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2024年6月2日日曜日

阿玉台式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

 3D model of observation records of Atamadai pottery (Chiba city, Kasori shell mounds)


I created a 3D model of the observation records of Atamadai pottery (Chiba city, Kasori shell mounds) that is on display at the Kasori shell mounds museum's 2023 excavation survey report exhibition. The frill-like three-dimensional pattern on the rim is impressive. Is it the same motif as the Atamadai pottery handle, which has a similar shape?


加曽利貝塚博物館の令和5年度発掘調査速報展に展示されている阿玉台式土器(千葉市加曽利貝塚)の観察記録3Dモデルを作成しました。フリルのような口縁部立体文様が印象的です。同様形状の阿玉台式土器把手と同じモチーフでしょうか?

1 阿玉台式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

阿玉台式土器(千葉市加曽利貝塚)観察記録3Dモデル

縄文時代中期中葉

北貝塚29号住居炉体土器

撮影場所:加曽利貝塚博物館令和5年度発掘調査速報展

撮影月日:2024.05.28


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.529 processing 107 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ

3-1 加曽利貝塚北貝塚における土器型式例出土位置

展示では北貝塚における主要土器型式例の出土地図が表示されていて、北貝塚の発達史、利用史に対する興味が掻き立てられる仕掛けになっています。


加曽利貝塚北貝塚における土器型式例出土位置

3-2 口縁部立体文様

この土器のフリルのような口縁部立体文様が阿玉台式土器の把手でよく見かける形状と似ているような印象を受けます。方形で少しカーブしている形状は同じモチーフなのでしょうか?


同じモチーフか?


2023年8月7日月曜日

崩落層・斜面貝層・ガリー運搬堆積層と阿玉台式土器との関係

 Relation between Collapsed Layer, Slope Shell Layer, Gully Transported Sedimentary Layer and Atamadai-type Pottery


Most of the Atamadai-type pottery was excavated from the gully valley top and the gully transport sedimentary layer, but some were also excavated from the slope shell layer. One item was excavated from the bottom of the sedimentary layer, and I hypothesized that it was discarded during the Atamadai period.


阿玉台式土器はガリー谷頭部とガリー運搬堆積層から出土したものが多いですが、斜面貝層から出土したものもあります。堆積層最下部から出土したものもあり、阿玉台式期に投棄されたものと作業仮説しました。

1 崩落層と斜面貝層の推定境界面と阿玉台式土器との関係3Dモデル

有吉北貝塚北斜面貝層
崩落層と斜面貝層の推定境界面と阿玉台式土器との関係3Dモデル

崩落層と斜面貝層の推定境界面:カラーグラデーション等高縞模様表現

貝層断面図:4番断面、7番断面、11番断面

阿玉台式土器:赤CUBE(11)


崩落層と斜面貝層の推定境界面と阿玉台式土器との関係3Dモデル画像


有吉北貝塚北斜面貝層 崩落層と斜面貝層の推定境界面と阿玉台式土器との関係3Dモデル動画

2 観察


観察結果

・阿玉台式土器11点のうち5点はガリー谷頭急斜面から、4点はガリー運搬堆積層から出土しています。阿玉台式土器の多くがガリー谷頭からガリー谷底に向かって投棄され、それが重力と年数回発生するガリー流路によって下流に運搬された様子を推察できます。

・ガリー運搬堆積層から出土した阿玉台式土器1点は基底部から出土しています。同じ場所から出土する加曽利EⅡ式土器と比べて明確に下層に位置する場所からの出土です。これから、阿玉台式土器の投棄が加曽利EⅡ式期より以前の時期に行われたことが推察できます。阿玉台式土器の投棄は阿玉台式期に行われたと作業仮説的に推察して、今後の作業をすすめ、検証して行くことにします。

・阿玉台式土器2点が斜面貝層から出土しています。阿玉台式土器はガリー谷頭部だけでなく、斜面にも投棄されたことが判明します。

・阿玉台式土器の3D分布特性は前期土器3D分布特性に似ているように感じます。

・発掘調査報告書から得られる阿玉台式3D座標は11点ですが、発掘調査原票を使えば、全部で56点の阿玉台式土器3D座標を得られる可能性があります。


2022年10月10日月曜日

阿玉台式土器と中峠式土器の3D分布

 3D distribution of Atamadai-style and Nakabyo-style pottery


I observed the 3D distribution of Atamadai-style and Nakabyo-style pottery on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound. It can be confirmed that the shell layer formation started from the Atamadai period. It seems that there was a water field used during the Nakabyo period, apart from the formation of the shell layer.


