2014年9月24日水曜日

交通・交易の証拠となる出土物

原始・古代関係図書を読む 10

1 チェックリスト
印旛の原始・古代-縄文時代編-(財団法人印旛郡市文化財センター、平成16年)の遺跡事例を読みながら、そこに交通・交易の証拠がどの程度あるのか考えています。

次のようなチェックリストをつくり、この図書の遺跡記述を整理してみることはあまり時間を要しないと思います。

●交通・交易の証拠となる遺構、遺物
・交通施設(道路跡、船着場跡、・・・)
・交通手段(舟)
・運搬具(担ぐための籠みたいなもの)
・荷物となって外部から運ばれてきたもの、運ばれていく可能性のあるもの(石器(素材)、土器をはじめとする生活用品、装身具、祭祀用具、貝、他)

2 西根遺跡
次の西根遺跡では川沿いに土器集中場所が見つかっているとのことです。土器個体数は約1200で7箇所に集中しているそうです。

西根遺跡
印旛の原始・古代-縄文時代編-(財団法人印旛郡市文化財センター、平成16年)より引用

西根遺跡
印旛の原始・古代-縄文時代編-(財団法人印旛郡市文化財センター、平成16年)より引用

この場所(印西市戸神川谷底、当時の流路のほとり)では、完形個体を順次平面的に据え置いたような状況が想定されると記載されています。祭祀用土器は全くでていないそうです。

この遺跡が何のための場所であったかという記述は全くありません。

飾り弓の出土から、近くに漆文化があったという推測が書かれています。

素人考えでは、船着場の交易ヤードのようにしか見えません。
縄文時代の港の姿を示しているように感じます。

遺跡存在場所が旧石器時代狩人の移動ルートが最初に香取の海に到達する場所であり、また、多数の土器と1点の飾り弓が交易の姿を暗示していることから、この遺跡から強い刺激を受けましたので、次の記事で自由な想像レベルの検討をします。

3 千代田遺跡
次の千代田遺跡(四街道市の台地上)では鹹水産の貝を主体とする貝塚が発見されています。
千代田遺跡
印旛の原始・古代-縄文時代編-(財団法人印旛郡市文化財センター、平成16年)より引用

「印旛沼南岸の遺跡において、鹹水産の貝が主体となる大規模な貝塚が形成される遺跡は皆無であり、東京湾沿岸地域と印旛沼南岸地域の関係性を考えるうえで多くの情報を有する遺跡である。」と記述されています。
生貝が交易によって東京湾沿岸から内陸に運ばれた結果だと思います。

この遺跡にどの場所で採れた貝がどのルートで運ばれたか、興味が湧きます。

0 件のコメント:

コメントを投稿