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2024年8月4日日曜日

中空土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of hollow clay figurine (Uchino No.1 Site, Chiba)


I created a 3D model of the observation record of the hollow clay figurine (Uchino No.1 Site, Chiba) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum's special exhibition "Faces of Clay Figurines from the Jomon Period." Because the clay figurine is small, the details could not be observed in the exhibit, but with the 3D model, it is now possible to observe them in detail. The right ear has an earring with a circle and a cross pattern.


加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」に展示されている中空土偶(千葉市内野第1遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。土偶が小さいため、展示では細部が観察できなかったのですが、3Dモデルで詳しく観察できるようになりました。右耳に〇に十字文様の耳飾りがあります。

1 中空土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

中空土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代晩期

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.07.18


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 238 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

展示では、現物が小さくしゃがみ込む姿勢でないと正面が良く見えないため、細かい観察ができませんでした。しかし、3Dモデルにすると、じっくり観察することができます。

・口と鼻が接触しているように造形されている。

・下顎が出っ張っているような口になっている。

・口の周りにブツブツがあるように感じる。(意図した造形ではない可能性もある。)

・右顔面輪郭が顔から出っ張る大きな耳のような形状になっていて、異様である。

・右顔面輪郭の後ろに〇に十字文様の耳飾りが観察できる。

【考察】

この土偶の顔面は平面的ではなく、とても立体的に造形されています。しかし、顔面輪郭が強調されて造形されていて、その後ろに耳飾りがあります。この造形から、この土偶は仮面を被った顔面(顔面は平面になる)の女神像に由来する造形であると考えます。作者は中空土偶という立体的土偶をつくる際に、リアルな仮面姿を造形するのではなく、自分のイメージでこの土偶を造形したものと想像します。


2020年11月5日木曜日

中空土偶[河童形土偶](東金市鉢ヶ谷遺跡)の3Dモデル作成と観察

 縄文土器学習 489

千葉県立中央博物館令和2年度企画展「ちばの縄文」に展示されている中空土偶[河童形土偶](東金市鉢ヶ谷遺跡)の3Dモデルを作成し観察しました。この土偶は縄文中期前葉頃における房総と中部高地を結びつける重要遺物であると考えています。

1 中空土偶[河童形土偶](東金市鉢ヶ谷遺跡) 観察記録3Dモデル

中空土偶[河童形土偶](東金市鉢ヶ谷遺跡) 観察記録3Dモデル

縄文中期五領ヶ台式期、土坑出土遺物

撮影場所:千葉県立中央博物館令和2年度企画展「ちばの縄文」

撮影月日:2020.10.27

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.009 processing 70 images


展示の様子


実測図

「千葉県の歴史 資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物)」から引用


3Dモデルの動画

2 観察

詳しい観察は順次行いますが、一瞥して、腹中央孔の回りに花びら様の模様が存在し、それをよく見ると意図的に表面部分だけが破壊された跡であることがわかります。破壊される前の土偶の表面(原面)がところどころに残っていますから、かなり手加減して破壊されています。破壊は丸い鉛筆程度の棒(あるいは石器?)でつついて破壊したように観察できます。

印象としては完全な土偶の一部を意図的儀式的に壊して土偶に埋納したと想定できます。同じ河童形土偶の系譜に位置する「縄文のビーナス」(長野県茅野市棚畑遺跡)も足を一部壊して埋納されています。


腹中央の意図的破壊部分の様子

3 問題意識

この土偶に関して次の記事で、縄文中期における房総と中部高地の関係を次のように考察しました。

2020.07.09記事「「縄文のビーナス」と系譜を同じにする千葉県出土土偶」

2020.07.15記事「房総における縄文中期土偶の検討課題」

・中央高地中期土偶の影響力が房総土偶拒否地帯(貝塚地帯)を飛び越えて九十九里に及んでいます。影響力が飛び地的に及んでいる様子は銚子産コハク製品が中期土偶の本拠地・本山ともいえる棚畑遺跡に届いていることからも明白です。

・房総中期貝塚社会が土偶を拒否している様子と土偶文化の影響力を執拗に拡大しようとしている中央高地社会の「対立」「せめぎ合い」「土地争い」のような様相を感じることができます。

・中空土偶[河童形土偶](東金市鉢ヶ谷遺跡)の実物観察とその観察記録3Dモデル作成という予期しなかった機会に遭遇しましたので、房総縄文社会と中部高地縄文社会の関係解明に取り組みたいと思います。


縄文中期土偶検討イメージ図


2020年7月18日土曜日

巨大な中空土偶

縄文土器学習 428

加曽利貝塚博物館で現在開催されている「ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編」に巨大な中空土偶の顔と上半身の一部が展示されています。観察記録3Dモデルをつくって観察してみました。

1 中空土偶(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル

中空土偶(君津市三直貝塚) 観察記録3Dモデル
縄文後期~晩期
千葉県教育委員会所蔵
撮影場所:加曽利貝塚博物館 ミニ企画展示「県内縄文遺跡展」-千葉県の縄文時代研究を彩った遺跡たち- 君津市三直貝塚編
撮影月日:2020.07.14
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.001 processing 48 images

展示の様子

特殊モード写真

動画

2 観察
・顔面はまるい目、口、耳及び口から斜め上方に伸びる細長い陰刻(ほとばしる血しぶきと判断)が確認できて、ミミズク土偶の巨人版といった印象を受けます。
・3Dモデルで顔面上部から体部下部までの距離を計測すると約20.5㎝でした。

中空土偶計測の様子

・この土偶には腰に飾りのような出っ張りがあります。おなじような出っ張りがある巨大中空土偶の体下部出土例を参考にすると、この中空土偶の高さは40㎝位と推定できました。土偶としては最大級になると考えます。

中空土偶体高の推測

・古墳時代の埴輪のような大きさであり、三直貝塚人の祭祀にかける意気込みの大きさに驚きました。