2025年2月6日木曜日

セクション図(貝層区分図)解析に着手

 Analysis of section map (shell layer division map) has begun


Analysis of the section map (shell layer division map, B3 size, 87 pages) of the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound has begun. The original section map is caked with mud and blood (scratches?), reminiscent of the struggle at the site. I would like to maximize the value of this valuable information using 3D technology.


有吉北貝塚北斜面貝層のセクション図(貝層区分図、B3判、87葉)解析に着手しました。セクション図原図には泥や血(擦り傷か)がこびりつき、現場格闘の跡が偲ばれます。その貴重情報の価値を、3D技術で最大限引き出したいです。

1 セクション図の整理

87枚のセクション図(貝層区分図、B3判)を32断面に集成し、Illustratorファイルとしました。

2 セクション図の特性

セクション図集成作業の中で、次のような感想を持ちました。

・貝層区分の数がセクション同一図内だけで数十に及び、詳細を極める。

・同一セクション図内でも同じ記号で別の貝層区分を定義しているものがあり、記号-定義の整合性が弱い。場所が離れると、記号-定義の整合性は存在していないように観察できる。

・記号の定義が他断面参照と記載されているものがあるが、参照先にその情報が見つからないものがある。

・記号の定義が記載されていないものがかなり存在する。

3 セクション図検討のための作業

3-1 現場で定義された貝層区分のデータベース化

セクション図毎の詳細貝層区分定義をデータベースに収録して、遺物台帳における貝層区分とセクション図貝層区分をリレーションできるようにします。

これにより、現場における詳細貝層区分をデータベースで保持できるようにします。

3-2 分析のための貝層新区分設定

貝層発達検討のために独自の貝層区分(貝層新区分)を設定します。独自区分は現場における詳細区分を類型的に集成して行います。貝層3Dモデルは貝層新区分により行うものとします。

4 貝層新区分試案イメージ


有吉北貝塚北斜面貝層の貝層区分の予察的試案

斜面貝層・・・・・・・・斜面上部から投棄された貝層や層状堆積層

二次堆積貝層・・・・・・水流で上流から運ばれ堆積した貝層・堆積層

崩落層・・・・・・・・・ガリー侵食で崩落した台地構成地層

二次堆積崩落層A・・・・・崩落層前面に形成された二次堆積崩落層(左岸側)

二次堆積崩落層B・・・・・水流で上流から運ばれ堆積した崩落層(右岸側)

崩落層、二次堆積崩落層A、斜面貝層は重力や斜面を伝わる雨水で上部から落下・投棄・移動してきた堆積物です。移動の少ない堆積物です。

二次堆積貝層、二次堆積崩落層Bは水流で断面図と直角に交わる縦断方向上流から運ばれてきた堆積物です。移動の大きな堆積物です。

なお水流といっても、この場所に常時水流はなく、年に数回の大雨の時だけの水流です。(ガリー侵食は地下水位より上の地層で生じます。)

なお、崩落層最下部から貝殻と土器片が出土していて、ガリー侵食と貝塚形成が同時進行であったことが判明していて、その事象は特筆されるべき事実です。

2025.01.27記事「メモ 崩落層最下部層から貝殻・土器片出土

このような仮説的貝層区分試案を念頭に解析作業を進め、より合理的な貝層区分案を作成し、意義の大きな貝層・遺物3D分布把握を目指します。


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