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2023年12月19日火曜日

おゆみ野歴史愛好会で話題提供 大膳野南貝塚学習

 Lecture at the Oyumino History Enthusiasts Association

Daizenno Minami Shell Mound learning


On December 19, 2023, I gave a lecture on Daizenno Minami Shell Mound learning at the Oyumino History Enthusiasts Association. During the lecture, many people asked surprising questions and offered opinions, making it a very fun and fulfilling learning exchange.


2023年12月19日におゆみ野歴史愛好会で大膳野南貝塚学習をテーマに話題提供させていただきました。話し中に、多くの方から意表をつく質問やご意見が出て、とても楽しく、充実した学習交流となりました。

話題提供は次のよう順番でPowerpoint106枚を利用しておこないました。

1 話題提供項目

●表題 QGISをツールとした大膳野南貝塚学習の楽しさ

はなしに入る前に

1 学習の経緯

2 大膳野南貝塚の概要

3 後期竪穴住居の特性

3-1 分布特性

3-2 時期別特性

3-3 竪穴住居の形状と面積

3-4 竪穴住居と施設の構造

3-5 住居の継続性、継承性

3-6 貝層出土状況

3-7 出土物

3-8 環状焼土

3-9 埋葬

3-10 まとめ

4 住居数と貝層量の相関分析

4-1 集落消長と貝層形成

4-2 生貝集落外持ち出し

5 考察(想像)

6 QGIS学習の楽しさ


Powerpoint表紙

2 話題提供の趣旨

話題提供の趣旨は、5年前にまとめた大膳野南貝塚学習メモの主要内容である「後期集落竪穴住居の漆喰有無の意義」の見直しという内容です。

竪穴住居の施設や設備そのもの、出土物から次のように考えました。

竪穴住居漆喰【有】は漁労民の定住住居で間違いないと考えました。竪穴住居漆喰【無】は定住住居ではなく、近隣内陸縄文人の交易施設(一時逗留、交易荷物倉庫)であると考えました。

3 感想

おゆみ野歴史愛好会での話題提供は、昨年につづき2回目です。昨年は有吉北貝塚学習についてはなしをさせていただきました。今年は昨年話題提供の後日談からはなしをはじめました。Powerpointを進める毎に皆様からご質問やご意見が出ました。その場でスマホで情報を検索してそれを提示される方もいらっしゃいます。私もいろいろと脱線して自分の興味をはなしました。Powerpointが終わった時が終了時間となり、話題提供→討議ではなく、時間全部が文字通りの学習交流となりました。とても楽しく、充実した時間を皆様と共有することができました。学習を深める機会を与えていただいた、おゆみ野歴史愛好会様に感謝します。

配布資料「QGISをツールとした大膳野南貝塚学習の楽しさ」(6ページ)



2023年11月2日木曜日

大膳野南貝塚学習の再開

 Daizenno Minami Shell Mound learning resumes


I decided to have a learning exchange with the Oyumino History Enthusiast Association on the theme of the Daizenno Minami Shell Mound. Therefore, I will restart the Daizenno Minami Shell Mound study. In this shell mound, the Moroiso-style pottery group and the Ukishima-style pottery group formed a community in the latter half of the early period. In this shell mound, from the end of the middle to late period, there are pit dwellings in which stucco and shell layers have been excavated, and pit dwellings in which such materials have not been excavated. It is very interesting to observe this phenomenon.


おゆみ野歴史愛好会と大膳野南貝塚をテーマに学習交流することになり、大膳野南貝塚学習を再開します。この貝塚では前期後葉に諸磯式土器集団と浮島式土器集団が共同社会をつくりました。中期末から後期には漆喰・貝層が出土する竪穴住居と出土しない竪穴住居が併存するという興味深い事象が観察できます。

1 大膳野南貝塚学習の経緯

私は、大膳野南貝塚学習を2016年12月~2018年5月の間に熱心に行いました。大膳野南貝塚発掘調査報告書のpdf版を利用できたからこそ実現した学習です。

※大膳野南貝塚発掘調査報告書は現在全国遺跡報告総覧で公開されています。

大膳野南貝塚発掘調査報告書

学習結果は中間とりまとめをしました。

大膳野南貝塚学習の中間とりまとめ(A4判62ページ)

