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2022年3月12日土曜日

阿玉台式土器(千葉市根崎遺跡)の3Dモデル観察

3D model observation of Atamadai type pottery (Nezaki site,Chiba City)


I created and observed a 3D model of the Atamadai type pottery (Nezaki site,Chiba City) exhibited at the Chiba City Buried Cultural Property Research Center "Exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City".


千葉市埋蔵文化財調査センター「千葉市出土考古資料優品展」に展示されていた阿玉台式土器(千葉市根崎遺跡)の3Dモデルを作成して観察しました。

1 阿玉台式土器(千葉市根崎遺跡) 観察記録3Dモデル Atamadai type pottery

阿玉台式土器(千葉市根崎遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター「千葉市出土考古資料優品展」

撮影月日:2022.03.07


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.501 processing 172 images

Atamadai type pottery (Nezaki site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Chiba City Buried Cultural Property Research Center "Exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City"

Shooting date: 2022.03.07

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.501 processing 172 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開

GigaMesh Software Frameworkにより土器3Dモデルを扇形に平面展開しました。


GigaMesh Software Frameworkによる平面展開

3 メモ


展示説明

「阿玉台式土器 根崎遺跡(若葉区原町)

縄文時代中期前葉の土器。千葉県香取市阿玉台貝塚出土の土器を標式とする。

器面には意図的に製作時の粘土紐輪積痕を残すものが多く、隆帯とそれに沿わせた押引文で文様が構成されるものが多い。

また、胎土に意図的に金雲母を混入することが最大の特徴である。

本資料も隆帯と押引文により装飾された浅鉢と深鉢である。」


2022年3月11日金曜日

水鳥形土製品(千葉市南二重堀遺跡)の3Dモデル観察

3D model observation of Waterfowl shaped baked clay object (Minamihutaebori site,Chiba City)


I created and observed a 3D model of the Waterfowl shaped baked clay object (Minamihutaebori site,Chiba City) exhibited at the Chiba City Buried Cultural Property Research Center "Exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City".


千葉市埋蔵文化財調査センター「千葉市出土考古資料優品展」に展示されていた水鳥形土製品(千葉市南二重堀遺跡)の3Dモデルを作成して観察しました。

1 水鳥形土製品(千葉市南二重堀遺跡) 観察記録3Dモデル Waterfowl shaped baked clay object

水鳥形土製品(千葉市南二重堀遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター「千葉市出土考古資料優品展」

撮影月日:2022.03.07


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.5 processing 135 images

Waterfowl shaped baked clay object (Minamihutaebori site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Chiba City Buried Cultural Property Research Center "Exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City"

Shooting date: 2022.03.07

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.5 processing 135 images


3Dモデルの動画

2 メモ


展示説明

「水鳥形土製品 南二重堀遺跡(緑区おゆみ野)

竪穴住居から出土した、鳥を模した土製品。鵜(ウミウまたはカワウ)を模したものと考えられる。埴輪には鳥を模したものは多いが、埴輪以外は大変珍しい。」


出土状況(千葉県教育庁文化財保護課森宮分室展示室の説明パネル)


 

2022年3月7日月曜日

称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)の3Dモデル観察

 3D model observation of Shomyoji I Type deep bowl (No.18) (Kamiyatsu No.2 site,Chiba City)


Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year special exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba City 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-" Syomyozi Ⅰ type  deep bowl (No .18) (Kamiyatsu No.2 site,Chiba City) was observed with a 3D model. A J-shaped pattern is arranged for each protrusion.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」に展示された称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡)を3Dモデルで観察しました。

1 称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡) 観察記録3Dモデル Syomozi Ⅰ type deep bowl

称名寺Ⅰ式深鉢(No.18)(千葉市上谷津第2遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」

撮影月日:2022.02.22


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 138 images

Syomozi Ⅰ type deep bowl (No.18) (Kamiyatsu No.2 site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-"

Shooting date: 2022.02.22

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 138 image


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

1と2は3DモデルをGigaMesh Software Frameworkで展開した画像です。3は1と2の画像を合成した画像で1の画像を観察するための補助資料です。4は1の画像を干渉色変換ツール(やまだこーじさん開発公開)で干渉色に変換した画像です。画像を干渉色に変換するとより観察しやすい画像になることを実験的に確かめました。