有吉北貝塚北斜面貝層の阿玉台式土器と中峠式土器の3D分布を観察しました。阿玉台式期から貝層形成が始まったことが確認できます。中峠式期には貝層形成とは別に水場利用があったようです。

1 阿玉台式土器(青)と中峠式土器(白)の3D分布

有吉北貝塚北斜面貝層 阿玉台式土器(青)と中峠式土器(白)の3D分布

青立方体:阿玉台式土器の破片

白立方体:中峠式土器の破片

立方体の大きさは0.3m×0.3m×0.3m

白線は谷頭部縁取線及び貝層断面図基底線


阿玉台式土器 中峠式土器 破片分布立面投影図

The North Slope Shell Layer of Ariyoshi Kita Shell Mound  3D distribution of Atamadai-style pottery (blue) and Nakabyo-style pottery (white)

Blue cube: Fragment of Atamadai-style pottery

White Cube: Fragment of Nakabyo-style Pottery

The size of the cube is 0.3m x 0.3m x 0.3m

The white line is the border line of the valley head and the base line of the cross section of the shell layer.


「阿玉台式土器(青)と中峠式土器(白)の3D分布」画像

2 メモ

2-1 阿玉台式期から北斜面貝層が利用されている

北斜面貝層から出土した土器数を発掘調査報告書掲載土器数を指標として比較すると次のようになります。


発掘調査報告書掲載時期別土器数

このグラフから阿玉台式期から北斜面貝層が利用されていた様子を読み取ることができます。

2-2 阿玉台式期にガリー谷頭から土器が投棄されている

ガリー谷頭部旧斜面に阿玉台式期土器破片が分布していることから、ガリー谷頭最上部から阿玉台式土器が投棄されていたことが判明します。それらの土器は混貝土層から出土していますから、土器投棄は貝投棄に随伴して行われていたことが判ります。


谷頭部急斜面の阿玉台式土器分布

2-3 阿玉台式土器投棄が後代の混入ではない証拠

阿玉台式土器が後代(例 土器が集中大量に投棄された加曽利EⅡ式期)の混入でない証拠として、貝層断面図3付近の土器出土層位をあげることができます。


貝層断面図3の20土器(阿玉台式)と275土器(加曽利EⅡ式)の出土層位


貝層断面図3の20土器(阿玉台式)と275土器(加曽利EⅡ式)の出土位置、高さの関係

275土器(加曽利EⅡ式土器)は加曽利EⅡ式土器が集中大量投棄された層位を示しています。その層位より確実に下位で谷底付近の混貝土層から20土器(阿玉台式)が出土しています。この情報から、阿玉台式土器が加曽利EⅡ式土器が集中大量投棄されたときの混入物でないことが証明されます。

なお、北斜面貝層は縄文時代以降の撹乱が全くない貝層であることが判っています。

2-4 北斜面貝層北部(ガリー侵食谷出口付近)における中峠式土器の2グループ

北斜面貝層北部(ガリー侵食谷出口付近)において中峠式土器が集中しています。次図に示す通り、この付近の中峠式土器(阿玉台式土器も極少数混じる)はガリー流路運搬作用で上流から流下してきて貝層内に堆積したグループと斜面貝層形成以前の地表に投棄されて土層から出土するグループに分けることができます。


中峠式土器(阿玉台式も極少数含む)の2グループ


貝層形成とかかわらない中峠式土器投棄の様子

土層から出土する中峠式土器は中峠式期に貝投棄とは関係しない活動で投棄されたものであると考えることができます。当時この付近が水場であったことが想定されますから、水場に関連する何らかの活動があったのかもしれません。


2022年10月6日木曜日

阿玉台式土器・中峠式土器の3D空間分布

 3D spatial distribution of Agamadai-style and Nakabyo-style pottery


A prototype 3D spatial distribution model of the Atamadai-style and Nakabyo-style pottery in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound was developed. It expresses how pottery thrown from the top of the valley is distributed downstream along the gully channel.


