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2026年9月20日日曜日

人面付土版(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

 3D Observation Model of a Clay Tablet with a Human Face (Uchino Site No. 1, Chiba City)


I created a 3D observation model of a clay tablet featuring a human face that evokes the look of a comical toddler. This marks the fifth time I have created a 3D observation model of this specific artifact; it possesses a compelling quality that ensures I create such a model whenever it is exhibited.


ひょうきんな幼児の顔を連想させる人面付土版の観察記録3Dモデルを作成しました。この土版は過去4回観察記録3Dモデルを作成していて、今回が5回目です。展示されれば観察記録3Dモデルを必ず作成させるだけの魅力があります。

1 人面付土版(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

人面付土版(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代晩期前葉

千葉市指定文化財

撮影場所:加曽利貝塚博物館「令和8年度企画展 新千葉市指定文化財記念 ちばの宝物」

撮影月日:2026.09.02


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v9.013 processing 163 images


3Dモデルの動画


3Dモデル画像


参考 実測図

発掘調査報告書から引用

2 メモ

この人面付土版(千葉市内野第1遺跡)の観察記録3Dモデルは過去4回の別会場展示で作成しています。今回の観察記録3Dモデル作成は5回目となります。千葉市の宝物ですから、展示会場で見かければ必ず観察記録3Dモデルを作成することになります。とても興味をひく遺物です。

2020.02.05 人面付土版 観察記録3Dモデル

2022.01.09 人面付土版(千葉市内野第1遺跡)の観察記録3Dモデル

2024.09.05 人面付土版(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル

2026.01.28 人面付土版3点 観察記録3Dモデル



2026年1月7日水曜日

ミミズク土偶(安行式)(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

 3D Observation Record Model of the Horned Owl Clay Figurine (Angyo Style) (Chiba City Uchino No.1 Site)


I created a 3D model of the observation record of the Horned Owl Clay Figurine (Angyo Style) on display at the Chiba City Museum of Local History. I previously enjoyed imaginatively examining the clay figurine on the right based on the "Hainuwere-type myth."


千葉市立郷土博物館に展示されているミミズク土偶(安行式)の観察記録3Dモデルを作成しました。右土偶については以前、「ハイヌヴェレ型神話」に基づいて、空想的検討を楽しんだことがあります。

1 ミミズク土偶(安行式)(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

ミミズク土偶(安行式)(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:千葉市立郷土博物館

撮影月日:2026.01.04


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v8.038で生成 processing 75 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像(テクスチャ有り)


3Dモデルの画像(テクスチャ無し)


3Dモデルの画像(テクスチャ有りと無しのハードライトミックス)


3Dモデルの画像(テクスチャ有り)


3Dモデルの画像(テクスチャ無し)


3Dモデルの画像(テクスチャ有りと無しのハードライトミックス)

2 メモ

展示向かって右の土偶については、吉田敦彦著「縄文の神話」(青土社 1987)などで紹介された「ハイヌヴェレ型神話」に基づいて、空想的検討を楽しんだことがあります。

2020.08.30記事「ミミズク土偶の異様性」など


実測図 千葉市内野第1遺跡発掘調査報告書から引用


2024年9月5日木曜日

人面付土版(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル

 Clay tablet with human face (Uchino No. 1 Site, Chiba City) Observation record 3D model


I created a 3D model of the observation record of the clay tablet with human face (Uchino No. 1 Site, Chiba City) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition "Faces of Clay Figurines from the Jomon Period." Based on the principles of cognitive archaeology, I believe that this human face expresses cuteness and youth. From the pattern of two strings tied together on the back, I imagined that this clay tablet was a marriage prayer tool for women to hold in their hands.


