2022年7月9日土曜日

出産文土器(北杜市海道前C遺跡)の3つ目のカエル文

 The third frog pattern of the Birth pattern pottery (Kaidoumae C site,Hokuto City)


While observing the 3D model of the Birth pattern pottery (Kaidoumae C site,Hokuto City), I found the third frog pattern on the back of the handle, so I made a note of it. Snake and frog are superposed.


出産文土器(北杜市海道前C遺跡)の3Dモデルを観察する中で3つ目のカエル文を把手裏側に見つけましたのでメモしました。ヘビとカエルが重ね合わせて表現されています。

1 出産文土器(北杜市海道前C遺跡)の3つ目のカエル文


出産文土器(北杜市海道前C遺跡)の3つ目のカエル文 カエル文3

出産文土器(北杜市海道前C遺跡)の文様構成 今福利恵(2019)から引用・塗色追記


出産文土器(北杜市海道前C遺跡)の文様構成 GigaMesh Software Framework展開図に表現

カエル文3は今福利恵(2019)に記述されていませんが、カエル文としての要件(双眼、円環文、手表現)を満たしています。

2 参考 出産文土器(北杜市海道前C遺跡) 観察記録3Dモデル

出産文土器(北杜市海道前C遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文時代中期中葉

山梨県指定文化財

撮影場所:山梨県立考古博物館令和4年度春季企画展「心を描く縄文人 -人面・土偶装飾付土器の世界-」

撮影月日:2022.06.01


展示の様子

展示説明:「海道前C遺跡の出産文土器は、出土状況から棺として用いられたものと推察されています。共通する土坑から、男性器を象った石棒もしゅつどしており、墓に葬られた被葬者に対する再生を意図して、性交と出産の隠喩が込められた儀礼が行われた可能性があります。」

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.505 processing 317 images

Birth pattern pottery (Kaidoumae C site,Hokuto City) Observation record 3D model

Mid-Middle Jomon period

Location: Yamanashi Prefectural Archaeological Museum Reiwa 4th Spring Exhibition “Jomon people who draw their hearts-The world of pottery with human face and clay figurines-“

Shooting date: 2022.06.01

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.505 processing 317 images

3 メモ

3-1 カエル文3とヘビ文1との重ね合わせ表現

カエル文3の円環文から双眼にかけてヘビの尻尾状の造形が貼り付いています。この造形は顔面把手正面のヘビ文の尻尾が表現されていると考えます。つまりカエル文3とヘビ文1が立体的に重ね合わせて表現されていると想像します。

カエル文3に気が付く前はヘビ文は把手にのぼり優位であり、カエル文1、2は土器胴部にへばり付き劣位であると想定していましたが、この想定は棄却されました。ヘビとカエルは同位の関係にあります。ヘビとカエルの関係はコイン表裏のように切り離せない関係にあることが想定できます。


ヘビの尻尾のように見える造形

3-2 顔面の意義

今福利恵(2019)では顔面把手の顔面はヘビ文の擬人化表現として捉えられています。しかし、把手にヘビ文とカエル文が重ね合わせて表現されていることが判明したので、擬人化対象は単純にヘビ文であるという考えと、ヘビ文とカエル文双方を擬人化しているという考えの2つが浮かび上がります。他の出産文土器では胴部カエル文の背中に顔面を描いてカエル文の擬人化を図っています。つまり、擬人化はヘビだけの専売特許ではなくカエルにも当てはまります。そう考えると、この土器の顔面はヘビとカエル双方の擬人化をまとめて表現しているように想像できると考えます。

3-3 カエル文2の左足

カエル文2に左足が付いていることを発見しました。


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