有吉北貝塚北斜面貝層における阿玉台式土器・中峠式土器の3D空間分布モデルを試作しました。谷頭部から投げ込まれた土器がガリー流路に沿って下流まで分布している様子が表現されています。

1 阿玉台式土器・中峠式土器の3D空間分布

有吉北貝塚北斜面貝層の阿玉台式土器・中峠式土器の3D空間分布


Blender画面

有吉北貝塚発掘調査報告書掲載資料から作成

3D spatial distribution of Atamadai-style and Nakabyo-style pottery in the shell layer on the northern slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound

Created from materials published in the Ariyoshi Kita Shell Mound Excavation Report


3Dモデルの動画

2 メモ

集落が乗る台地面近くのガリー谷頭部から投げ込まれた土器がガリー流路に沿って下流まで分布している様子が表現されています。下流域にはそれとは別に分布する土器があり、水場として利用されていた跡のようだと推測しています。


3Dモデルの平面投影と立面投影 Blender画面

3Dモデルの判りやすい表現方法をこれから開発していく予定です。


2022年3月12日土曜日

阿玉台式土器(千葉市根崎遺跡)の3Dモデル観察

3D model observation of Atamadai type pottery (Nezaki site,Chiba City)


I created and observed a 3D model of the Atamadai type pottery (Nezaki site,Chiba City) exhibited at the Chiba City Buried Cultural Property Research Center "Exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City".


千葉市埋蔵文化財調査センター「千葉市出土考古資料優品展」に展示されていた阿玉台式土器(千葉市根崎遺跡)の3Dモデルを作成して観察しました。

1 阿玉台式土器(千葉市根崎遺跡) 観察記録3Dモデル Atamadai type pottery

阿玉台式土器(千葉市根崎遺跡) 観察記録3Dモデル

撮影場所:千葉市埋蔵文化財調査センター「千葉市出土考古資料優品展」

撮影月日:2022.03.07


展示の様子

ガラスショーケース越し撮影

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v6.501 processing 172 images

Atamadai type pottery (Nezaki site,Chiba City) Observation record 3D model

Location: Chiba City Buried Cultural Property Research Center "Exhibition of excellent archaeological materials excavated from Chiba City"

Shooting date: 2022.03.07

Shooting through a glass showcase

Generated with 3D model photogrammetry software 3DF Zephyr v6.501 processing 172 images


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開

GigaMesh Software Frameworkにより土器3Dモデルを扇形に平面展開しました。


GigaMesh Software Frameworkによる平面展開

3 メモ


展示説明

「阿玉台式土器 根崎遺跡(若葉区原町)

