2011年11月3日木曜日

地形面の検討

花見川河川争奪を知る32 花見川河川争奪の成因検討3 クーラーの説7

2011年10月31日記事「4期地形の把握とわかったこと」の続きです。

次の図は地形分類図(1949年時点)を現代のDMデータにオーバーレイしたものです。
弁天橋付近の地形分類
DMデータは千葉市提供


アの平坦面は勝田川の河岸段丘で、oryzasan氏のコメントの付図では千葉第Ⅰ段丘と千葉第Ⅱ段丘に区分されています。
八千代市の歴史資料編自然Ⅱでは上位段丘をTP段丘面(東京軽石層を含む武蔵野ローム層以上を乗せる)、下位段丘をAT段丘面(姶良Tn火山灰を含む立川ローム層上部をのせる)としています。
空中写真を実体視するかぎり二つの地形面に区分できるような段差や斜面はみつからないで、標高10mから16mまでの、だらだらした緩勾配の平坦面になっています。
もしこのアの平坦面がoryzasan氏のいうように2つに区分できると、柏井付近の段丘面対比に好都合になるような気がしています。


イの細長い平坦面と背後の小崖は現在埋め立てられて観察できません。
1949年空中写真では明瞭に観察でき、アの平坦面に連続しています。
その様子は過去の地形図で、埋立が進んでいますが、現在と比べればある程度はっきりとその存在を確認できます。
この細長い平坦面と崖の存在は、勝田川の千葉段丘を作った河川に支流が流入していたことを示しています。
古柏井川の存在と規模や形状を示す材料1です。


ウの緩斜面の存在は盛土によってその下部が隠されていますが、谷地形の存在を暗示します。
谷地形の存在を想定して初めてこのような緩斜面の説明が可能になると思います。
古柏井川の存在と規模や形状を示す材料2です。


エの急斜面は谷壁を示します。
この谷壁が流入支谷のものであるのか、本川の谷壁の一部であるのかは今後検討する必要があります。
DMデータから谷壁の最低点の標高が17.1mであり、それより低い場所に本川谷底面があったことは確実です。
古柏井川の存在と規模や形状を示す材料3です。

柏井橋付近の地形分類
DMデータは千葉市提供


オの急斜面と背後の緩斜面は流入支谷を示します。
下部は盛土によって隠されていますが、DMデータから谷壁の最低点の標高が18.41mであり、それより低い場所に本川谷底面があったことは確実です。
この支谷の方向が北を向いており、本川も北を向いて流れていたことを暗示します。
古柏井川の存在と規模や形状を示す材料4です。


カの河岸段丘(標高14m~16m)はその分布形状から前谷津の水流で形成されたことは確実です。
そして、北方向に流れた水流で形成されたことを強く示唆します。
谷全体の等高線も南にではなく、北方向に向かっていることが示されています。
段丘の北側は盛土で隠されています。
古柏井川の存在と規模や形状を示す材料5です。


キの河岸段丘(標高14m~18m)はその分布形状から花見川の本流筋で形成されたことは間違いありません。
その分布形状をよく見ると、前谷津の谷壁によって切られているように見えます。段丘形成後、その地点で流れを南転させるる前谷津の水流によって切られたという印象を受けます。
古柏井川の存在と規模や形状を示す材料6です。

柏井橋~花島付近の地形分類
DMデータは千葉市提供


クの段丘は標高が16m~20であり、それ以外の段丘より一段上にあります。
カやキの段丘と対比される高さの段丘と小崖で接しているところもあります。
河岸段丘には2面あることが暗示されます。
古柏井川の存在と規模や形状を示す材料7です。


ケの緩斜面は小崖で境されながら低位の段丘や高位の段丘に接しています。
河成の浸食斜面のように捉えることができます。
古柏井川の存在と規模や形状を示す材料8です。


コの河岸段丘(標高12m~16m)存在をカやキの河岸段丘存在と一連のものとして(連続するものとして)捉えることが自然です。
コの河岸段丘はカやキの河岸段丘の上流にあたる部分として捉えることになります。
その場合高度が逆転しますから、地殻運動の影響を考慮しなければ説明できません。
古柏井川の存在と規模や形状を示す材料9です。



以上のア~コに示した9つの材料から、特にイとカの材料を中核理由として、花島付近から、前谷津・後谷津を合流して北流し、勝田川に合流する古柏井川の存在は確実であるといえます。
時代を知ることにも手が届きつつあると思います。

河川争奪存在の原理的証明は、地形的情報を集めた結果、完了したと思います。

その規模や形状の復元はさらに作業を進めれば詳らかになります。
わかりやすい平面図や断面図で表現する必要があると思います。

地形面の対比は、堆積物を観察し火山灰をキーとすれば、正確にできると思います。
そうなれば、時間の概念も導入できて、編年ができると思います。

勝田川の河岸段丘である千葉第Ⅰ段丘、千葉第Ⅱ段丘に、柏井付近の高位段丘と低位段丘が対比されるような結果になれば、美しいのですが。

柏井、花島付近に河岸段丘が発達する理由は、そこが河川争奪の現場だからです。近隣の東京湾側V字谷に類似するような河岸段丘はありません。

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