2020年7月15日水曜日

房総における縄文中期土偶の検討課題

縄文土器学習424

1 気が付いた問題点
2020.07.12記事「土偶祭祀基本構造(学習仮説)のポンチ絵作成」などの記事で、縄文中期貝塚ゾーンでは土偶出土が稀であり、人々が土偶を拒否している様子を学習してきました。
ところが2020.07.09記事「「縄文のビーナス」と系譜を同じにする千葉県出土土偶」で、こともあろうが中期土偶の代表格である「縄文のビーナス」と系譜を同じくする土偶、それも完形土偶が東金市鉢ヶ谷市で出土して珍しがられていることも知りました。さらにこの時期(中期前葉頃)に「縄文のビーナス」出土棚畑遺跡から銚子産コハク垂飾が出土しています。
この二つの情報を合わせると縄文中期の社会情勢が浮かび上がるような気がしますので、問題意識を3Dモデルでメモしておきます。

縄文中期土偶検討図
地理院地図3Dモデル(色別標高図+陰影起伏図)
垂直倍率:×5.0
1 縄文中期土偶分布域(イメージ)
2 縄文中期土偶非分布域(イメージ)
3 茅野市棚畑遺跡 土偶「縄文のビーナス」出土、銚子産コハク垂飾出土
4 東金市鉢ヶ谷遺跡 縄文中期前葉五領ヶ台式期の河童形完形土偶出土
5 銚子市粟島台遺跡 コハク産地、コハク製品工房

縄文中期土偶検討イメージ図
コハクの写真は次のサイトから引用
サイト チャンスはピンチだ。響くアートの愛好家 2018.07.22記事「日曜美術館「縄文“美”の発見」
https://blog.kenfru.xyz/entry/2018/07/17/%E6%97%A5%E6%9B%9C%E7%BE%8E%E8%A1%93%E9%A4%A8%E3%80%8C%E7%B8%84%E6%96%87_%E2%80%9C%E7%BE%8E%E2%80%9D%E3%81%AE%E7%99%BA%E8%A6%8B%E3%80%8D
河童形土偶の写真は「千葉県の歴史 資料編 考古4」から引用

2 問題意識
・中央高地中期土偶の影響力が房総土偶拒否地帯(貝塚地帯)を飛び越えて九十九里に及んでいます。影響力が飛び地的に及んでいる様子は銚子産コハク製品が中期土偶の本拠地・本山ともいえる棚畑遺跡に届いていることからも明白です。
・房総中期貝塚社会が土偶を拒否している様子と土偶文化の影響力を執拗に拡大しようとしている中央高地社会の「対立」「せめぎ合い」「土地争い」のような様相を感じることができます。

学習が面白くなってきました。

0 件のコメント:

コメントを投稿