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2025年8月26日火曜日

鳥形把手(柏市寺下前遺跡)観察記録3Dモデル

 3D Observation Record Model of a Bird-Shaped Handle (Terashitamae Site, Kashiwa City)


I enjoyed creating a 3D model of the observation record of a bird-shaped handle, which is on display at the ongoing historical special exhibition "Shining! Kashiwa's Jomon All-Stars" (Kashiwa City Local History Exhibition Room). I was intrigued by the realistic bird-like feel of the beak and eyes.


開催中の歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」(柏市郷土資料展示室)で展示されている鳥形把手の観察記録3Dモデルを作成して楽しみました。嘴と目から鳥のリアル感を受けたので興味を持ちました。

1 鳥形把手(柏市寺下前遺跡)観察記録3Dモデル

鳥形把手(柏市寺下前遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:歴史企画展「輝く!柏の縄文オールスター」(柏市郷土資料展示室)

撮影月日:2025年7月29日


展示の様子

3DF Zephyr v8.017 で生成 processing 72 images


3Dモデルの動画


3Dモデルの画像

2 3Dモデルのオルソ投影画像


前から


左から


右から


カメラ配置

3 メモ

これまで見たことのある鳥形把手とくらべて、嘴と目から鳥のリアル感を受けたので興味を持ちました。


2021年10月4日月曜日

鳥形把手出土の例 多摩ニュータウン第9遺跡

 2021.09.28記事「縄文時代と鳥」で縄文時代と鳥との関係に興味を持ちました。その記事では総覧縄文土器の「獣面把手」(大工原豊)を参考にしました。「獣面把手」(大工原豊)では「7点の鳥形把手が出土した多摩ニュータウン第9遺跡で安孫子昭二が鳥について宗教学的意味について述べている」旨の記述があり興味が湧きました。そこで、次の図書を取り寄せてその部分を読んでみました。

1 安孫子昭二著「縄文中期集落の景観」((株)アム・プロモーション、2011)における鳥形把手に関する記述


安孫子昭二著「縄文中期集落の景観」((株)アム・プロモーション、2011)

この遺跡では勝坂式期から称名寺式期まで7点の鳥形把手や土偶多数など呪術的要素の強い遺物が継続して出土しています。それらの情報から本書ではこの遺跡がシャーマンを擁する地域における中核的集落であったことを推定しています。


人面把手・鳥形把手など

安孫子昭二著「縄文中期集落の景観」((株)アム・プロモーション、2011)から引用


人面把手・鳥形把手など メモ追記

原図は安孫子昭二著「縄文中期集落の景観」((株)アム・プロモーション、2011)から引用

図示される6点の鳥形把手のうち2はガンカモ類が推定され、第1段階(新地平8b~9b…勝坂2式~勝坂3式頃)です。3~7は猛禽類が推定され、5はウ科の可能性も述べられています。4と7はくちばしの先が失われています。7が第2段階(新地平9c…勝坂3式頃)、5が第10段階(新地平14…後期初頭称名寺1式前半)となっています。

次のような宗教学的考察が記述されています。

…………………

鳥という動物意匠に付与された意味を、「宗教学辞典」から拾ってみると、未開杜会や古代社会にも実在の鳥だけでなく架空の鳥、擬人化された鳥をふくめて、鳥の宗教的な意味には次のような例があるという。

「使者-鳥は天界と地上界を結ぶ使者」、ツルや鳳凰を瑞鳥と呼ぶように、鳥は吉凶の予兆を告げる」

「供犠-動物供犠との関連で鳥も用いられる」、日本武尊の霊魂が白鳥と化して飛び去った伝説のように、化身人間の観念的願望として鳥に具象化される。」

-以上の区分は相互に関連しており、アニミズム的観念を基底とし、仲介者としての役割を強調することが多い(赤坂憲昭)。

さらに「動物供犠」との関連では、上代において、鳥が霊魂の復活や蘇生の呪術に使われたりしたことが記紀にみられる(伊藤芳1973)。

安孫子昭二著「縄文中期集落の景観」((株)アム・プロモーション、2011)から引用

…………………

2 感想

・鳥形把手で年代の判っているものの1つが称名寺式期であり、千葉市動物公園展示鳥形把手の時期と一致することは示唆に富んでいます。称名寺式期の特別な状況(生活が困難であった状況)を示しているのかもしれません。

・鳥形把手の背後には必ず鳥の宗教的意味が存在しています。縄文時代には鳥は信仰の対象ではなかったとの説は受け入れることはできません。

・ガンカモ科の可能性のある鳥形把手があることから、自分が縄文時代棒状木製品に水鳥の姿を投影した空想がもしかしたら生きるかもしれません。

・本書の土偶に関する情報に興味を持ちますので、土偶学習に切り替えて、本書学習をすることにします。


2021年9月28日火曜日

縄文時代と鳥

 突然ですが縄文時代と鳥との関係について自分の興味が深まっていますのでメモします。

1 縄文出土物と鳥(空想)

