2023年3月26日日曜日

有吉北貝塚北斜面貝層の発達史検討

 Investigation of the developmental history of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound


I will observe the stripped cross-section of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound and examine the development history of the shell layer based on the information. First, I studied the description of the development history of the shell layer in the excavation report and deepened my awareness of the problem.


有吉北貝塚北斜面貝層の剥ぎ取り断面を観察して、その情報から貝層発達史を検討することにします。まず発掘調査報告書の貝層発達史記述を学習して、問題意識を深めました。

1 発掘調査報告書における北斜面貝層発達史記述

1-1 発掘調査報告書第11番断面と剥ぎ取り断面の位置関係

発掘調査報告書では第11番断面を例にして貝層発達史を記述しています。千葉県立中央博物館常設展で観覧できる剥ぎ取り断面(一部)は第11番断面の下流0.8mの位置になります。


剥ぎ取り断面と第11番断面の位置関係図

0.8mずれることにより細部は異なってくる可能性はありますが、発掘調査報告書の貝層発達史記述の大局観は剥ぎ取り断面に当てはめることができると考えてよいと思います。

なお、剥ぎ取り断面の厚さは薄い場所で1.5㎝程度、厚い場所で12~3㎝程度です(実寸法を付与した3Dモデルから計測)。

1-2 発掘調査報告書の貝層発達史記述

発掘調査報告書では第11番断面の貝層発達史を次のように記述しています。

「第1段階 崩落した土砂が隅の方に堆積する。この堆積と同時か少し遅れて貝が投棄されており、本位置では土砂とともに上方(南側)から押し流されて堆積したと思われる混貝土層などが堆積する(K・L3・H3・G5・G6・G7・G9層など)。

第2段階 皿状となった窪地に、斜面上(西側)から投棄した貝が堆積する(F5・B2・F3・F2層など)。

第3段階 再び上方(南側)から土砂が、第2段階で投棄された貝とともに押し流されて堆積する(G4・G3・G2・S3・S2・S1層など)。

第4段階 ほぼ埋まった窪地にさらに貝が投棄され、窪地はほぼ完全に埋まり、テラスを持つ斜面となる(E1・C(1)・F1・F・A2・A1・B層など)。


発掘調査報告書における第11番断面の発達史と剥ぎ取り断面

2 発掘調査報告書の貝層発達史記述に関する問題意識

1-2に引用した発掘調査報告書の貝層発達史記述に関して、次のような問題意識を持ちました。

2-1 第1段階の崩落土砂堆積の原因

過去の自分の検討では崩落土砂堆積とはガリー侵食により上流から運搬されてきた土砂が、この場所に堆積したものと考えました。しかし剥ぎ取り断面を観察することにより、この場所におけるガリー侵食でこの場所に堆積した土砂であると考えを変更することができました。急激なガリー侵食作用がこの場で発生して、多量の土砂が乱雑に侵食され、崩落も伴い堆積したものと考えます。

2-2 第1段階の崩落土砂と貝投棄との時期的関係

剥ぎ取り断面を観察すると、第1段階崩落土砂の中に貝殻が確実に混じっています。また貝層がブロック状になり黒土などのブロックと一緒に乱雑に堆積しているところもあります。さらに崩落土砂の中に土器片も存在しています。このような証拠から古い斜面貝層が形成されていたある時期(加曽利EⅡ式期より以前)にガリー侵食が起こり、斜面貝層そのものが崩落堆積したと考えられます。

2-3 第3段階堆積のエピソード性について

発掘調査報告書の記述から、第3段階の堆積は第2段階斜面貝層形成と第4段階斜面貝層形成の間で、エピソード的に行われた(短期間に行われた)ように観察できます。もしそのように解釈すると、第3段階の堆積の原因となった上流域での貝層侵食作用がどのようなものであったのか知る必要があります。

また、第2段階→第3段階→第4段階と時間が経過して行われたと考えると、第2段階と第4段階の間に斜面貝層形成の空白時期が生まれます。人々が斜面貝層形成を中断した時期があり、その時期は第2段階堆積が行われていた時期であるということになり、それでよいのか、合理的に説明する必要があります。

今後剥ぎ取り断面を精査して、第2段階と第3段階が同時異相の関係にあるかどうか、検討することにします。

2-4 貝層と土層が垂直方向に接するメカニズム

断面右寄りで、左岸斜面貝層に起因する貝層と右岸に起因する土層がほぼ垂直に接しています。左岸に起因する物質と右岸に起因する物質が混ざらないで下流方向のベクトルで移動しています。このメカニズムがどのようなものであるのか知る必要があります。下流方向への移動(流れ)は虚弱であったと考えられます。

3 剥ぎ取り断面における発達史検討

2の問題意識を踏まえ、これから剥ぎ取り断面を精査して、貝層発達史に関する情報を集め、順次記事に書きます。


0 件のコメント:

コメントを投稿