2022年1月30日日曜日

縄文晩期の弭(ゆはず)の3Dモデル観察

 3D model observation of a Bow-end attachment in the Final Jomon period


I observed a 3D model of a Bow-end attachment made of antler (Kotehashi Shell Mound, Chiba City) that was exhibited at the Chiba City Folk Museum "Chiba City Excellent Archaeological Material Exhibition". This bow-end attachment has a side hole, which may have had a sound-generating function, which is a very interesting relic.


千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」で展示されていた弭形角製品(千葉市犢橋貝塚)を3Dモデルで観察しました。この弭には側面孔が開いていて、それによりこの弭は音響発生機能を有していた可能性があり、とても興味深い遺物です。

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「千葉市出土考古資料優品展」は2022年2月3日~3月10日の期間、千葉市埋蔵文化財調査センターで開催されます。

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1 弭形角製品(千葉市犢橋貝塚) 観察記録3Dモデル Bow-end attachment made of antler

弭形角製品(千葉市犢橋貝塚) 観察記録3Dモデル Bow-end attachment made of antler

撮影場所:千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」

撮影月日:2021.12.24


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 92 images

Bow-end attachment made of antler (Kotehashi Shell Mound, Chiba city) Observation record 3D model

Location: Chiba City Folk Museum “Chiba City Excellent Archaeological Material Exhibition”

Shooting date: 2021.12.24

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 92 images


3Dモデルの動画

2 メモ

2-1 展示説明

「弭形角製品(ゆはずがたつのせいひん) 犢橋(こてはし)貝塚(花見川区さつきが丘)

縄文時代晩期に製作された角製品。鹿角(ろっかく)先端全面を成形し、下部はソケット状に作る。形状から、弥生~飛鳥時代の弭の系譜につながると目される縄文時代の優品である。」

2-2 西野雅人先生の説明

千葉市内出土考古資料優品展関連講座「千葉市の名宝(縄文時代)」(2022.01.22開催)で講師の西野雅人先生(千葉市埋蔵文化財調査センター所長)からこの弭について要旨次のような説明がありました。

・形状からこの弭に代表される縄文晩期弭は弥生時代弭、古墳時代弭、飛鳥時代弭の祖形であると考えられる。縄文時代ツールが直接古代ツールにつながる珍しい例であると考えられる。

・古代弭は飛鳥時代天皇の歌にあるように音がでる仕組みを有していたと考えられ、「なりはず」と呼ばれた。

・この弭も側面孔があいていて、そこに弦を通した痕跡はなく、音を出す機能であった可能性がある。側面孔に共鳴する何かを差し込んでいたかもしれない。


実測図

西野雅人先生講演資料から引用


説明図

西野雅人先生講演資料から引用

2-3 感想

縄文晩期弭がそのまま継続して弥生時代から飛鳥時代まで使われていったという仮説に強い興味をおぼえます。土器や石器など縄文文化の多くのものは弥生時代にすたれましたが、弭だけは伝わったとすれば、その理由を知りたくなります。

同時にこの弭や古代弭が音を出す機能を有していたらしいことにも強い興味を持ちます。弭を付けた弓は楽器のような機能がある道具で、祭祀などで使われるいわゆる第二の道具だったのかもしれません。

この弭展示観覧と西野雅人先生講演を契機に、弭についての興味が生まれましたので、今後学習をスタートさせることにします。


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