干渉色変換ツールの様子

3 メモ

3-1 展示説明


展示説明画像

千葉市出土最大石棒(令和3年度「千葉市出土考古資料優品展」で展示、2022.01.17記事「石棒(Stone rod)の3Dモデル観察」参照)のそばからこの土器が出土しています。土器が小柄であることから、祭祀専用の土器であったのではないだろうかと想像します。

3-2 文様


縄文施文域の分布


J字文の分布

波状突起に対応して縄文施文J字文が配置されていることが確認できます。しかし、頸部より下の縄文施文文様の規則性は背面が観察できないので確認できませんでした。反転J字文が1箇所あるようです。「J字文」という見方は縄文人の文様作り心性と全く無関係の現代人特有の文様切り取り方であるようです。

縄文施文域分布がとても判りずらい土器です。合成画像(GigaMesh Software Framework展開画像の3と4)がその判別に役立ちました。おそらく全面を縄文施文の後、部分的に縄文を磨り消して「地」としての縄文施文域を文様として浮かび上がらしているのだと思いますが、磨り消しが不十分で縄文文様がかすかに残存しています。そのため磨り消し域分布の把握が困難なところがあります。


2022年3月3日木曜日

加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢の3Dモデル観察

 3D model observation of Kasori EIV-EV type deep bowl


Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year special exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba City 2 -Kasori EIV type pottery and its descendants-" Kasori EIV-EV type deep bowl (No .21) (Susukiyama site,Chiba City) was observed with a 3D model. I expanded it with GigaMesh Software Framework and confirmed the inverted S-shaped pattern.


加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」に展示されている加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.21)(千葉市すすき山遺跡)を3Dモデルで観察しました。

1 加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.21)(千葉市すすき山遺跡) 観察記録3Dモデル Kasori EⅣ・EⅤ type deep bowl

加曽利EⅣ式・EⅤ式深鉢(No.21)(千葉市すすき山遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE これもE 加曽利E式土器 千葉市編2 -加曽利EⅣ式土器とその末裔たち-」

撮影月日:2022.02.22


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 166 images

Kasori EⅣ・EⅤ type deep bowl (No.21) (Susukiyama site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Reiwa 3rd year exhibition "That is also E Kasori E type pottery Chiba city edition 2 -Kasori E IV type pottery and its descendants-"

Shooting date: 2022.02.22

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 166 image


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開

3DモデルをGigaMesh Software Frameworkで展開しました。GigaMesh Software Frameworkは自分の縄文土器学習では必須のツールとなりました。GigaMesh Software Frameworkを開発し公開しているHubert Mara博士に感謝します。


GigaMesh Software Frameworkによる展開の様子


GigaMesh Software Frameworkによる展開(矩形)


GigaMesh Software Frameworkによる展開(扇形)

3 メモ

3-1 展示説明


展示説明

展示説明で「①意匠施文域下端に横位の区画文を有している」と「②縄文地の方形区画文の効果を有している」の特徴には称名寺式土器や大木10式土器の影響を認めることが出来る旨記述されています。

この説明の意味が判りませんでした。つまり、称名寺式土器や大木10式土器に「①意匠施文域下端に横位の区画文を有している」と「②縄文地の方形区画文の効果を有している」の特徴が備わっている(ものがある)ことを手持ち既存資料(小林達雄編「総覧縄文土器」)の該当部分をざっと読みましたが見つけることが出来ませんでした。

判らないままでは学習になりませんから加曽利貝塚博物館に問い合せて情報を教えていただくことにします。

3-2 反転S字状文


沈線分布

沈線分布をみると、画面中央の縄文地方形区画文の中に、沈線でカギ状模様が描かれています。これは中峠式土器や加曽利E式土器に多い反転S字状文であると考えます。


参考 中峠5次2住型深鉢(松戸市中峠遺跡)のGigaMesh Software Framework展開図

2021.01.07記事「中峠5次2住型深鉢(松戸市中峠遺跡) 観察記録3Dモデル

反転S字状文が水平に描かれています。


参考 加曽利EⅡ式土器(千葉市有吉北貝塚)