加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」に展示されている人面付土版(千葉市内野第1遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。認知考古学原理からこの人面はかわいらしさ、幼さを表現していると考えます。裏面の2つの紐が結ばれる文様から、この土版は手で握る女性用結婚祈願具と想像しました。

1 人面付土版(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル

人面付土版(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.08.27


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 141 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 参考 土偶人面


ミミズク土偶の人面 加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

同時期ミミズク土偶の人面は目や口がしっかりと造形されていて、人面付土版(千葉市内野第1遺跡)の人面と比べると、「わいらしさ」、「幼さ」という印象はあまり持てません。「びっくり」の印象はうけます。

3 人面の可愛さ(幼さ)

この土版の人面から受ける印象は可愛さ(幼さ)です。この印象は現代人の多くが受ける印象であると考えます。認知考古学原理から、縄文人がこの人面をつくるときに可愛さ(幼さ)を表現したものと考えます。


認知考古学原理による顔表情の理解

参考 2021.12.15記事「認知考古学の意義について気が付く cognitive archeology」

4 人面付土版の理解(想像)

人面付土版の人面表情と、展示裏面の文様(二つの紐(アイテム)が結ばれる文様)から、この土版は手で握る女性用結婚祈願具であると想像します。


人面付土版(千葉市内野第1遺跡)の理解(想像)

土版本来の表面、裏面は展示と逆であると考えます。人面(赤ん坊)は女性が渇望するものですが、あくまでも結婚の副産物であり、この土版の主題は「二つの紐(アイテム)が結ばれる文様」=結婚であり、その文様面が表面と考えます。

表面を右手で握った時にできる擦り跡(微細な欠損)が観察できます。

今風に言えば、千葉市内野第1遺跡に結婚式場があり、その結婚式場にこの儀器が備えられていて、近在人々の結婚がある時に、この結婚式場が使われ、花嫁がこの人面付土版を右手で握ってふりながら結婚の誓いを述べた…、というような情景で使われたと夢想します。


2024年8月4日日曜日

中空土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of hollow clay figurine (Uchino No.1 Site, Chiba)


I created a 3D model of the observation record of the hollow clay figurine (Uchino No.1 Site, Chiba) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum's special exhibition "Faces of Clay Figurines from the Jomon Period." Because the clay figurine is small, the details could not be observed in the exhibit, but with the 3D model, it is now possible to observe them in detail. The right ear has an earring with a circle and a cross pattern.


加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」に展示されている中空土偶(千葉市内野第1遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。土偶が小さいため、展示では細部が観察できなかったのですが、3Dモデルで詳しく観察できるようになりました。右耳に〇に十字文様の耳飾りがあります。

1 中空土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

中空土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代晩期

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.07.18


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 238 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

展示では、現物が小さくしゃがみ込む姿勢でないと正面が良く見えないため、細かい観察ができませんでした。しかし、3Dモデルにすると、じっくり観察することができます。

・口と鼻が接触しているように造形されている。

・下顎が出っ張っているような口になっている。

・口の周りにブツブツがあるように感じる。(意図した造形ではない可能性もある。)

・右顔面輪郭が顔から出っ張る大きな耳のような形状になっていて、異様である。

・右顔面輪郭の後ろに〇に十字文様の耳飾りが観察できる。

【考察】

この土偶の顔面は平面的ではなく、とても立体的に造形されています。しかし、顔面輪郭が強調されて造形されていて、その後ろに耳飾りがあります。この造形から、この土偶は仮面を被った顔面(顔面は平面になる)の女神像に由来する造形であると考えます。作者は中空土偶という立体的土偶をつくる際に、リアルな仮面姿を造形するのではなく、自分のイメージでこの土偶を造形したものと想像します。


2024年7月31日水曜日

全面赤彩の山形土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of Yamagata clay figurine  painted entirely in red (Uchino No.1 Site, Chiba)


I created a 3D model of the observation record of the Yamagata clay figurine  painted entirely in red (Uchino No.1 Site, Chiba City) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition “Faces of Clay Figurines from the Jomon Period”.I have enjoyed creating various 3D models of this clay figurine in the past, including interference color 3D models and measured-style 3D models.


