縄文土器学習 558
この記事は2021.03.05記事「加曽利博企画展展示加曽利EⅠ式土器と埼玉編年資料との対応」につづく記事です。
加曽利EⅠ式土器の細分類がどのような指標で行われているのか、その専門分野の様子を知るために埼玉編年資料と加曽利EⅠ式土器11器との対応を検討する学習をすることにします。埼玉編年で行われている詳細な土器分類を詳しく理解することが必要であると直観できたので、しばらく時間を集中投下して、微に入り細にわたる専門家思考を理解することにします。
専門家の土器分類に関する基本的思考方法を理解した上で、将来、観察記録3Dモデルを作成した土器の器形・大きさ・文様等を指標化して、統計的分析等による土器分類(の真似事)を楽しみ、遊ぶことにします。
縄文土器分類の超細部に立ち入らないと、縄文学習の質を高めることができないと直観されます。
1 「加曽利博R2企画展展示加曽利EⅠ式土器と有吉北貝塚及び埼玉編年土器群分類との対応」図の改善
2021.03.05記事における「加曽利博R2企画展展示加曽利EⅠ式土器と有吉北貝塚及び埼玉編年土器群分類との対応」図の対応線(赤線)がゴチャゴチャしていて判りずらいので、総集3Dモデルにおける土器順番を変更して判りやすくしました。また、埼玉編年の土器群分類を色分けして概要を記入しました。
加曽利博R2企画展展示加曽利EⅠ式土器と有吉北貝塚及び埼玉編年土器群分類との対応(仮案)
2 埼玉編年土器群・類の分類概要
2-1 分類手順
Ⅸ期・Ⅹ期の土器群・類の分類は次のようなステップで行われています。
ア 最初に1~5群土器に分類する。
イ 次に各期ごとに群の中を類として分類する。
2-2 群の分類
ア 1群土器
加曽利EⅠ式の主体となるキャリパー形土器。口縁部文様帯に最も特徴を持つ。
イ 2群土器
加曽利EⅠ式段階に関東で成立し、変遷する土器。客体的存在であるが、加曽利EⅠ式土器群の構成において、常に一部を占めている。
ウ 3群土器
中部地方に主体を持つ曽利Ⅰ式、Ⅱ式に比定される土器、あるいは類似する土器。
エ 4群土器
前段階の勝坂式及び中峠式の系統を残す土器。
オ 5群土器
1~4群の浅鉢形土器に対して、浅鉢形を中心に小型土器等の一括。
2-3 期別群別の類の分類と学習方法
次のような期別群別の類の分類が例示実測図対応で説明されています。
埼玉編年土器分類 期別・群別の類の数
全部で66ある類の分類をより具体的に理解し、観察11土器との関係を考察することが大切であると考えます。紙の報告書(のスキャン画像)を読みながら、観察11土器との関係を考察して、仮のものとして対応関係をつけましたが、納得感のある学習にはほど遠いものです。
急いで66類をFileMakerでカード化してその全体像を俯瞰できるように、あるいは分類上の問題点を感じられるようにすることにします。紙報告書を利用した限りでは、類の分類の指標がバラバラであり、具体土器がいろいろな類に当てはめることが出来るような素性であると、生半可ですが、問題意識を感じています。
3 感想
2群土器には呼称に使えるキーワードが見つからなかったので、「他系統影響土器」と仮称することにします。
2群土器という存在をはじめて知り、思い当たる節があります。Ⅹ期2群D類(13)とよく似た加曽利EⅠ式土器を平成30年度加曽利貝塚博物館企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」で観察しました。
加曽利EⅠ式大把手小突起対向土器 No.3
有吉北貝塚出土
出土土器挿図
有吉北貝塚発掘調査報告書から引用
この土器が加曽利EⅠ式土器であるという分類がこれまで納得できませんでした。器形がキャリパー形でないし、口縁部に特段の文様がありません。しかし、加曽利EⅠ式土器のメインではなく、傍流の2群であると知ったので、納得できます。
2群土器が何故1群土器にずっとよりそって随伴するのか、その理由を考察すれば、社会の様子の特徴にせまることになりそうで、興味が深まります。
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並べ替えした総集モデル
並べ替えして総集モデル
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