2023年2月20日月曜日

柏北部東地区の遺跡展「地中からの目覚め」講演会聴講と展示観覧

 Attending a lecture and viewing an exhibition of ruins in the northeast area of Kashiwa, “Awakening from the Underground”


On February 19, 2023, I attended a lecture on the ruins exhibition "Awakening from the Underground" in the northeast area of Kashiwa at the Chiba Prefectural Central Museum, and also watched the ruins exhibition. I was able to hear interesting talks from 4 professors who are experts in the field, and received a strong intellectual stimulation.


2023年2月19日に千葉県立中央博物館で柏北部東地区の遺跡展「地中からの目覚め」講演会が開催されましたので聴講し、合わせて遺跡展を観覧しました。その分野の専門家4先生から興味深い話しを聞くことが出来、強い知的刺激を受けました。

1 講演会


講演要旨パンフレット 29ページの立派なカラー刷り論文集です。

1-1 柏北部東地区の旧石器時代 -前半期の二つの様相- 島立桂先生((公財)千葉県教育振興財団)

立川ローム層Ⅸ層の時期と立川ローム層Ⅶ~Ⅵ層の時期の石器群の様相比較を軸に話しがありました。前者では北関東などから石材が下総台地に持ち込まれ、遺跡内で利器の製作まで行われ、後者では遠方の東北地方産頁岩を多様し、利器製作は石材産地で行われたと推定されます。こうした状況から前者では気候温暖期の生活が、後者では寒冷期で広域に移動しなければ生活がなりたたない様子がわかるとのことです。大変興味深い話しです。

なお、環状ブロックの成立は多家族が一時的に集結した状況をイメージするのは間違いで、小家族の移動生活の中で、毎年同じ場所でキャンプするのでできるとの説明がありました。知識のない自分にとっては、それならなぜ「環状」になるのか?もう一歩踏み込んだ説明がほしいところでした。


環状ブロック

講演要旨パンフレットから引用

1-2 柏北部東地区の古墳時代 -カマドと土玉と石製模造品- 當眞嗣史先生((公財)千葉県教育振興財団)

特に、古墳時代の炉からカマド成立にいたる話しは興味深いものでした。その変化を戦前囲炉裏台所生活から高度成長時代団地の台所生活に変化する様子と対比して比喩的に説明され、よく理解できました。


炉からカマドへの変遷

講演要旨パンフレットから引用

1-3 小山台遺跡・大松遺跡の縄紋中期土器 -多様で華麗な縄紋を楽しもう- 西川博孝先生(東金市文化財審議会委員)

専門家による縄文土器の話しは。フツーは〇〇式という土器型式名称が多出し、知識虚弱の自分は付いていけないことが多いです。しかし西川先生の話しはそれがほぼゼロであり、文様に対する純粋無垢な興味だけで構成されていました。このような縄文土器の話しをいつか聞きたいと思っていたのですが、それが自分にとってはあまりに突然だったので、メンクライました。

次の渦巻文様は左利き縄文人がつくったという話しは、その解明プロセスの思考レベルの緻密さがハンパナイのでとても楽しかったです。


土器文様

講演要旨パンフレットから引用

1-4 貝塚のあるムラ・ないムラ -海鮮食材利用からみえる縄文社会- 西野雅人先生(千葉市埋蔵文化財調査センター)

面白い話題満載の話しでしたが、アナグマの話しと調味食材の話しに特に興味を持ちました。

アナグマ捕獲用と考えられるトンネル状遺構があるとのことですが、これはつまりは、「アナグマ養殖」みたいなことなのでしょうか。アナグマが生活しやすいようなトンネルを掘っておいて、アナグマが繁殖して増えるまでアナグマを捕獲しないでジットマッテイテ、アナグマの子どもが大きくなったことを見計らって、煙でイブリだしたのでしょうか。


トンネル状遺構

講演要旨パンフレットから引用

調味食材としてのイボキサゴが、貝塚のないムラにどのように運ばれたのか、スープなのか、スープを煮詰めた固形スープなのか、干し貝なのかという設問はとても興味深いものです。

2 遺跡展観覧


遺跡展図録


展示石器


展示人面把手


展示土器


展示土器

3 感想

遺跡展を講演前後や昼休みなどに観覧し、同時に展示に関する講演を聞けたのでとても良かったと思います。

講演では質問の時間があれば、例え1講演につき1~2名だけの質問でもあった方が良かったと思いました。質問を受けない講演はブッキラボーです。


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