とても僥倖なことですが、なんと、この中間とりまとめを千葉市埋蔵文化財調査センター所長西野雅人様に添削していただく機会がありました。千葉市埋蔵文化財行政の枢要な役職にあり、日本の貝塚研究の先頭を走る多忙極まる西野雅人様に、専門家でもなんでもない私の学習メモを添削していただき、心から感謝し御礼する次第です。

このたび、おゆみ野歴史愛好会の皆様と大膳野南貝塚をテーマに学習交流することになりました。そこで、西野雅人様添削を踏まえて中間とりまとめを踏み台にして学習を発展させ、その学習成果を学習交流に持ち込むことにしました。

2 大膳野南貝塚の概要

「大膳野南貝塚の発掘調査により、旧石器時代、縄文時代、古墳時代、平安時代、中・近世、現代の戦争関連遺構など、多岐にわたる時代の遺跡が発見された。

 旧石器時代についてはⅣ・Ⅶ・Ⅸ層で文化層が確認され、それぞれの文化層でブロックが検出された。縄文時代早期では炉穴、陥し穴が検出された。

 縄文時代前期については諸磯b(浮島Ⅰ~Ⅱ)式期の拠点的集落が検出された。千葉市域および隣接する市原市域をあわせても、当該期集落としては最大級の規模である。また、多量の獣骨を伴う大型住居の発見は特筆されよう。

 縄文時代中期末~後期については、堀之内1式期を主体時期とする貝塚を伴う環状集落の全貌をほぼ明らかにすることが出来た。とくに新知見となる縄文時代における「漆喰」を使用した遺構(漆喰貼床住居、漆喰炉など)の発見は特筆されよう。また、廃屋墓(複葬・単葬)、小児土器棺、土坑墓などから、合計30体の人骨が出土した。縄文時代の遺物については、総量で824箱を数える多種多様な遺物が出土したが、中でもJ105号住(堀之内1式期)から出土した鯨骨製骨刀は注目に値する。

 古墳時代では終末期の方墳、古代では平安時代前期集落、中・近世ではシシ穴関連遺構の可能性がある溝状遺構と陥し穴状の土坑、現代の戦争関連遺構としては陸軍照空部隊の探照灯車用通路と推定される切り通し状の遺構が発見された。」(大膳野南貝塚発掘調査報告書掲載要約)

3 興味を深めたい主な学習項目

次の学習項目について特に興味を深めたいと考えています。

3-1 縄文早期の炉穴、陥穴

縄文早期の炉穴、陥穴の様子を把握し、そのデータからどのようなことが判るか(想像できるか)思考してみることにします。


陥穴と炉穴分布

3-2 縄文前期後葉における諸磯式土器集団と浮島式土器集団の共同社会

縄文前期後葉において大膳野南貝塚で営まれた諸磯式土器集団と浮島式土器集団の共同社会の様子を詳しく知り、2集団の関係実態に迫りたいと思います。


主体土器形式分布

3-3 縄文中期末~後期における竪穴住居における漆喰・貝層有無の意義

縄文中期末~後期における竪穴住居は漆喰・貝層が出土するものと出土しないものに2分類することができます。竪穴住居における漆喰・貝層出土の有無がどのような意義を有するか、検討します。


竪穴住居における漆喰・貝層出土の有無

また屋外漆喰炉の意義について検討を深めたいと思います。

4 遺跡・遺構・遺物の3Dモデル

中間とりまとめ(2018年7月)以降に大膳野南貝塚に関連して次のような3Dモデルを作成してきました。

・大膳野南貝塚の地形(開発前の復元地形)3Dモデル(旧版都市図から作成)

・炉穴3Dモデル(挿図から作成)

・屋外漆喰炉3Dモデル(挿図から作成)


屋外漆喰炉3Dモデルの様子

・イノシシタブレット3Dモデル(展示物からフォトグラメトリで作成)

・アワビ3Dモデル(展示物からフォトグラメトリで作成)


