2023年9月12日火曜日

ガリー谷頭付近の型式別土器破片分布3Dモデル

 3D model of distribution of pottery fragments by type near the head of the gully


Pottery from each period after the early period has been excavated near the head of the gully in the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. Pottery dumping activities existed from the early period, indicating that gully erosion was weak at least from that period onwards.


有吉北貝塚北斜面貝層におけるガリー谷頭付近では前期土器以降の各時期土器が出土します。前期から土器投棄活動が存在し、少なくともその頃以降はガリー侵食が虚弱だったことがわかります。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 ガリー谷頭付近の型式別土器破片分布3Dモデル

有吉北貝塚北斜面貝層 ガリー谷頭付近の型式別土器破片分布3Dモデル


凡例

貝層断面図2より上流域をここでのガリー谷頭付近とします


有吉北貝塚北斜面貝層 ガリー谷頭付近の型式別土器破片分布3Dモデル画像


有吉北貝塚北斜面貝層 ガリー谷頭付近の型式別土器破片分布3Dモデル動画


参考 有吉北貝塚北斜面貝層谷頭部付近土器破片分布

2 メモ


有吉北貝塚北斜面貝層 谷頭部破片数の割合(%) 表


有吉北貝塚北斜面貝層 谷頭部破片数の割合(%) グラフ

ガリー谷頭付近の型式別土器破片分布をみると、前期土器以降全ての土器型式が出土します。また前期土器と阿玉台式土器は出土全破片に対する割合が高くなっています。この情報から次の推測の合理性が高いと判断します。

・前期土器から加曽利EⅡ式新段階土器まで、谷頭部の上から谷底に向けて土器投げ入れによる廃用土器投棄活動が行われてきた。

・谷頭部の上から谷底に向けて投げ入れられた土器の破片の一定数は谷頭部急斜面に「引っかかって」その場に堆積して、下流に流れ出ることが少なかった。そのため、前期土器や阿玉台式土器では谷頭部の土器破片がだけが残存し、下流に流れ出た土器破片はより下流にはこばれたので、谷頭部出土の割合が大きくなった。

・前期土器以降の各時期の土器型式が谷頭部から出土することから、ガリー谷頭部がすでに強い侵食力にさらされていないことがわかります。少なくとも前期以降は、このガリー侵食谷における侵食営力ははなはだ虚弱であったと考えられます。このガリー侵食谷が発達した時期がいつの時代であるのか、興味学習の対象となります。(前期以降にガリー侵食が虚弱であった様子は、下流の貝層断面に侵食力を示す土砂層が全くと言っていいほどみられないことからも判ります。)

・ガリー侵食が台地集落に迫り、縄文人が危機意識、防災的意識から貝殻や土器を投棄したという想像の成立は難しい感じです。

・ガリー侵食により台地付近の竪穴住居が谷底に流れ込み、それにより竪穴住居に存在していた大量の遺物が貝層に流れ込んだという想像も成立は困難です。


0 件のコメント:

コメントを投稿