2023年3月27日月曜日

有吉北貝塚剥ぎ取り断面の観察 ガリー堆積物

 Observation of stripped cross section of Ariyoshi Kita shell mound Gully sediments


I am observing the stripped cross-section of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, which is displayed at the Chiba Prefectural Central Museum. Since shells and pottery fragments can be observed in the gully deposits at the bottom, it can be inferred that the old slope shell layers have been eroded and lost.


千葉県立中央博物館に展示されている有吉北貝塚北斜面貝層剥ぎ取り断面の観察をしています。最下部のガリー堆積物に貝殻と土器破片を観察できることから、古い斜面貝層が侵食され失われたことが推察できます。

1 ブロック状堆積物の分布

剥ぎ取り断面下部ではブロック状地層断片が乱雑に堆積しています。この堆積はこの場所でガリー侵食があり、それによる堆積物であると考えれらます。


ブロック状堆積物の分布

2 貝殻破片の分布

剥ぎ取り断面下部の堆積物には貝殻破片が混入しています。また一部には貝層そのものがブロック状になって堆積しています。


貝殻破片の分布


ガリー堆積物に貝層ブロックが含まれている様子

注 このブログでは「ガリー堆積物」とはガリー侵食により地層から剥がされた断片が重力と流水の営力で堆積したものを指すことにします。

3 土器破片の分布

剥ぎ取り断面下部の堆積物には土器破片が混入しています。


土器破片の分布


ガリー堆積物に土器破片が含まれている様子

4 ガリー堆積物の堆積面

1~3の情報を踏まえ、ガリー堆積物の堆積面を想定しました。


ガリー堆積物の堆積面

5 ガリー堆積物の検討図

1~4の情報を集成すると次図のようになります。


ガリー堆積物の検討図

6 メモ

発掘調査報告書では「第1段階 崩落した土砂が隅の方に堆積する。この堆積と同時か少し遅れて貝が投棄されており、本位置では土砂とともに上方(南側)から押し流されて堆積したと思われる混貝土層などが堆積する(K・L3・H3・G5・G6・G7・G9層など)。」と記述されています。

しかし、ガリー堆積物(発掘調査報告書でいうところの崩落土砂)に貝層ブロックと土器破片がふくまれているのですから、貝の投棄は崩落の前(ガリー侵食の前)であると考えられます。

つまり、古い斜面貝層の形成があり、土器投棄も行われていたある時期に、ガリー侵食が発生し、古い斜面貝層が失われたことが推察できます。

北斜面貝層から中峠式土器がまとまって出土するので、ガリー侵食で失われた斜面貝層には中峠式期頃の貝層が含まれていたのかもしれません。今後詳しく検討します。



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