2011年4月16日土曜日

北高津川流域紀行4 旧軍の悪


●悪の存在に戸惑う
 このブログは、流域を散歩して、地域の資産(宝)を洗い出し、それをいかにして地域づくりに活用していくかというテーマで情報発信しています。
 これまで、本川における散歩と情報発信は順調にきていると自分では思っていました。
 ところが、支流の高津川に入り、その流域変更に旧軍の悪(敗戦時の陸軍演習場内毒ガス埋設)が関わっているのではないかという疑念が心に浮かんできました。

 流域変更を説明すると考えられる公式資料(「印旛沼開発工事誌」水資源開発公団印旛沼建設所、1969)では、そういうこと(旧軍の悪)は検討条件にないことは確認しました。しかし、旧軍の悪が高津川の流域変更に強い影響を与えたことを、私は直感して情報発信しました。(2011年4月9日記事「高津川、勝田川が印旛沼水系から切り離された理由」)

 この旧軍の悪が流域変更に影響したという見立ては、自分なりに今後材料を集め、本当にそういう自分の直感が正しいのかどうか、検討を深めていきたと思います。検討は、私の見立てが正しことを証明しようとしているのではありません。私の見立てが間違っていても、真実がわかれば、それだけ花見川流域に対する認識が深まり、うれしいことです。

 私にとっての問題は、私の見立ての正否ではなく、流域における悪の存在を感じてしまったことです。
 花見川流域を対象に、散歩してその資産(宝)を見つけようとしている私が、そもそも花見川流域形成に関わる要因に旧軍の悪を見立ててしまったのです。

 楽しい散歩が台無しのように感じます。

 旧軍の話題について言えば、習志野原の地名由来や「坂の上の雲」のテレビ番組の影響の下で騎兵実施学校の秋山好古の話しをしている分には差し障りないと思います。それは、現在の私たちに対して、懐古の情に訴えるものです。その話題はすでに一種の地域資産と化していると思います。

 しかし、毒ガス埋設はそれを考え、情報を得るにしたがって、巨悪であり、社会の深い暗部であることを感じます。私の目指す活動に照らすと、戸惑いを覚えます。

●悪を直視する、悪を知る
 戸惑いを覚え、このブログ情報発信も少し停滞しました。
 しかし、誰でも、いつまでも心を停滞させておくことはできません。知恵がどこからか出てくるものです。
 まず、悪を直視しようと思います。悪の実体についてできるだけ知りたいと思います。悪の姿(事実)を知ることが出発点です。

 現在の生活に対する影響という側面から見ると、次のような情報発信が行われています。

習志野市役所情報発信(旧軍毒ガス弾等に関する環境調査
八千代市役所情報発信(「習志野演習場」における旧軍毒ガス弾等の環境調査について
船橋市役所情報発信(「旧軍毒ガス弾等に関する環境調査」の記事一覧
千葉市役所情報発信(旧軍毒ガス弾等に関する情報

 悪の経緯については各市の市史に記述があります。また旧軍毒ガスに関する書籍もあります。
 このような情報源から情報を得て、悪の姿をできるだけ直視したいと思います。

●悪を克服する哲学を学ぶ
 心の停滞の後、悪を直視せず、悪を忘れ、悪を無視し、悪を隠しても活動の展望は生まれないと感じるようになりました。悪を封印して散歩し、地域の資産を見つけ、川づくりや地域づくりについて語っていても、それは魅力の少ない活動だと感じるようになりました。
 つまり、私の活動としては、地域が悪を克服していく方向やその方法を見つけることもその範疇に入れるということになります。
 しかし、悪を克服するとはどのようなことでしょうか?行政も(おそらく)地域住民もことさら触れたがらない悪(暗部)を克服するためには、それなりの哲学が必要だと思います。

 また、悪はどこかで、善や人(世の中)の真実を考えるときに必須条件であるようにも予感します。少なくとも、悪を考えることで、善がより一層鮮明に浮かび上がります。

 すこし、飛躍があるかもしれませんが、最近始めた地域づくりの哲学学習「ジオパークを学ぶ」の活動の中で有用な哲学を見つけることが出来るかもしれないとも期待しています。
ジオパークを学ぶ」の活動も活用しながら、悪を克服するために必要な地域づくりの哲学を学んでいきたいと思います。

●悪の流域における発現形態
 悪(敗戦時の陸軍演習場内毒ガス埋設)の流域における発現形態を考え、その克服が必要なものは方法を考えて、このブログで情報発信していきたいと思います。

1習志野演習場の存在
毒ガス埋設地という条件が有力な要因となり演習場として残ったと見立てる。流域の地域づくりにおける習志野演習場の意味、価値、役割を考える。

2高津川、勝田川の花見川(東京湾)水系流域変更
毒ガス埋設による環境影響を水資源開発上回避するために流域変更があったと見立てる。流域変更された新生花見川流域が、あらたな統合に向かうような地域づくりを考える。

3高津川流域の河川改修、沿川開発
上流に毒ガス埋設地があることにより、川や沿川谷底平野が開発に当たって粗末に扱われ、川が心理的に排除されたと見立てる。上流にある広大な自然地(演習場)を活用しながら自然を回復するかわづくりや地域づくりを考える。

4埋設毒ガスの健康影響
防衛省調査では周辺地域のおける現在の毒ガス影響は見つかっていないとされている。過去における埋設毒ガス存在という情報を川づくり、地域づくりにどのように活かすか考える。

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