縄文時代中期前葉の土器。千葉県香取市阿玉台貝塚出土の土器を標式とする。

器面には意図的に製作時の粘土紐輪積痕を残すものが多く、隆帯とそれに沿わせた押引文で文様が構成されるものが多い。

また、胎土に意図的に金雲母を混入することが最大の特徴である。

本資料も隆帯と押引文により装飾された浅鉢と深鉢である。」


2021年1月15日金曜日

縄文中期阿玉台式土器(茅野市長峰遺跡(須栗平~芹が沢))2 観察記録3Dモデル

縄文土器学習 521

有吉北貝塚学習に関連して急遽阿玉台式土器学習をしています。この記事では縄文中期阿玉台式土器(茅野市長峰遺跡(須栗平~芹が沢))2を3Dモデルで観察します。

1 縄文中期阿玉台式土器(茅野市長峰遺跡(須栗平~芹が沢))2 観察記録3Dモデル 

縄文中期阿玉台式土器(茅野市長峰遺跡(須栗平~芹が沢))2 観察記録3Dモデル 

展示説明:5000年前、東関東地方で流行した土器で、これほど全体を保った状態で見つかるのは、八ヶ岳ではめずらしい。 

撮影場所:尖石縄文考古館 

撮影月日:2020.03.13 

ガラス越し撮影 

3Dモデル写真測量ソフト 3DF Zephyr で生成 v5.016 processing 68 images


展示の様子

対象土器は中央


展示の様子

対象土器は中央


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開 テクスチャ


GigaMesh Software Frameworkによる展開 ソリッド


GigaMesh Software Frameworkによる展開 分析用加工

3 観察メモ

隆線と2本沈線により区画が区分されているところが多く、土器全体が区画で覆われているようです。

頸部は360度全体が一つの区画になっていて、蛇行沈線2本と刻み文1本が巡ります。

展示中央の把手付近立体文様を次のように解釈しました。


阿玉台式土器(茅野市長峯遺跡)の把手付近立体文様の解釈例

区画A・Bと区画Cの把手側には区画区分の沈線が存在しないので、立体的張り出しが区画区分の役割をしていると考えることができます。その立体的張り出しは把手上部の平面と融合します。このことから、把手上部の平面は天空界・雲の世界と考え、立体的張り出しは区画A・Bと区画Cの立体的(空中の)境界であると考えました。つまり立体的張り出しは展開から降る雨と考えました。特段の根拠がない空想ですが、後日の総合検討のためにメモしておきます。

 

2021年1月13日水曜日

有吉北貝塚 阿玉台式土器の学習

縄文社会消長分析学習 73

有吉北貝塚学習の出土土器として最初に阿玉台式土器の学習を始めました。試行錯誤的作業を積み重ねて、阿玉台式土器の自分なりのイメージ獲得を目標にします。この記事は学習作業の様子です。

1 出土土器実測図と模式図との対照

発掘調査報告書掲載の阿玉台式土器実測図(南斜面貝層出土)はほとんどが土器断片で、それから土器の元来の姿を想像することは困難です。そこで最初に小林達雄編「総覧縄文土器」掲載阿玉台式土器細別編年模式図との対照作業をしてみました。


小林達雄編「総覧縄文土器」掲載阿玉台式土器細別編年模式図


有吉北貝塚南斜面貝層資料と小林達雄編「総覧縄文土器」阿玉台式土器細別編年模式図

特徴的な把手及び口縁部付近の文様を手がかりにいくつかの土器片の対応関係を想像できました。阿玉台式土器の特徴は把手と口縁部付近の文様に特に表現されていると考えて間違いないようです。また時期が新しくなるにしたがって把手が肥大化、文様が重厚になるような傾向がある印象を受けます。

2 これまでに観察した阿玉台式土器と編年模式図との対応 1

これまでの縄文学習で観察したことのある阿玉台式土器をwebページから検索して見ました。

ブログ記事の中で写真のみを掲載した阿玉台式土器が2点、3Dモデルを作成した阿玉台式土器が6点で合計8点を観察しています。写真撮影だけでその後記事や3Dモデル作成に至らないものもかなりあるとおもいますが、今回は検索を割愛しました。

これら8点の阿玉台式土器の編年情報がわかるかどうか手持ち資料を調べ、小林達雄編「総覧縄文土器」阿玉台式土器細別編年模式図と対照させました。残念ながらこれまで観察した土器で細分情報が判っているものは野田市中野台貝塚出土阿玉台Ⅲ式土器だけでした。


ブログ記事化及び3Dモデル作成した阿玉台式土器 1

3 小林達雄編「総覧縄文土器」阿玉台式土器細別編年模式図の(勝手な)理解

さて、上の一覧図を見て、阿玉台式土器の把手と口縁部の様子がバラエティーに富むことが判ります。そして、模式図をよく見ると、なんと縦列が同じ形状の土器で整理されています。特段の説明はないようですが、阿玉台式土器は最初からア~キの7つのデザイン系列集団のようです。


