2023年9月2日土曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 発掘調査全原票の複写

 North Slope Shell Layer of Ariyoshi Kita Shell Mound

Photocopy of all excavation records


I have now made copies of all the original records of the excavation survey of the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound and can now use them on my computer. ''Creating a detailed 3D model of the north slope shell layer'' and ''Visualizing the north slope shell layer'', which were only dreams a while ago, are nearing realization.


有吉北貝塚北斜面貝層の発掘調査全原票を複写し、自分のパソコンで利用できるようになりました。少し前まで夢想レベルであった「北斜面貝層の精細3Dモデル作成」「北斜面貝層の見える化」の実現が近づきました。

1 有吉北貝塚北斜面貝層の発掘調査全原票複写

1-1 経緯

7月に2日間をかけて、有吉北貝塚北斜面貝層の発掘調査全原票(A2判図面450枚、遺物台帳4600ページ)の精細リストを作成しました。

2023.07.31記事「有吉北貝塚北斜面貝層 発掘調査全原票の閲覧


図面集リストの概要


遺物台帳リスト

このリストに基づいて千葉県教育委員会に申請し許可を得て、8月に4日間をかけて、発掘調査報告書全原票を複写しました。

1-2 複写方法

A2判図面は全部をA2対応スタンドスキャナー(サンワサプライ、400-CAM088)で撮影しました。

同時に計測に使う遺物分布図や注記文字の確実な判読を必要とするセクション図等250枚はA3フラッドヘッドスキャナー(サンワサプライ、PSC-12UF)で2枚程度に分割してスキャンしました。

図面は薄鉛筆で、手書き微細文字で、なおかつ30数年経って紙自体が経年劣化しています。同じ解像度で印刷物をスタンドスキャナーで撮影した場合、十分に判読できるのですが、今回図面は満足できる結果にならなかったのでフラットヘッドスキャナーで分割スキャンしました。


スタンドスキャナーによる図面撮影の様子


フラットヘッドスキャナーによる図面スキャンの様子

遺物台帳(A4判綴じ冊子14冊)は全てスタンドスキャナーで撮影しました。撮影結果は情報を得るためだけの目的に照らすと十分に満足できるものです。また超高速に作業ができました。もしフラットヘッドスキャナーを使っていれば、厚手の冊子で浮き上がった部分が生じ、そこの部分は判読できない恐れがあります。また時間も数倍はかかります。


スタンドスキャナーによる遺物台帳撮影の様子

1-3 複写結果 例


A2判図面(スタンドスキャナーによる撮影)


A2判図面(スタンドスキャナーによる撮影)


A2判図面(フラットヘッドスキャナーによるスキャン)


遺物台帳(スタンドスキャナーによる撮影)

1-4 謝辞

資料複写作業は千葉県教育委員会森宮分室(大多喜町)でさせていただきました。広い贅沢な作業空間を利用させていただき、なおかつ外気温を忘れさせる超快適環境にしていただき、作業ははかどりました。お世話になった主任上席文化財主事高梨俊夫様に感謝申し上げます。

2 メモ

複写資料を使えば、北斜面貝層出土主要全遺物の3D座標を知ることができます。しかし、複写資料の本格活用学習を始める前に、次のような準備及び腕ならし学習を楽しむことにします。

2-1 複写資料整理

A2判図面のうち遺物分布図、セクション図をメッシュ別フォルダーに整理格納して、即座に利用できるようにします。

2-2 セクション図検討

数十枚にわたるセクション図を子細に検討して、発掘調査報告書記載以上の情報がどのように汲み取れるか明らかにします。この検討ができるだけで、ワクワクしてきます。

2-3 294土器破片の3D分布資料

294土器は現物閲覧して破片の遺物番号をすべて調査してあります。従って、複写資料を使えば、精細な土器破片3D分布モデルを作成することができます。この原票由来土器破片3D分布モデルと発掘調査報告書グラフ由来土器破片3D分布モデルを比較して、発掘調査報告書グラフの精度についての肌感覚を知りたいと思います。

2-4 崩落層から土器破片が出土しているかの予備調査

崩落層があるメッシュを対象に、崩落層分布深度から遺物が出土しているか、予備試行的に調査して、崩落層検討の手がかりを得たいと思います。


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