2022年7月15日金曜日

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の文様構成要素分布図作成

 Creating a pattern component distribution map for the deep bowl with face handle (Tsukimimatsu Site, Ina City) 


I made a pattern component distribution map of the deep bowl with face handle (Tsukimimatsu Site, Ina City) and examined the pattern composition. The handle is an anthropomorphic frog pattern. One large frog pattern is drawn on the body, and four decorative frog patterns are drawn orthogonal to it. There are 33 frog hands.


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の文様構成要素分布図を作成し、文様構成を検討しました。把手は擬人化カエル文です。胴部には大きな1つのカエル文が描かれ、それに直交して装飾的カエル文が4つ描かれます。カエルの手は33あります。

1 顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡) 観察記録3Dモデル(文様構成要素塗色)

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡) 観察記録3Dモデル(文様構成要素塗色)

縄文時代中期中葉 

撮影場所:伊那市創造館 

撮影月日:2021.11.08 


展示の様子 

ガラス面越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.507 processing 187 images 

Deep bowl with face handle (Tsukimimatsu Site, Ina City) Observation record 3D model (Coloring of pattern components)

Mid-Middle Jomon period

Location: Ina City Sozokan

Shooting date: 2021.11.08

Shooting through the glass surface

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.507 processing 187 images

元観察記録3Dモデルhttps://skfb.ly/ouWWu


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様構成要素分布図

3 メモ

3-1 カエルの手

2本指の「カエルの手」が多数描かれています。顔面把手にもカエルの手が3つ描かれていることから、この顔面はカエル文の擬人化表現であると考えます。

2つの双眼突起の間にはそれぞれ大きなカエルの手が描かれ(点線表示)、さらに重畳して多数のカエルの手が描かれています。中央のカエルの手には半球状の円文も描かれます。

3-2 円環文・円文と三叉文

顔面把手対向位置の双眼突起下には中央に半球状の盛り上がりのある円環文が描かれています。この円環文の下には三叉文が描かれます。円環文には必ずカエルの手が付随することと、類似顔面把手土器事例から、双眼突起はカエルの頭、円環文はカエルの胴と想定します。三叉文は円環文を寿ぐような意味を与える付加的デザインであると考えます。半裁円環文と三叉文のセットが2つの双眼突起の両側に描かれます。この描画は土器文様デザインを豊かにし、カエル文を強調するためのするためのデザイン的仕掛けであると考えます。

3-3 文様全体構成

顔面把手には擬人化カエル文、胴部には大きな1つのカエル文が描かれています。このカエル文に直交する形で装飾的カエル文が4つ描かれています。カエルの手は土器全体で33カウントできました。

なお、顔面把手の裏にはヘビ文と思われる渦巻がありますから、この土器もヘビとカエルの対峙土器といえるようです。


顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)文様構成の検討

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