小林達雄編「総覧縄文土器」阿玉台式土器細別編年模式図の(勝手な)理解

それに気が付くと、これまで自分が観察してきた阿玉台式土器を全てア~キの7デザイン系列に対応させることができました。


ブログ記事化及び3Dモデル作成した阿玉台式土器 2

4 感想

少しだけ阿玉台式土器に馴染むことができたような感覚を得ました。

しばらくの間、参考までに過去に観察した各地の阿玉台式土器3Dモデルを再度観察してみることにします。


2019年7月27日土曜日

五領ヶ台式土器と阿玉台式土器の分布

縄文土器学習 214

縄文土器形式毎にその出土遺跡の千葉県分布図を作成しています。この記事では中期の五領ヶ台式土器と阿玉台式土器の分布を観察します。

1 千葉県 五領ヶ台式土器出土遺跡分布図

千葉県 五領ヶ台式土器出土遺跡分布図
118遺跡がプロットされています。

千葉県 五領ヶ台式土器出土遺跡分布ヒートマップ
松戸市川付近だけでなく、手賀沼北側(我孫子・柏)に遺跡集中域が現れます。

2 千葉県 阿玉台式土器出土遺跡分布図

千葉県 阿玉台式土器出土遺跡分布図
527遺跡がプロットされています。阿玉台式土器は千葉県土器形式ランキングでは加曽利E式、加曽利B式、堀之内式に続く第4位の出土遺跡数を誇ります。

千葉県 阿玉台式土器出土遺跡分布ヒートマップ
松戸・市川付近と千葉市付近に遺跡集中域が分布します。

3 参考 五領ヶ台式期・阿玉台式期の貝塚分布とその記述 「千葉県の歴史 資料編考古4(遺跡・遺構・遺物)」引用
次の図は「千葉県の歴史 資料編考古4(遺跡・遺構・遺物)」掲載図から五領ヶ台式期・阿玉台式期貝塚だけを抽出したものです。 

五領ヶ台式期・阿玉台式期の貝塚分布
●図書の記述
Ⅲe期(五領ヶ台期~阿玉台Ⅱ期)は、奥東京湾沿岸に圧倒的に集落・貝塚の分布が集中していたⅢa~Ⅲd期とは異なり、古鬼怒湾水系に中心が移った。
現在の利根川下流域や霞ヶ浦周辺で、県内では小野川・黒部川水系に大型貝塚群を形成する。
山田町向油田貝塚はこの時期のみ、佐原市三郎作貝塚・小見川町木之内明神貝塚・同町阿玉台貝塚はこの時期からⅣ期まで、白井大宮台貝塚はⅢd期からⅣ期まで継続する。
いずれも大規模な斜面貝層について調査が行われており、貝類採取や魚類の網漁・刺突漁がさかんに行われたことが判明している。
大規模な貝層や想定される生業の内容は、東京湾沿岸におけるⅣ期の貝塚群との共通点が多い。
実際にⅣ期まで継続する例が存在することもあり、大型貝塚の出現と通年定住型集落を特徴とするⅣ期のはじめを阿玉台IaないしIb期とすべきかとも考えたが、東京湾沿岸の大型貝塚が阿玉台Ⅲ期に一斉といってよいくらいに現れることを重くみることにした。
なお,小野川・黒部川水系の貝塚群は広場集落を形成していたのではないかと想像するが、集落域の調査例が皆無に近いため不明である。
石器総数がかなり少なく、特に打製石斧が少ないなど東京湾沿岸との相違点も存在するようである。

