2011年11月30日水曜日

柏井付近の地形地質 上

花見川現地調査報告3

柏井付近の現地調査結果のうち、北側の部分を報告します。

 1 調査地点情報
次に調査地点の位置図を示しました。
調査地点位置図
基図は千葉市提供DMデータを使用しました。

調査地点のプロットはGPSデータをパソコンが機械的にプロットしていますから正確です。

この調査位置図に対応した地形分類図(予察図)を次に示します。
昭和24年撮影米軍空中写真実体視により作成しました。
事前に作成した地形分類図(予察図)

 また地形断面を次に示します

断面1
 千葉市提供DMデータ等高線情報から作成しました。

断面2
 千葉市提供DMデータ等高線情報から作成しました。

 2 緩斜面と凹地
 北柏井集落の乗る河岸段丘の北に広がる台地は、標高28m等高線より西側が平坦な地形面、東側が緩斜面になっています。
その緩斜面の中に、18.4mの測量ポイントのある大きな凹地があります。
断面1でもその縁が表現されています。
写真1は緩斜面上から東側(花見川方向)を見た時の風景です。
写真1
 緩斜面上から東側の風景 中心部から外れていますが、凹地形が確認できます。
凹地中央部は藪(雑木林)になっていてその内部の巨大すり鉢状地形は肉眼では観察できますが写真では表現できません。
普請盛土で出口を失った凹地です。

耕作されている方にヒアリングすると、雨が降ると水がたまるため戦後底の部分で水抜きの工事をしたことがあるとのことです。

 緩斜面を構成する地層を見ることのできる露頭の存在は見つけることができませんでした。
川表の崖は竹林となっていますが危険で近寄れません。
北柏井集落の乗る段丘面背後の崖は私有地で今回は入れませんでした。

 調査位置図に示した「地表面観察」場所では耕地の土質は褐色ローム質細砂か灰色中砂でした。
ローム層起源の土壌とは異なるので普請盛土起源であることが示唆されます。

崖下人家の住民からヒアリングしたところ、「崖から凹地までの一帯は全て普請盛土であり、だから土地が肥えていると先祖から伝わってきている」との話を聞くことができました。
水はけのよい砂地の土壌の特性を生かした畑作が行われているものと想像しました。

写真2
 北柏井集落の乗る段丘面上から背後の崖を望む。

この崖を調査すれば背後の緩斜面を構成する地層を確認できる可能性があります。

 現場観察から、北柏井集落の乗る段丘面が北方向に連続していてそこに普請盛土が行われ、一見台地のような緩斜面が作られ、一部が埋め残されて大きな凹地ができたと考えました。

 3 北柏井集落の乗る河岸段丘
北柏井集落の乗る河岸段丘の構成地層を観察するために露頭を探しましたが、見つかりませんでした。
路傍や人家の庭の土質はローム、褐色細砂、褐色シルトなどでしたが、地層に由来するのか、人工的なものなのか不明です。(おそらく地層由来ではあるが、人工的に撹拌されたものと現場では感じました。)

4 後谷津北側の河岸段丘
写真3は後谷津北側の河岸段丘の全景写真です。
写真3
後谷津北側の河岸段丘

 段丘端から北側を見た風景です。画面左側が花見川です。
地形面としての高さは花見川対岸の北柏井集落の乗る河岸段丘より2mほど高く、高位の段丘として捉えることができます。
段丘上の耕地の土質は手前から細砂やシルト、ローム、ロームと砂の混合と帯状に変化するので、段丘面の構成地層とその上の普請盛土の存在を推測できます。

 この段丘の構成地層を観察できる可能性のある場所が露頭2です。
露頭2

露頭2では、露頭下の地面に上層より固結した砂層があり、露頭崖には固結していない褐色の細砂・シルトが観察でき、その上にロームがあります。
ただ、露頭は笹などの植物に覆われ、私有地で植物を剥ぐわけにもいきませんので、最初の観察ですから無理はしませんでした。
土地関係者の了解を得てから、本式調査をしたいと思います。

柏井付近の河岸段丘地形面を構成する堆積物を直接観察できる貴重な露頭だと判断しました。

褐色の未固結細砂・シルトが段丘堆積物であると考えました。

露頭断面で堆積状況を観察できれば、段丘堆積物の特性情報が入手できると思います。

露頭1

 露頭1は川表の崖で段丘堆積物を観察できる位置にあります。
実際に観察できたものは上から崩落してきたと思われる砂質ロームです。崖の観察を子細に行えば段丘堆積物を観察できるかもしれません。

 5 後谷津北側の河岸段丘の東の台地
後谷津北側の河岸段丘と南柏井共同墓地に挟まれた台地は、その標高が24~26mで付近より低くなっています。
この台地の露頭付近の状況を次に示しました。

露頭3

 この露頭ではローム質砂などが観察できますが、層構造を確認できません。逆に近くに貝混じりの砂などがあり、露頭全体が普請盛土であるという感じを強く受けます。
露頭が急崖であるため最初の調査でそれ以上の十分な観察ができませんでした。
今後の調査で正確な情報を得たいと思います。

地形分類図(予察図)と異なり、現地調査では、この露頭から、台地の一部が河岸段丘上に築かれた普請盛土であるかもしれないという考えを持つに至りました。

 6 現地調査結果により想定した河岸段丘面の分布
現地調査の結果、次に示す河岸段丘の分布を作業仮説として考えるようになりました。
露頭観察調査を繰り返し行い、正確性と情報の増大を図ることにより、この作業仮説を検証したいと思います。
河岸段丘面の分布(一部)(仮説)

普請盛土に覆われて隠れてしまった部分を想定復元して作成した古柏井川河岸段丘面の分布図(一部)です。

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