Material: Relationship between the "excavated shell layer" in the artifact ledger and the "separate shell layer" in the cross-section of the shell layer
The relationship between the "excavated shell layer" in the artifact ledger and the "separate shell layer" in the cross-section of the shell layer for the pottery in the shell layer on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound was clarified using a test grid. It was understood that the "separate shell layer" in each cross-section is independent and cannot be joined.
有吉北貝塚北斜面貝層の土器について、遺物台帳に記載されている「出土貝層」と貝層断面図の「分層貝層」との関係をテストグリッドで明らかにしました。断面毎の「分層貝層」は独立していて、接合できないことを理解しました。
1 遺物台帳の「出土貝層」と貝層断面図「分層貝層」との関係
遺物台帳の「出土貝層」と貝層断面図「分層貝層」との関係
テストグリッド(331グリッド)の遺物(土器・土製品)について、遺物台帳の「出土貝層」と貝層断面図「分層貝層」との関係を明らかにしました。
遺物台帳データの「出土貝層」記述は10断面分層体系に対応するものと11断面分層体系に対応するものに二分されます。
その二分されたデータは空間的にほぼ棲み分けし、10断面分層体系に対応するデータは10断面に近い空間に、11断面分層体系に対応するデータは11断面に近い空間に分布します。
また、10断面と11断面の分層体系は全く異なり、接合性や整合性はありません。
2 貝層断面図の分層貝層分布と対応土器の空間的分布との関係
10断面対応対応貝層出土土器の分布
10断面の分層貝層分布と対応土器を断面図にオルソ投影した空間的分布の関係をみると、その関連がよくありません。B-1層とC-2層では土器の分布が広がっていて、単一の分層貝層から出土した様子を汲み取ることができません。I層出土土器は断面図I層の場所から離れた場所に分布します。
11断面対応対応貝層出土土器の分布(と想定移動方向)
11断面における関係は10断面と異なり、土器分布と分層貝層分布がほぼ対応しています。
3 メモ その1
1と2の結果から、発掘作業は断面図に近い場所毎に独立した単位作業として行われ、そこで使われる分層体系は独立していることがわかりました。
それぞれの単位作業では、分層貝層を忠実に反映したデータを作成する場合もあれば、データを一括して特定の分層貝層に当てはめてしまう場合があることもわかりました。データを一括して特定の分層貝層にあてはめてしまうという簡易的な処理は、遺物台帳記載の仕方を見ると感じることができます。
そもそも、「分層された貝層」そのものが全て、縦断的・横断的に混土率・破砕率・貝種・層の色が漸移的に変化します。ある断面で「分層された貝層」を別の断面に接合しようとする行為自体が原理的にできないことであると考えます。
10断面の分層貝層と11断面の分層貝層を対比・接合させることはできないと考えます。
また、遺物台帳の「出土貝層」記述は正確な場合もあれば、信頼できない場合もあるということが資料を扱う上での感想になります。
4 メモ その2
発掘資料における(必要以上に詳細な)分層を離れて、例えば貝層断面写真から新たに自分で全体を鳥瞰すれば、別次元の貝層対比・対応・空間的連続性を見つけられる可能性は否定できません。斜面貝層に視点を物理的に近づけしすぎると、見えるものも見えなくなる可能性があります。
0 件のコメント:
コメントを投稿