2018年5月31日木曜日

大膳野南貝塚 報告書通読学習をふりかえる

大膳野南貝塚の発掘調査報告書通読学習をこの記事で一度収斂させます。
6月から新たな視点、新たな学習意欲で縄文時代学習、大膳野南貝塚学習を始めたいと考えています。

1 大膳野南貝塚学習の経緯
いつか縄文時代学習をある程度本腰をいれて始めたいと考えていたのですが、その時期が2016年12月になりました。
学習を始めるにあたって、千葉市埋蔵文化財調査センター所長西野雅人先生に学習対象遺跡についてアドバイスを求めました。そうしたところ西野先生からいくつかの遺跡を紹介していただき、その中から最新発掘成果がまとまっている大膳野南貝塚を選ぶことができました。また資料に関してサポートしていただきました。
西野雅人先生のアドバイスとサポートにあらためて感謝申し上げます。
2016.12.23記事「縄文時代遺跡 大膳野南貝塚の学習を開始」参照

発掘調査報告書の通読学習を始めてこれまでに関連記事が昨日までで226となりました。

大膳野南貝塚 学習記事数

旧石器時代の出土物、早期の陥し穴や炉穴、前期集落の竪穴住居や土坑、後期集落の竪穴住居や土坑などについて発掘調査報告書を通読するような順番で学習してきました。
2018年2月末には無限に続く興味の連続を一旦区切る必要性を感じ、2018.03.01記事「大膳野南貝塚 学習収斂に向けた興味まとめと今後の予定」を書き、3月一杯で通読学習を収斂させることとしました。
しかしその後、土坑データベース作成やQGIS操作技術の飛躍的向上などがあり、学習が特段に深まったため収斂時期を4月末に、さらに5月末に延長してようやくこの記事に至ったという次第です。

2 発掘調査報告書情報の空間分析という学習スタイルの意識
考古学に関する最も重要な情報は、発掘現場における発掘作業に伴う現場観察情報であると考えます。
ところが、私の大膳野南貝塚学習は発掘調査報告書を対象にした文献学習であり、私自身発掘現場体験がないので学習に現場感覚的な虚弱さが伴うのは避けられません。門外漢の趣味の学習ですから、その点はある意味当然です。
一方、文献学習と割り切れば、つまり発掘調査報告書に掲載されている情報をいかに汲みだし、いかに分析して有用な情報を生み出すかという点に立脚すれば、私の学習は意義があるのではないかと自覚します。
特に発掘調査報告書の詳細情報をGISに展開し、空間分析するという行為は身の回りではほとんどみかけません。
発掘調査報告書の生の詳細情報をGISで空間分析して有用情報を生みだすという活動は一つの学習スタイルとして特筆して良いのではないかと自覚します。
大膳野南貝塚学習では発掘調査報告書の生の詳細情報をデータベースソフトやGISソフトを使って、これまで実現しなかった(実現できなかった)分析を行ってきており、それを新たな学習スタイルとして意識しつつあります。

3 学習問題意識について
3-1 当初学習問題意識
2016年12月の問題意識は次の2点でした。
……………………………………………………………………
1 遺跡と地形との関係
生活において地形をどのように利用していたのか、興味が深まります。(海はどこにあり、どのように出たか。狩と地形との関係、住居と水場の関係…)
2 集落の空間構造
遺構・遺物の空間情報をGISを使って分析して、発掘調査報告書からどのような有用情報(価値ある情報)を引き出せるか、興味が湧きます。
……………………………………………………………………
この時は右も左も判らなかったのですが、その後の1年半の活動のなかでこの時意識していた「知りたいこと」や「知識が増えた状況」のイメージを思い出すと、それらはほぼ実現できたと考えます。GIS空間(電子空間)に存在する大膳野南貝塚の状況についての知識は増えました。

3-2 現在の学習問題意識
2018年3月の問題意識は次の5点です。
……………………………………………………………………
1 後期集落が始まり急成長した要因は何か?
2 後期集落が急減退・衰退消滅した要因は何か?
3 後期集落で共伴する漆喰貝層有竪穴住居グループと漆喰貝層無竪穴住居グループの関係はどのようなものか?
4 前期集落の浮島式土器優勢竪穴住居家族と諸磯式土器優勢竪穴住居家族の関係はどのようなものか?
5 3と4の問題意識を関連させることは有意義であるか?
……………………………………………………………………
いずれの問題意識も割り切れるようなイメージで解決したものはありません。
しかしいずれの問題意識も「重要で興味深い解答」がすぐそこにあるような感覚を持ちます。そこまで学習がすすんでいます。
心機一転して始める6月からの大膳野南貝塚学習総とりまとめで上記5つの問題意識に肉薄したいと思います。
なお、上記問題意識はすべて千葉県域などの広域の遺跡情報の中で検討すべき側面があります。
従って大膳野南貝塚だけの情報で得られる結論はあるべき一般結論のための一つの材料に過ぎないことは言うまでもありません。

4 総とりまとめの最初の活動
6月からこれまでの大膳野南貝塚学習を総とりまとめします。
「学習の総とりまとめは判ったことと派生した問題意識等をデータとともに簡潔に表現し、今後の縄文時代学習のよすがとします。」
総とりまとめの最初の活動は自分が書いた過去記事226を読み直し、分析内容や問題意識を整理することとします。
分析内容や問題意識の整理活動の中で総とりまとめの方法等を決めることにします。

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