2021.05.10記事「勝坂・阿玉台末/加曽利EⅠ初土器(千葉市加曽利貝塚北貝塚) 観察記録3Dモデル

垂直方向に端が渦巻となる反転S字状文が描かれています。

4 GigaMesh Software FrameworkのWindows11利用について

デスクトップパソコンにWindows11をインストールしたところ、GigaMesh Software Framework(Windows10用ベータ版)の挙動がおかしくなり正常に使えなくなりました。そのため、これまで代替措置としてWindows10ノートパソコンでGigaMesh Software Frameworkを作業していました。

ところが、今日試しにデスクトップパソコンでGigaMesh Software Frameworkを動かしてみると正常に作動しました。ラッキーです。しかし、なぜ使えるようになったのか不明です。

もしかしたら最近、デスクトップパソコンにWSL(Windows Subsystem for Linux)をインストールしたので、それが良い方向に影響したのかもしれません。デスクトップパソコンでGigaMesh Software Framework(Ubuntu版)を使えるようにするための最初のステップとしてWSLをインストールしたのでした。


2022年2月26日土曜日

アワビ形土器の3Dモデル観察

 3D model observation of abalone-shaped pottery


I found an abalone-shaped pottery in the pottery displayed in the passage of the Kasori Shellmound Museum, so I made a 3D model and observed it. The way to wind this abalone-shaped pottery (right-handed) is correct. Abalone-shaped baked clay object with the wrong winding method have been excavated at another archaeological site. The Jomon period abalone is interested in terms of religious objects and totems.


加曽利貝塚博物館の通路に展示されている土器の中にアワビ形土器を見つけましたので、3Dモデルをつくり観察しました。縄文時代アワビは信仰対象やトーテムの観点から興味を持っています。

1 加曽利B3式アワビ形土器(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル Kasori B3 type abalone-shaped pottery

加曽利B3式アワビ形土器(千葉市加曽利貝塚) 観察記録3Dモデル

撮影場所:加曽利貝塚博物館常設展(通路)

撮影月日:2022.02.22


展示の様子


展示の様子


展示の様子


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 173 images

Kasori B3 type abalone-shaped pottery (Kasori shellmound, Chiba city) Observation record 3D model

Location: Kasori Shellmound Museum Permanent Exhibition (Aisle)

Shooting date: 2022.02.22

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 173 images


3Dモデルの動画

2 メモ

現生アワビ、出土アワビ、アワビ形土器が一緒に展示してあるので、とても参考になります。アワビ形土器の巻き方が現生アワビの巻き方(右巻き)と一致します。当然といえば当然ですが、最近観察した次のアワビ形土製品(内野第1遺跡)は巻き方が間違っていますから、加曽利貝塚資料はこの間違いを際立たせてくれる資料として有用です。

アワビ形土製品(千葉市内野第1遺跡) 観察記録3Dモデル Abalone-shaped baked clay object

撮影場所:千葉市立郷土博物館「千葉市出土考古資料優品展」

撮影月日:2021.12.22


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.010 processing 91 images

https://hanamigawa2011.blogspot.com/2021/12/13d.html

https://youtu.be/2UOghHUZOgo

Abalone-shaped baked clay object (Chiba City, Uchino Daiichi Site) Observation record 3D model

Location: Chiba City Folk Museum “Exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City”

Shooting date: 2021.12.22

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.010 processing 91 images


2020年11月1日日曜日

アリソガイ製ヘラ状貝製品等観察の中間総括

 縄文貝製品学習 25

アリソガイ製ヘラ状貝製品がどのような道具であるのか究明することを目的に、有吉北貝塚出土製品8点(うち2点はハマグリ製)を3Dモデル観察しました。この記事ではその中間総括をします。

1 観察対象、方法、結果

アリソガイ製ヘラ状貝製品6点、ハマグリ製ヘラ状貝製品2点を3Dモデル観察しました。

観察は対象物の肉眼観察(一部は拡大鏡と手持ちライト照射利用)及び周回撮影(ライト使用)→3Dモデル作成→3Dモデル観察です。

観察結果は画像にメモ書きしました。


ヘラ状貝製品の観察画像メモ

2 考察

2-1 使用痕

ア 擦痕のない削剥

肉眼及び3Dモデルでは擦痕が見つからない削剥部(貝殻成長線が形成する表面の微細な凹凸が平滑化された平面)は全対象で観察できました。相手が柔らかいモノを擦ったため(顕著な)擦痕が付かなかったと考えられます。