加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」に展示されている全面赤彩の山形土偶(千葉市内野第1遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。この土偶は過去に干渉色3Dモデル、実測図風3Dモデルなど多種3Dモデル作成を楽しんだことがあります。

1 全面赤彩の山形土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

全面赤彩の山形土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代後期

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.07.18


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 93 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 メモ

この土偶は過去に何回も3Dモデルを作成して楽しんだことがあります。

2-1 最初の3Dモデル作成

2020.08.23記事「全面赤彩された山形土偶頭部の3Dモデル」


2020.08.233Dモデル画像

2-2 赤色立体原理適用

2022.02.06記事「山形土偶3Dモデルへの赤色立体原理適用」


山形土偶の赤色立体画像

2-3 干渉色で塗る

2022.03.27記事「干渉色に塗った山形土偶3Dモデル」


干渉色に塗った山形土偶3Dモデル

2-4 実測図風線分による3Dモデル表現

2022.03.22記事「実測図風線分による3Dモデル表現」


実測図風線分による3Dモデル 1


実測図風線分による3Dモデル 2

2-5 実測図風書き込み山形土偶3Dモデル

2022.03.20記事「3Dモデルテクスチャ画像の書き込み」


実測図風書き込み山形土偶3Dモデル

2-6 山形土偶干渉色動画

2022.02.06記事「山形土偶画像を干渉色に変換し位相をずらした動画」



山形土偶画像を干渉色に変換し位相をずらした動画

2-7 参考 発掘調査報告書掲載実測図


発掘調査報告書掲載実測図


発掘調査報告書掲載実測図

2024年7月29日月曜日

みみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of owl clay figurine (Uchino No.1 Site, Chiba City)


I created a 3D model of the observation record of the owl clay figurine (Uchino No.1 Site, Chiba City) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition “Faces of Clay Figurines from the Jomon Period”. I felt that this owl clay figurine was also a clay figurine that depicted the figure wearing a mask, that is, a masked clay figurine.


加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」に展示されているみみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。このみみずく土偶も仮面を被っている様子を表現した土偶、つまり仮面土偶であると感じました。

1 みみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

みみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代後期

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.07.18


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 130 images


3Dモデル画像


3Dモデル動画

2 感想(想像)

2-1 仮面土偶としてみると納得する

同じ千葉市内野第1遺跡から仮面タイプのみみずく土偶が出土しています。

2024.07.23記事「仮面タイプのみみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル」

その情報を念頭に、このみみずく土偶を3Dモデルで周囲から子細に観察すると、人が仮面を付けているように理解することができます。仮面部分(丸い顔)と耳が離れているから、なおさらそのように見えます。


3Dモデル画像横から


3Dモデル画像横から

2-2 顔面の意義

顔面(仮面)は以前から顔の皮はぎの暴行(拷問、凌辱、刑罰)の様子を表現しているものと考えています。その論拠に一つが鼻の位置が目の位置と比べて通常顔面より上にあることです。顔の皮を剥ぐと肉がとれ鼻骨だけになりますから、鼻が上に上がったようにみえます。この鼻の位置移動を強調表現しているものと想像します。

女神にたいする暴行(拷問、凌辱、刑罰)はこの土偶が使われた儀礼に関わる神話がそうなっているからだと想像し、それがハイヌウェレ型神話だと想像します。顔の皮剥ぎという刑罰は当時実在していたと考えます。

(この想像が間違っているとか、すこし変だとかの疑念がいつまでも生まれないので、継続して自分の作業仮説にしています。)


2024年7月23日火曜日

仮面タイプのみみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

 3D model of observation record of masked owl clay figurine (Uchino No. 1 Site, Chiba City)


I created a 3D model of the observation record of the owl clay figurine (Uchino No. 1 Site, Chiba City) exhibited at the Kasori Shell Mound Museum special exhibition “Faces of Clay Figurines from the Jomon Period”. This owl clay figurine is very interesting because it depicts a masked figure. The owl clay figurine ritual may have been related to theater.


加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」に展示されているみみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)の観察記録3Dモデルを作成しました。このみみずく土偶は仮面を被っている状況が表現されていて、とても興味深い土偶です。みみずく土偶儀礼が演劇と関連していたのかもしれません。

1 仮面タイプのみみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

仮面タイプのみみずく土偶(千葉市内野第1遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代晩期

撮影場所:加曽利貝塚博物館企画展「縄文時代の土偶の顔」

撮影月日:2024.07.18


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.531 processing 115 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 展示説明