祭具と考えられる巨大アワビの3Dモデル

学習交流ではこれらの3Dモデルも紹介し、大膳野南貝塚に関する理解を皆様と一緒に深めたいと考えます。


2018年7月23日月曜日

背景学習

大膳野南貝塚学習中間とりまとめ 10 背景学習

大膳野南貝塚学習中間とりまとめを次の10項目に分けて行っています。
1 漆喰貝層有無2集団の関係
2 諸磯・浮島2集団の関係
3 集落消長の理由
4 貝塚・集落の構造
5 貝殻・獣骨・土器片出土の意義
6 埋葬の様相
7 竪穴住居祭壇の様相
8 狩猟方法イメージ
9 個別テーマ
10 背景学習

この記事では「10 背景学習」の説明素材を集めて、まとめペーパーの材料を作りましたので掲載します。中間とりまとめを完結することができました。

1 大膳野南貝塚学習の背景として行った学習
「千葉県の歴史 資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物)」(千葉県発行)に掲載されている「貝塚」(第Ⅱ部第2章第2節縄文時代1遺跡・遺構(1)貝塚[執筆西野雅人])を2回にわたって学習しました。貝塚をめぐる千葉県縄文時代歴史がとても詳しく分る論文です。「貝塚」はこれからも折に触れて学習していく私の座右のテキストです。

「貝塚」全ページ

「千葉県の歴史 資料編 考古4(遺跡・遺構・遺物)」(千葉県発行)の他の章も参考に読みましたが、今後より体系的に学習していく予定です。また「千葉県の歴史 資料編 考古1(旧石器・縄文時代)」(千葉県発行)は遺跡事例が多数掲載されているので、今後体系的に学習して縄文時代遺跡の時間的・空間的変遷の理解を深めたいと考えます。

2 学習技術について
2-1 GIS活用
学習では大膳野南貝塚発掘調査報告書の情報をほとんど電子化してExcelに取り込み、それをGISに展開して空間的分析を深めることが出来ました。

GIS画面
GISアプリは当初「地図太郎PLUS」を使っていましたが、途中で分析能力が優れている「QGIS」に変更しました。

2-2 データベース
発掘調査報告書のデータのうち土坑データだけは個別土坑毎に情報がまとまっていないため(記述、平面断面図、土層説明、出土物…毎に情報が整理されているため)、必要に迫られてデータベースを作成しました。データベースアプリはFile Makerをつかいました。

後期集落土坑データベース画面
データベースをつくってみるとその使い勝手がきわめてよく、特に検索や並べ替えがExcelと比べて大変効率的であり、土坑に関する自分の学習(認識、アイディア)が急進展しました。
またデータベースは単に発掘調査報告書のデータを効率的に閲覧するだけでなく、検討結果やメモを書き込み、それらの検索もまたできますから学習が加速します。

なお、発掘調査報告書では竪穴住居は住居毎にデータが整理されているので、住居毎のpdfファイルを作成してエクスプローラで利用しました。

竪穴住居情報の閲覧方法
本として綴じられている情報の閲覧より、このエクスプローラを利用する方法の方がはるかに効率的に必要な情報に到達できます。
しかし、土坑データベースを作ったあとはそれと比べるととても非効率的な方法であると実感してしまいました。学習も末期になり竪穴住居データベースの作成は出来ませんでしたが、大膳野南貝塚の学習を今後深める時には竪穴住居データベースを作ることにします。また縄文時代に限らず奈良平安時代遺跡の学習などでも、新たな遺跡に取り組むときはまず最初に竪穴住居データベースを作成するところから始めるつもりです。
竪穴住居データベースに掲載する情報は発掘調査報告書掲載情報だけでも、最低限つぎのような情報になります。

竪穴住居データベースに最低限掲載すべき情報

……………………………………………………………………
次の資料を公開しました。(2018.07.24)

pdf資料「背景学習 要旨」

pdf資料「背景学習」

上記資料を含めて私の作成した主な資料・パワポはサイト「考古と風景を楽しむ」にも掲載しています。

2018年6月1日金曜日

大膳野南貝塚学習 問題意識の整理

大膳野南貝塚学習で記述した昨日までのブログ記事227編を通読して、過去学習を思い出し、自分自身の問題意識をまとめてフリーマインドで整理してみました。

大膳野南貝塚学習の問題意識 主要項目

大膳野南貝塚学習の問題意識 展開1

大膳野南貝塚学習の問題意識 展開2

大膳野南貝塚学習の問題意識 展開3

大膳野南貝塚学習の問題意識 全体

自分の過去ブログ記事作成における問題意識の整理はできました。
この整理結果を眺めると自分のことながら広く浅く学習している様子が観察できます。
「突っ込めば」一団の興味をえぐり出せるように感じるところも沢山あります。

