2011年8月14日日曜日

縄文丸木舟と大賀ハス12

浪花川流域紀行14 縄文丸木舟と大賀ハス12

            大賀ハス

5-3 シードバンク、古代木製品遺物バンクとしての沖積層
 縄文丸木舟と大賀ハスについて、出土物を閲覧し、発掘に関わった人々が書いた資料を読み、現場を歩くなどして、次のような感想を持ちました。

ア 花見川流域谷津の沖積層が、縄文時代以降の植物種子を休眠状態で保存しているシードバンクであるということ。

イ 谷津沖積層は、同時に古代人が使った舟などの木製品遺物バンクでもあるということ。

ウ どのような場所に休眠状態の植物種子や丸木舟がありそうか、昭和20年代の調査で肝心な情報が得られたこと。(海退時に形成された砂堆背後の「自然のミナト」環境+泥炭・地下水による種子や遺物の保存環境など)

エ しかし、縄文丸木舟と大賀ハスの全国や世界に伝えられた華々しい成果にも関わらず、花見川流域や近隣流域で、谷津沖積層を対象とした追加調査、追試が行われたという情報に接することが出来なかったこと。

オ 終戦直後の昭和20年代と現代を較べれば、地層の調査技術や試掘・発掘技術の進歩は格段のものがあると考えられること。

 以上のような感想は次のような夢想を発生させました。

カ 大賀博士の行った発掘・実験の追試を、専門家の指導・協力を得ながら、市民・行政・企業等が参加するイベント(プロジェクト)として実施できれば、いろいろな効果があるに違いない。
・まず地域の自然史や古代歴史を事前に十分に調査する必要があることから、地域の特色や魅力を深く知ることができる。
・発掘や発芽実験追試はそれ自体学術的意義が大きい。
・偶然の僥倖があれば木製品遺物を発見できるかもしれない。
・市民参加プロジェクトとして実施することにより、市民・行政・企業・専門家などのコミュニケーションを深めることができる。
・地域の学校教育の一環として取り組めるし、活動自体をさまざまな形で教材化できる。
・花見川流域や近傍流域の堆積環境の類似する場所でプロジェクトを実施する。(発掘検討地域、場所を選定すること自体が取り組みの重要な活動となる。)

(「縄文丸木舟と大賀ハス」 終 )

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