉一性が低いといえます。加曽利E式土器斉一性の高さ、曽利式土器斉一性の(相対的意味での)低さの理由について今後考えていくことにします。
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