2024年9月24日火曜日

有吉北貝塚北斜面貝層 UR-fl分布

 UR-fl distribution in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound


A distribution map of UR-fl (a classification of flake stone tools) excavated from the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita shell mound has been created. The distribution is biased, so this is a piece of information that requires further investigation.


有吉北貝塚北斜面貝層から出土したUR-fl(剥片石器の一分類)の分布図を作成しました。分布の様子が偏っていて、要検討資料になります。

1 有吉北貝塚北斜面貝層 UR-fl分布

有吉北貝塚北斜面貝層 UR-fl分布

データ:発掘調査報告書

3DF Zephyr v7.531でアップロード


3Dモデルの画像

2 メモ

2-1 UR-flについて


UR-flの挿図 北斜面貝層出土分

UR-flは剥片石器の一分類ですが、定形的な分類に当てはまらない剥片石器群をUR-fl(使用痕のある剥片)、OEF(楔形石器の剥片)、剥片一般に3分類したもののようです。(詳しい分類ドキュメントが発掘調査報告書には掲載されていないので、私の感想です。今後関係者に聞く機会があれば、分類方式を詳しく聞きたいと思います。)

恐らく、この剥片石器群の3分類はとても微妙ですから、個人によって、あるいは作業ロットの大小(1つの遺物観察に使える時間の量)によって、あるいは分類時期(分類習熟過程の違い)によって異なってくると考えます。

2-2 UR-flの遺構別出土数


UR-fl出土数

北斜面貝層の出土数が異常に少なくなっています。この遺構別出土数の分布は遺構別作業で統一が図られていないことによると想定します。

もし、そのような作業上の問題がなければ、北斜面貝層だけ特段にその数が少ない事象はきわめて鋭い問題意識を惹起します。

2-3 北斜面貝層におけるUR-fl分布

北斜面貝層のグリッドはⅠゾーン、Ⅱゾーン、Ⅲゾーン、Ⅳゾーン毎に10×10に区画されています。UR-flの分布はⅢゾーンだけに限定されています。このデータは作業上の特性(ⅢゾーンでしかUR-flが抽出されなかった)を表現していると想定します。

したがって、詳しい分析は略します。

もし、この分布が作業上の特性ではなかったならば、きわめて鋭い問題意識を惹起します。

3 感想

多量の石器を一つのストーリーで正確に分類することは、数年にわたり、何人もの担当者が変わるなかで、とても困難である様子を垣間見ました。


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