なお、顕微鏡的に観察すれば、何らかの擦痕が観察できる可能性は濃厚です。

イ 擦痕のある削剥

肉眼及び3Dモデルで擦痕が見つかる削剥部はアリソガイ製ヘラ状貝製品全てで観察できます。ハマグリ製では観察できません。

肉眼で擦痕が観察できるほどですから、擦った相手は硬い微細な凹凸が存在していたことになります。

擦痕の方向や粗密、幅から擦った方向や擦り方の強さ、相手(表面)の微細形状が想定できます。

削剥が顕著な部分では貝殻成長線の分布が異常になります。

削剥が顕著な部位は貝殻左右端に局在する傾向があります。

なお、擦痕のある削剥が顕著なため貝殻が損耗して、それが主因で貝殻形状が変化するという事実は観察できませんでした。(擦痕のある削剥部と貝殻形状が損耗で凹んだ場所が一致しません。)

ウ 貝殻表面が凹むほどの削剥

ア1に貝殻表面が凹むほどの削剥が観察できます。細長い硬いモノを継続的に擦り続けた跡のようです。

エ 腹縁部の削り跡

全ての対象で腹縁部が削られている部分があります。腹縁部がエッジになっていて、その断面はギザギザになっています。

腹縁部が削られたために全ての対象で貝殻形状が変形しています。

貝殻形状の変化は1腹縁部がそのまま後退したもの(ア1、ア15、ア18、ハ10)、2腹縁部中央が尖って残るようなもの(ア2、ア5、ア13)、3局部だけ凹んだもの(ハ11)の3つに分類できます。この分類は使い方の違いを表現していて、使う個人のクセとか対象物の置き方の違い(作業環境の違い)などに関わっている可能性があります。

腹縁部が削られその断面がギザギザになっているということは擦った相手が硬いモノであることを示しています。貝殻表面で擦る場合と比べて腹縁部で擦れば相手と接する面積は極めて小さくなりますから、相手には大きな力が加わります。擦った相手は皮というよりも骨とか石とか土器のイメージになります。

オ 色素沈着

色素沈着がア13に顕著に観察できます。なめし液や染色液の塗布に使われた跡かもしれません。

2-2 5種使用痕の相互関係

上記のア~オ5種使用痕の相互関係があるのか、ないのか考えることがこの製品の使い方を考える上で重要です。

ア 5種使用痕に相互関係があると考えた場合

5種使用痕に相互関係があると考えた場合とは、1つの作業(例 皮なめし)で生じるさまざまな場面で生まれる個別動作が多数あり、そのうち5つの動作がアリソガイ製ヘラ状貝製品で賄われたと考える思考です。

皮なめしという作業のなかで、ア柔らかいモノを擦る、イ擦痕ができるほどのモノを強く擦る、ウ細長いモノを強く擦る、エ硬いモノを腹縁部で強く擦る、オ色素のある液体を塗布する。

このような作業が果たして皮なめしであったかどうか、別の作業ではどうであるのか、考察する必要があります。

イ 5種使用痕に相互関係がないと考えた場合

アリソガイ製ヘラ状貝製品は万能工具であり、いろいろな作業のいろいろな場面で使われたと考えることが可能であるか、検討しておく必要があります。思考を深めれば、この万能工具説はおそらく棄却できると思います。

3 引き続き検討する課題

3-1 3Dモデル観察方法

今後、使用痕をより鮮明に表現できる写真撮影方法、3Dモデル作成方法をまとめます。

同時に顕微鏡等を使ったよりミクロな観察・撮影を行い、その結果を3Dモデルにする方法や効果について検討します。

3-2 遺跡におけるアリソガイ製ヘラ状貝製品の有無の理由検討

加曽利EⅠ~Ⅱ式頃、狩猟中心の養安寺遺跡では九十九里に近いにもかかわらずアリソガイ製ヘラ状貝製品は出土しません。下総ではアリソガイは九十九里にのみ産します。

同時期の有吉北貝塚では漁労が中心で九十九里に遠いにも関わらずアリソガイ製ヘラ状貝製品が多数出土します。

この地理現象理解がアリソガイ製ヘラ状貝製品の用途説明のヒントになるかもしれません。

2020年10月31日土曜日

ハマグリ製ヘラ状貝製品の3Dモデル観察 その2

 縄文貝製品学習 24

千葉県教育委員会の許可で閲覧した有吉北貝塚出土縄文中期ハマグリ製ヘラ状貝製品の観察を3Dモデルを活用して行います。この記事では374図11個体の表面の観察を行います。