展示説明

展示パネルでは仮面の紐が土偶背面で結ばれている様子の写真も掲載されています。

3 観察メモ


観察

仮面とそれについた紐、顎の線、耳(耳輪はない)、頭髪などが観察できます。

みみずく土偶顔面の仮面を縄文人がつくり、儀礼として演劇を演じていた(儀礼で仮面を使っていた)ことがこの土偶から判ったということなのだと思います。

4 みみずく土偶顔面の意味するもの(想像)

みみずく土偶顔面は刑罰や拷問で顔の皮剥ぎが行われ、皮膚が剥がれた状況を示していると考えます。顔輪郭を示す丸い線刻付隆線は、剥がされた皮がそこまでだった様子を示しています。どのみみずく土偶も鼻の位置が異常に上にありますが、これは鼻の肉がなくなり、頭骨の鼻部分だけになった様子を表現しています。

女神(若い娘)を拷問して極限の苦しみを与えて殺し、その結果が世の中に豊穣をもたらすという大陸から伝来したハイヌヴェレ型神話に関わる儀礼が房総後晩期土偶儀礼の基本だったと想像します。

2020.08.26記事「本当は怖いミミズク土偶」



2020年10月20日火曜日

大膳野南貝塚の遺物と遺構

 縄文社会消長分析学習 51

この記事では千葉市大膳野南貝塚(中期末葉~後期中葉)の遺物遺構を発掘調査報告書からピックアップして、千葉市内野第1遺跡(後晩期)と比較してみます。

1 千葉市大膳野南貝塚の遺物・遺構


千葉市大膳野南貝塚の遺物・遺構の種類と主な数量

(この図の記述は、この記事の最後にテキストで掲載)

2 千葉市大膳野南貝塚と千葉市内野第1遺跡の遺物・遺構の比較



千葉市大膳野南貝塚と千葉市内野第1遺跡の遺物・遺構の比較 図解メモ

3 考察

3-1 集落規模と時期

・大膳野南貝塚は加曽利E4式~加曽利B式期の貝塚集落遺跡で堀之内1式期が顕著なピークとなっています。竪穴住居93、土坑264。住居から漆喰炉が多数見つかり、野外漆喰炉も出土しています。

・内野第1遺跡は堀之内Ⅰ式~安行3b式期の後晩期集落です。竪穴住居125、土坑427。海成貝の貝層はありますが、内陸に存在します。

3-2 生業

・大膳野南貝塚は漁労がメイン生業でイボキサゴ、ハマグリ、シオフキなどの貝類、クロダイ、コチ、イワシなどの魚類を採っています。貝刃やヘラ状貝製品などの貝製道具も出土しています。また狩猟を行いイノシシ、シカなどの獣骨が出土し、イノシシは養育していた可能性の証拠が出土しています。主食としていたと考えられる堅果類調理道具(磨石、石皿、土器など)も出土しています。道具から漁労・狩猟・植物採集の3つが主な生業であると考えることができます。土製小円盤(円盤形土器片)が出土しますから、製糸を行っていたと考えられます。

・一方、内野第1遺跡は道具からみると土器片錘など漁労道具、石鏃など狩猟道具は出土しますが貧弱であり、出土動物遺体の量に見合ったものではありません。魚貝類と獣肉の多くは外部から交易で入手していたと考えられます。有孔円盤形土製品や円盤形土製品が数多く出土しますから植物繊維(おそらく大麻)から糸を撚り、さらにロープ(しめ縄など)も作っていたと考えられます。植物繊維製品は内野第1遺跡の重要な交易用産品であったと考えられます。

3-3 祭祀

・内野第1遺跡は異形台付土器、石棒、土偶、土製耳飾など祭祀に関連した遺物が多数出土することから祭祀センターのようなイメージをもつことが可能な遺跡であり、祭祀というソフトサービス提供により魚貝類や獣肉を得ていた可能性を感じ取ることができます。

・内野第1遺跡の祭祀関連遺物の多さにくらべて、大膳野南貝塚は祭祀関連遺物は貧弱です。土偶も円筒形土偶が極少量出土していて、内野第1遺跡で盛行する山形土偶、ミミズク土偶とは別系統と考えられるものです。後期前葉(極少量の円筒形土偶)と後期中葉以降(多量の山形土偶、ミミズク土偶など)で土偶祭祀がガラリと変わることは大きな着目点になると思います。