4 メモ
・五領ヶ台式土器分布と阿玉台式土器分布が時間の上でどのように重なっていたのか、また二つの土器形式の併行的存在は異集団の存在を表現しているのか、今後詳しく学習する課題とします。五領ヶ台式土器が諸磯式土器の流れで、阿玉台式土器が浮島式土器の流れであるとイメージして当面は学習を進めることにします。
・この時期に貝塚分布の主な空間が東京湾から香取の海に移動する要因をたとえあやふやであっても作業仮説を持ちたいと思います。貝塚のある場所が縄文人にとって好適な場所であったことは確実ですが、好適な場所全部を利用しつくしていないことも確実ですから、その場所を貝塚として設定した縄文人特有の理由が存在したことも確実で、その理由を類推することは可能に違いないと思います。
・【空想】北方からやってきた浮島式-興津式-阿玉台式集団(B)の勢力がもともと在地である諸磯式-十三菩提式-五領ヶ台式集団(A)をはるかに凌駕した。その結果Bの本拠地である香取の海での貝塚が隆盛した。Aの本拠地である東京湾での貝塚は零落した。つまり集団AとBの人口変化があり、その空間投影が貝塚分布の変化として図に描かれている。

5 参考 千葉県縄文土器形式別等出土遺跡数

千葉県縄文土器形式別等出土遺跡数

2019年5月14日火曜日

阿玉台式土器の千葉県域分布

縄文土器学習 122

阿玉台式土器の千葉県域分布を参考までに見てみました。

1 阿玉台式土器出土遺跡の分布

阿玉台式土器出土遺跡
私家版千葉県遺跡データベースで「阿玉台」は527レコード(遺跡)がヒットします。
この分布図から密度を見やすくするためにQGISの内挿機能(カーネル密度推定)を使ってヒートマップを作成しました。

阿玉台式土器出土遺跡ヒートマップ
色が濃いほど遺跡密度が高くなるように表現しています。
市川付近と千葉付近に高遺跡密度域が分布しますが、千葉付近の方がより遺跡密集程度が高く観察できます。

2 参考 勝坂式土器出土遺跡の分布
阿玉台式土器と勝坂式土器は共伴出土する場合が多いので、参考までに勝坂式土器出土遺跡の分布図を作成してみました。

勝坂式土器出土遺跡
私家版千葉県遺跡データベースでは「勝坂」は132レコード(遺跡)がヒットします。
ヒートマップは次のようになります。

勝坂式土器出土遺跡ヒートマップ
市川付近に色の濃い場所があります。分布は千葉県域全体に広がりますが、分布の中心はあくまでも奥東京湾岸沿いにあるといえます。
奥東京湾岸沿いでは阿玉台式土器圏内に勝坂式土器影響圏が重なりますが、千葉付近は阿玉台式土器圏主部であり、そこに影響する勝坂式土器の影響は微弱であると捉えることができます。

2019年5月13日月曜日

阿玉台式土器 注口付舟形鉢形土器(ヲサル山遺跡出土) 展示3Dモデル

縄文土器学習 121

阿玉台式土器「注口付舟形鉢形土器」(八千代市ヲサル山遺跡出土)の展示3Dモデルを掲載します。

阿玉台式土器「注口付舟形鉢形土器」(八千代市ヲサル山遺跡出土)の展示3Dモデル
八千代市立郷土博物館展示

阿玉台式土器「注口付舟形鉢形土器」(八千代市ヲサル山遺跡出土)展示状況
八千代市立郷土博物館展示

・舟形は現代人からみた形容であり、鳥をイメージして造形されたかもしれないと空想しました。

参考 古墳時代 水鳥形土製品 千葉市南二重堀遺跡出土
千葉県教育庁文化財課森宮分室展示室展示

阿玉台式土器 浅鉢(ヲサル山南遺跡出土) 展示3Dモデル

縄文土器学習 120

阿玉台式土器浅鉢(八千代市ヲサル山南遺跡出土)の展示3Dモデルを掲載します。

阿玉台式土器浅鉢(八千代市ヲサル山南遺跡出土)展示3Dモデル
八千代市立郷土博物館展示

阿玉台式土器浅鉢(八千代市ヲサル山南遺跡出土)展示状況
八千代市立郷土博物館展示

・胴部は無文のようです。
・口縁部の渦巻文+長矩形区画文は加曽利E式に似ています。

参考 ヲサル山南遺跡の場所と情報
ちば情報マップ 埋蔵文化財包蔵地より

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技術メモ
展示物の3Dモデルを作成する場合、対象物だけを切り取って3Dモデルを作成するより、周辺の状況も含めて3Dモデルを作成する方がきれいにできることを体験しています。対象物だけを切り取ると、ソフトがどうしても必要な「補完」をするため、それが除去不能のゴミになるからだと想像しています。