1 ハマグリ製ヘラ状貝製品(磨貝)(千葉市有吉北貝塚)374図11表面 観察記録3Dモデル 

ハマグリ製ヘラ状貝製品(磨貝)(千葉市有吉北貝塚)374図11表面 観察記録3Dモデル 

縄文中期、L、殻長97.6㎜、殻高79.5㎜ 

撮影場所:千葉県教育庁森宮分室 

撮影月日:2020.09.18 

許可:千葉県教育委員会許可による撮影・掲載 

ハイパス調整画像、高精細モデル 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.009 processing 22 images


撮影の様子


参考 裏面


実測図

有吉北貝塚発掘調査報告書から引用


3Dモデルの動画

2 観察


観察画像メモ

・このハマグリ製ヘラ状貝製品もアリソガイ製ヘラ状貝製品と比べて「使用感」が薄い感じを受けます。

・腹縁部の一部が硬いモノを擦ってエッジになっています。また一部そのエッジが凹んでいます。細長いモノを擦っているのでしょうか?

・閲覧したヘラ状貝製品全8点(アリソガイ製6点、ハマグリ製2点)の第1回目3Dモデル観察が終わりました。まとめを次の記事で行います。


2019年8月30日金曜日

阿玉台Ⅳ式深鉢形土器の3Dモデル観察

縄文土器学習 249

鎌ヶ谷市郷土資料館に展示されている阿玉台Ⅳ式深鉢形土器(根郷貝塚J5号住居跡)の明るい観察記録3Dモデルが出来ました。
ブログ「花見川流域を歩く番外編」2019.08.30記事「3Dモデルで暗い(黒い)土器表面を明るくする方法
そこで、まずその形状をじっくり観察しました。出土遺構や出土遺跡の学習は追って行います。
このような大きな把手のついた土器は自分にとって初めての実物観察です。

1 3Dモデルによる観察

正面A 観察記録3Dモデル

正面Aと同じ写真
「千葉県の歴史 資料編考古1(旧石器・縄文時代)」から引用
土器を地面においた時「正面」という概念は縄文人にも存在していたと考えられます。その正面がどこであるか判定することは大切であると考えます。
この土器の正面はこのAか次のBのどちらかになると考えますが、口縁に存在する2連の丸い穴を正面から見た姿がこの土器の縄文人が設定した「正面」であると考えます。

正面B 観察記録3Dモデル

正面Bと同じ写真
「鎌ヶ谷市史 資料編Ⅰ(考古)」から引用

正面Bと同じ向きの挿図
「千葉県の歴史 資料編考古1(旧石器・縄文時代)」から引用
背中合わせに2連となっている口縁部丸い穴は一つの引き離せない造形と考えますので、この正面Bは縄文人が「正面」をどのように考えていたかということを考慮しない図柄であると考えます。

上から 観察記録3Dモデル
3つの把手と2連丸い穴の出っ張りがそれぞれ近似正三角形をつくり、それが重なった図柄となっています。

上から の図柄

下から 観察記録3Dモデル
把手を載せる口縁部は近似正六角形になっています。

下から の図柄

2 感想
・正面Aが縄文人設定の「正面」であると推測することができました。
・正面Aの図柄をみると自分には次のような構成として観察できました。

正面Aの構成
大きな目玉とその両脇に大きな耳(把手)があり、とおくに尾(羽)があり、手前胴部の中央は腹、その両脇は折りたたんだ翼のように見えてしまいます。フクロウのような印象を受ける造形です。

………………………………………………
阿玉台Ⅳ式深鉢形土器 根郷貝塚J5号住居跡 観察記録3Dモデル 4(露出変更)
撮影場所:鎌ヶ谷市郷土資料館
撮影月日:2019.08.23
ガラス面越し撮影
3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v4.507 processing 63 images