3-4 感想

・後期前葉(大膳野南貝塚)と内野第1遺跡(後期中葉以降)の間に大きな不連続があるような印象を受けます。後期前葉は中期文化の継続のような印象を受けます。全うな生業が観察できます。後期中葉以降は全うな遺跡とは見えません。内野第1遺跡はどうやって「食っているのか」はっきりと見えません。

・さらに近隣遺跡検討を続けることにします。

……………………………………………………………………

千葉市大膳野南貝塚の遺物・遺構の種類と主な数量

大膳野南貝塚

  • 遺物 中テン箱720
    • 特殊土器
      • 注口土器
      • ミニチュア土器
      • 蓋形土器
    • 土製品
      • 土製装身具 14
        • 耳飾 4
        • 垂飾 7
        • 腕輪 3
      • 土偶
      • 生産系
        • 土器片錘
        • 土製小円盤
    • 石製品
      • 石棒 25
      • 石製装身具 4
    • 石器 1977
      • 尖頭器 1
      • 石鏃 168
      • 石錐 11
      • 石匙 3
      • クサビ形石器 69
      • スクレイパー類 158
      • 石核 62
      • 剥片類 109
      • 黒曜石剥片類 573
      • 磨製石斧 38
      • 打製石斧 111
      • 礫器 10
      • 磨石 158
      • 凹石 113
      • スタンプ状石器 10
      • 石皿 149
      • 敲石 77
      • 砥石 28
      • 石錘 4
      • 軽石製品 42
    • 骨角貝製品
      • 骨角製装身具 17
      • 鯨骨製骨刀 1
      • 貝製品
        • 貝刃 
          • ハマグリ製貝刃 110
          • カガミガイ製貝刃 46
          • シオフキ製貝刃 3
          • アワビ製貝刃 1
        • ヘラ状貝製品
          • ハマグリ製ヘラ状貝製品 17
        • 舌状貝器
          • ミルクイ製舌状貝器 2
          • ハマグリ製舌状貝器 1
        • 貝製装身具 29
    • 動物遺体
      • 陸獣
        • イノシシ
        • シカ
        • タヌキ
        • アナグマ
        • ノウサギ
        • ニホンオオカミ
        • イヌ
      • 海獣
        • クジラ
        • イルカ
      • 鳥類 12
    • 貝層 サンプル
      • 二枚貝
        • ハマグリ
        • シオフキ
        • アサリ
        • マガキ
      • 巻貝
        • イボキサゴ
    • 魚類 サンプル
      • 4mmメッシュ
        • クロダイ属
        • コチ科
        • サバ属
        • ヒラメ科
      • 2mmメッシュ
        • アジ類
        • サバ属
        • ニシン科
        • キズ属
      • 1mmメッシュ
        • ニシン科
        • サヨリ属
        • カタクチイワシ
        • アジ類
    • 人骨 30
  • 遺構
    • 竪穴住居址 93
      • 中期末葉
        • 加曽利E4式期 3
      • 中期末葉~後期初頭
        • 加曽利E4~称名寺古式期 2
      • 後期初頭
        • 称名寺式期 3
      • 後期初頭~前葉
        • 称名寺新式~堀之内古式期 2
      • 後期前葉
        • 堀之内1式期 47
        • 堀之内2式期 7
      • 後期前葉~中葉
        • 堀之内2式~加曽利B1式期 2
      • 後期中葉
        • 加曽利B1~B2式期 2
      • 時期不明 25
    • 土坑墓 1
    • 土坑 264
    • 屋外漆喰炉 8
    • 小児土器棺 6
    • 単独埋甕 12
    • 埋葬犬骨 2
    • 鹿頭骨列 1
    • 大きな貝層 3
    • 貝層ブロック 160
      • 地点貝層 78
        • 住居内 26
        • 土坑内 52
  • 土器
    • 加曽利E4式
    • 称名寺古式
    • 称名寺式
    • 称名寺新式
    • 堀之内古式
    • 堀之内1式
    • 堀之内2式
    • 加曽利B1式
    • 加曽利B2式