以前から縄文時代出土物に鳥イメージを天真爛漫に投影してその思考を楽しむことが多くありました。


イナウと鳥に関する空想

2018.08.20記事「縄文後期イナウ似木製品に関する考察」

●棒状木製品と水鳥に関する空想


飛翔する水鳥の形状


飛翔する水鳥の首から頭部にかけての形状区分


雷下遺跡出土棒状木製品アと水鳥形状区分


亀田泥炭遺跡出土棒状木製品アと水鳥形状区分


渋谷貝塚出土棒状木製品アと水鳥形状区分

2019.06.10記事「雷下遺跡等3遺跡から出土した棒状木製品に関する鳥形作業仮説」


鳥をイメージしていると空想した舟形土器

2019.05.13記事「阿玉台式土器 注口付舟形鉢形土器(ヲサル山遺跡出土) 展示3Dモデル」

2 縄文時代と鳥に関するある図書の記述

土偶に関連して学習している設楽博己著「顔の考古学 異形の精神史」(2021、吉川弘文館)の中で、弥生時代の鳥信仰に関連した次のような記述を見つけました。

「鹿にしても鳥にしても、縄文時代に信仰の対象ではなかつた。すくなくとも好んで土製品や絵画の材料にされることはなかつた。鹿や鳥の絵は弥生時代になるとにわかに増えるのに加えて、それらが稲作と結びついているところからすれば、この思想は大陸から農耕とともにもたらされたと考えるのが妥当であろう。縄文時代にはなかつた土偶の頭頂部の隆起帯は、こうした鳥の信仰によって縄文時代の土偶が変化したことを物語る。」

鳥が縄文時代に信仰の対象ではなかったと断言されているところに大いにショックを受けました。自分がこれまで鳥を縄文遺物に投影して思考してきたことが全面否定されたと感じたからです。

この図書は最初つまみ食い的に縄文土偶の知識を入手し、あとは軽く流して読めばよいとタカをくくっていました。ところが、読むうちにその内容の重要性・重大性に気が付き、すっかり設楽博己ファンになっていたので、縄文時代鳥信仰否定は大ショックでした。

また、この頃Twitter美華さんが次のようなツィートをされて、自分の縄文の鳥に関する問題意識が否が応でも高まりました。

「弥生時代

農耕の影響や外来の影響はあれど

鳥を神聖視し、後の神道への影響にまで続く

縄文人は鳥にどんな概念を持っていたか.

鳥、食べてはいるんですよね

宗教観や死生観にどんな変化があったか

鳥を どう見ていたか...

凄く気になる...

弥生時代 鳥の格好にも見えるシャーマン(写真)」美華さん2021.09.07ツィート引用

3 鳥との関係が確実視される縄文出土物

そんな中で自分が鳥との関係が確実視されている縄文出土物を既に観察していたことに偶然気が付きました。


鳥形突起

ブログ記事も書いていて、3Dモデルを作成しいろいろと感想をメモしています。

2021.04.01「千葉市動物公園に展示されている鳥形突起(縄文後期初頭)」

この観察を思い出し「鳥は縄文時代には信仰の対象ではなかった。」という断言をそのまま無批判的に受け入れる必要はないことに気が付きました。この断言が正しいという保証は無いことに気が付きました。むしろ時期や地域を限定すれば信仰の対象であったからこそその遺物が出土していると考えるようになりました。

このような経緯があり、縄文時代と鳥との関係を継続的に、細々になるかもしれませんが、学習していくことにします。

「1縄文出土物と鳥(空想)」で列挙した空想がどれだけ間違っているのか、あるいは合っているのか、そのおおよその評価ができる程度まで学習を深めたいとおもいます。

4 縄文時代と鳥

web検索や縄文土器総覧を読むと縄文後期に関東一円で鳥形把手のついた土器が出土し、三反田蜆塚貝塚(茨城県ひたちなか市)では埋葬されたオジロワシ全身骨格が出土し、鳥形土製品も出土していることを知りました。

また、称名寺式深鉢の一部には鳥形把手が口縁部に内側を向くようにつけられているものがあり、土器自体を鳥とみなし、羽根をひろげて求愛ダンスのようにも見えると考えられていることも知りました。千葉市動物公園展示鳥形突起はまさにその土器の把手であったようです。


称名寺式のトリ

総覧縄文土器から引用


北陸の「鳥さん土器」

総覧縄文土器から引用

今後情報を収集し、縄文鳥学習を楽しむことにします。