とりあえず主要項目(10項目)別に判ったこと、判らなかったことなどを簡潔に記述整理して、問題意識をペーパーとして定着させたいと思います。

参考
大膳野南貝塚学習の問題意識を表現するためにブログ記事で使用した主な画像

2018年3月1日木曜日

大膳野南貝塚 学習収斂に向けた興味まとめと今後の予定

1 大膳野南貝塚学習の興味まとめ
2016年12月から2017年4月までの5か月間、及び2017年12月から2018年2月までの3か月間合計8か月間がこれまで取り組んできた大膳野南貝塚学習の期間です。
シナリオのない学習としてスタートしましたが、この3か月の学習で大きな興味を次の5点に絞ることが出来ましたのでメモしておきます。

1 後期集落が始まり急成長した要因は何か?
2 後期集落が急減退・衰退消滅した要因は何か?
3 後期集落で共伴する漆喰貝層有竪穴住居グループと漆喰貝層無竪穴住居グループの関係はどのようなものか?
4 前期集落の浮島式土器優勢竪穴住居家族と諸磯式土器優勢竪穴住居家族の関係はどのようなものか?
5 3と4の問題意識を関連させることは有意義であるか?

このような興味(問題意識)に基づいて近々大膳野南貝塚学習を一旦とりまとめることにします。

2 学習とりまとめ前に行う分析作業と考察
次の項目に限定して分析作業と考察を行い、学習の総とりまとめを行うことにします。

1 後期集落追加分析・考察
1-1 土坑の再検討
土坑を再検討することにより集落構造がより明確になりそうです。
・貯蔵庫の分布…竪穴住居からはなれて、全域に環状分布→フラスコ、円筒
・漆喰貝層有竪穴住居用送り場…貝層出土土坑
・漆喰貝層無竪穴住居用送り場…貝層が出土しない土坑
1-2 住居関連指標の予察検討
今後労力時間を投じて価値のある結果が出そうか?という予察検討を行います。
・漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居で住居関連指標に意味のある差があるか?
出自・文化が違うならば意味のある差があるかもしれないと考えます。
例 大きさ(検討済み)、形状そのもの、杭の数・配列、杭の深さ、構造に関係しない杭の存在、堀込の深さ、床のしつらえ、地形と床の傾斜の関係、炉の構造・位置等…
1-3 土器指標の予察検討
今後労力時間を投じて価値のある結果が出そうか?という予察検討を行います。
・漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居で土器指標(文様、器種、破壊の様子等)に意味のある差があるか?
1-4 漆喰貝層無竪穴住居家族の生業に関する考察
漆喰貝層有竪穴住居家族が漁撈している時、漆喰貝層無竪穴住居家族はどんな生業活動をしていたのか。独自の狩猟か?植物採集栽培か?漆など工芸か?急斜面に竪穴住居が存在していてヒントになりそうです。
1-5 漆喰貝層有竪穴住居家族と漆喰貝層無竪穴住居家族の共同関係のイメージ考察
・協働作業の項目、分業は存在したか、祭祀は別か
1-6 集落急成長と急減退・衰退の要因推測
・急成長は人口自然増加か、他所からの流入か?
・急減退の要因は何か…急減退の主因と漁撈条件悪化は同じか、違うか?
・漁撈消滅の要因は何か
・集落急減退・衰退は人口自然減(死滅)か他所への流出か?
2 後期集落と前期集落の比較分析
・後期集落と前期集落の石器組成の比較…生業の違いが鮮明になるか?
・後期集落と前期集落の「竪穴住居+土坑」による集落構造の比較

3 学習総とりまとめ
自分の興味を深める分析作業的学習に当面の限界はないと思いますが、とりあえず2の作業を終了した時点で分析作業等を機械的強制的に打ち切り、学習の総とりまとめを行い活動を区切ることにします。
学習の総とりまとめは判ったことと派生した問題意識等をデータとともに簡潔に表現し、今後の縄文時代学習のよすがとします。

大膳野南貝塚学習でこれまでに作成したQGISレイヤー