2020年9月20日日曜日

内野第1遺跡土製耳飾のペア探し

 縄文土器学習 468

千葉市内野第1遺跡出土の土製耳飾119点の中にペアであるものがどれほどあるか調べてみました。

調べ方は最大直径区分別装飾性分級別に9区分した土製耳飾実測図を画面上に並べて文様と断面形でざっくりとした分類を行い、そのプロセスの中でペア土製耳飾と直観できるものを抽出しました。

同時に抽出したペア土製耳飾は発掘調査報告書の調査表データ(最大直径、最大幅、最大厚、備考)から、データとしての近似性も確認しました。

1 土製耳飾似たもの探し

1-1 最大直径~3.4㎝ 

ア 装飾性高


土製耳飾似たもの探し 最大直径~3.4㎝ 装飾性高

ペア土製耳飾は見つかりません。

イ 装飾性中


土製耳飾似たもの探し 最大直径~3.4㎝ 装飾性中

ペア土製耳飾は見つかりません。

ウ 装飾性低


土製耳飾似たもの探し 最大直径~3.4㎝ 装飾性低

13と115がペア土製耳飾である可能性があります。しかし、形状が単純で小さいためペアであると確信できる特徴点は少ないです。

1-2 最大直径3.5~5.9㎝

ア 装飾性高


土製耳飾似たもの探し 最大直径3.5~5.9㎝ 装飾性高

ペア土製耳飾は見つかりません。

イ 装飾性中


土製耳飾似たもの探し 最大直径3.5~5.9㎝ 装飾性中

ペア土製耳飾は見つかりません。

ウ 装飾性低


土製耳飾似たもの探し 最大直径3.5~5.9㎝ 装飾性低

92と101及び64と65の2組がペア土製耳飾である可能性が濃厚です。

1-3 最大直径6.0㎝~ 

ア 装飾性高


土製耳飾似たもの探し 最大直径6.0㎝~ 装飾性高

34と35複雑な文様と形状がほぼ一致するので、ペア土製耳飾であると断定できます。

イ 装飾性中


土製耳飾似たもの探し 最大直径6.0㎝~ 装飾性中

ペア土製耳飾はみつかりません。

ウ 装飾性低


土製耳飾似たもの探し 最大直径6.0㎝~ 装飾性低

40と57及び39と41の2組がペア土製耳飾である可能性が濃厚です。

2 ペア土製耳飾

1の検討でペア土製耳飾と断定できるものから多少不確かさが残るものまで含めて6組のペア土製耳飾を抽出できました。

土製耳飾の全出土数は119点ですから、ほぼ1割がペアであったことになります。

3 考察

ア 土製耳飾は両耳にペアで着装されていた。

出土数は少ないけれども1割はペア土製耳飾であることから、土製耳飾は両耳にペアで着装されていたことは確実であると考えます。

イ ペア土製耳飾出土が少ない理由

土製耳飾の9割が片方で出土する事象にはそれに対応する祭祀上の理由が存在すると考えます。

耳飾知識が少ない現段階で仮考察を次のようにします。

現代社会で女性がイアリングを片方なくす、隠す、捨てるという行為は、それをプレゼントしてもらった恋人と別れる場合、裏切られた場合、捨てられた場合などの破局を意味します。※

この現代女性心理のアナロジーで次のように想像します。

・土製耳飾は身体変工を伴う通過儀礼で着装するものであり、集落から、突き詰めれば集落リーダー(=シャーマン)から支給されたものであった。

・したがって、土製耳飾は神-シャーマン-自分という関係性を表現するものであった。

・何らかの理由で集落リーダー(=シャーマン)を拒否(殺害、追放)しようとした時、人々は集落リーダー(=シャーマン)との関係を清算する意思表示として土製耳飾の片方を山奥や谷底に投げ捨てた。

・内野第1遺跡に近在近郷の人々が片耳だけの土製耳飾をしてやってきて、集落リーダー(=シャーマン)を処刑あるいは追放する祭祀を行った。人々は祭祀の後、片方の土製耳飾をその場に捨てた。

ウ 土製耳飾の文様について

土製耳飾の文様は類似のものがあり、家紋のような役割をしていて家族毎に同じデザインをつかっていたのかもしれません。

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※ 参考 ユーミン 真珠のピアス