阿玉台式土器 加曽利貝塚など

縄文土器学習 119

縄文土器を形式別に観察しています。
この記事では加曽利貝塚博物館に展示されている縄文中期阿玉台式土器(加曽利貝塚出土)と八千代市立郷土博物館に展示されている同(ヲサル山遺跡出土)を観察します。

1 阿玉台式土器(加曽利貝塚出土)の観察

阿玉台式土器(加曽利貝塚出土) 加曽利貝塚博物館展示

2 阿玉台式土器(ヲサル山遺跡出土)の観察

阿玉台式土器(ヲサル山遺跡出土) 八千代市立郷土博物館展示

八千代市立郷土博物館には別に次の2点の阿玉台式土器が展示されています。
・浅鉢(ヲサル山南遺跡出土)
・注口付舟形鉢形土器(ヲサル山遺跡)
この2点は3Dモデルを作成しましたので、別記事で紹介します。

3 「日本土器事典」の阿玉台式土器に関する記述抜粋
「阿玉台式土器は、主に関東地方東部に分布し、中部地方から関東地方西部に分布する勝坂式土器とともに、縄文時代中期前半期に大きな編年的位置を占めている。
阿玉台式土器の研究には二つの流れがある。一つは、高橋良治らを中心とした阿玉台式土器の3期区分案で、第1段階に阿玉台式土器が単独で出土する段階、第2段階に勝坂式土器と伴出する段階、第3段階に加曽利E式土器と伴出する段階とし、A~Cの3型式を設定した。これに対して、西村正衛は、利根川下流域を中心とする一連の貝塚調査で得られた資料を型式学的に分析するなかで、阿玉台式の発生から終末までの様相を詳しく論じた。これによれば、阿玉台式土器は第Ⅰ類から第Ⅳ類に分かれ、第Ⅰ類はa、b種に細分される。この分類はそのまま型式名称として用いられ、現在Ia、Ib、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ式の細分案が普及している。
阿玉台式土器の特徴を一言でいい表わすのは困難であるが、Ib式に代表されるように扇状あるいは山形板状の発達した把手をもつ口縁部と、頸部無文帯を挟んで簡素な隆線文をもつ胴部からなる深鉢形土器が特徴で、同時期に展開する勝坂式土器の、重畳する文様帯や発達した隆帯装飾文と比較して、対照的な土器と言えよう。」
「日本土器事典」から引用

4 感想
「日本土器事典」や「千葉県の歴史」あるいはWEBをみると阿玉台式の異様な把手土器等多様な事例が掲載されています。それらの事例を多数見なければ阿玉台式土器のイメージを持つことが困難であると実感しました。しかし阿玉台式土器を多数集めて展示している博物館等が近隣には無いようです。したがって実物を見ながら土器学習をすることの実務上の限界を感じました。
とりあえず縄文土器全形式を「通り一遍」のラフな通し学習で行い、次のステップで写真集や図録等の積極的活用と結びつけた2巡目の実物観察活動をしたいと思います。

5 阿玉台式土器の較正年代

阿玉台式土器の較正年代
小澤政彦先生講演「東関東(千葉県域)の加曽利E式」資料(2019.02.24)では阿玉台式土器の較正年代は掲載されていませんが、併行している勝坂式土器の較正年代が5310~4950年前calBPとなっています。

6 参考 加曽利貝塚、ヲサル山遺跡の場所と情報

加曽利貝塚 ちば情報マップ 埋蔵文化財包蔵地より

ヲサル山遺跡 ちば情報マップ 埋蔵文化財包蔵地より

阿玉台式土器出土遺跡の分布図は勝坂式分布図と比較しましたので別記事で掲載します。

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学習チェックリスト