2024年9月26日木曜日

マメ圧痕多数土偶に関連したメモ

 Notes related to clay figurines with numerous bean impressions


I believe that the Middle Jomon clay figurines (Jorinji site, Ina City, Nagano Prefecture), where numerous bean impressions can be observed, are clay figurines praying for a good harvest in bean cultivation. In relation to this, I compared the distribution of bean excavations and clay figurines excavated in the middle Jomon period in the Japanese archipelago. I believe that it is no coincidence that the high-density distribution areas of beans and clay figurines coincide in the central highlands.


マメ圧痕が多数観察できる縄文中期土偶(長野県伊那市常輪寺遺跡)を、マメ栽培の豊作を祈願した土偶であると考えました。関連して、列島縄文中期のマメ出土分布と土偶出土分布を比較してみました。マメと土偶の高密度分布域が中央高地で一致することは偶然ではないと考えます。

1 マメ圧痕が多数観察できる縄文中期土偶

土偶上半身(長野県伊那市常輪寺遺跡)観察記録3Dモデル画像


主なマメ圧痕とマメ遺体


主なマメ遺体

2024.09.22記事「土偶上半身(長野県伊那市常輪寺遺跡)観察記録3Dモデル

2 縄文時代のマメ科種子出土状況


中山誠二著「マメと縄文人」(2020、同成社)

中山誠二著「マメと縄文人」(2020、同成社)に、土器などに圧痕や遺存体で残されたマメ科種子の出土状況が表と分布で掲載されています。この資料から縄文中期のマメ分布(縄文人のマメ利用分布)を知ることができます。


縄文時代のマメ科植物分布図

中山誠二著「マメと縄文人」(2020、同成社)から引用


縄文時代のダイズ属・アズキ亜属の時期別分布

中山誠二著「マメと縄文人」(2020、同成社)から引用

この資料から縄文中期のマメ分布(縄文人のマメ利用分布)を知ることができます。

3 縄文時代の土偶分布


「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992、土偶特集号)

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992、土偶特集号)に当時の土偶悉皆調査結果が掲載されています。32年前の情報です。その後土偶出土例は大幅に増えています。しかし、土偶の地域相対的分布状況に大きな変化はないものと考え、この情報を使って、列島の土偶分布を把握することにします。


時期別土偶数

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成


土偶の分布(全時期県別分布)

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成


早期土偶分布

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成


前期土偶分布

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成


中期土偶分布

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成


後期土偶分布

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成


晩期土偶分布

「国立歴史民俗博物館研究報告第37集」(1992)から作成

2020.07.08記事「1992年全国土偶集成情報の分析

4 縄文中期マメと土偶の分布


縄文中期マメと土偶の分布

長野県伊那市でマメ栽培豊作祈願と考えられる土偶が出土したのは縄文中期です。その縄文中期のマメと土偶の分布図を並べてみると、高密度分布域が中央高地で一致します。マメ栽培と土偶が密接に関連していることの一つの有力材料です。土偶がマメや他の栽培植物の豊作祈願道具であった可能性が浮かび上がります。

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