2014年9月30日火曜日

遺跡密度図による縄文交通路パターン作業仮説の作成

花見川地峡史-メモ・仮説集>3花見川地峡の利用・開発史> 3.1埋蔵文化財データに基づく地域特性基礎検討>3.1.34遺跡密度図による縄文交通路パターン作業仮説の作成

1 遺跡密度図(ヒートマップ)から当時の交通路パターンイメージを原理として取得できる
遺跡密度図(ヒートマップ)から得られる有力情報の1つとして、その時代のおおよその交通路パターンの推測ができることに気がつきました。おおよその交通路パターンのイメージをもつことができるのです。

2014.09.26記事「西根遺跡について(資料閲覧前考察)」では「枝村俊郎・熊谷樹一郎(2009):縄文遺跡の立地性向、GIS-理論と応用vol.17 no.1」掲載縄文遺跡密度図から関東-東北交易路を推測しました。

縄文遺跡連担状況から想像する縄文時代の関東-東北交易路
「枝村俊郎・熊谷樹一郎(2009):縄文遺跡の立地性向、GIS-理論と応用vol.17 no.1」

この地図は、もし関東と東北の間に交易路があるとすれば、大局的にみれば、それは必ず縄文遺跡が連担しているルートに存在しているに違いないという考えのもとに描いたものです。

現代において交通路(道路、鉄道、航空路、航路)は都市地域・産業集積地を結ぶことによって成立しています。逆に、全ての都市地域・産業集積地はその大小にかかわらず必ず交通路で結ばれています。
この交通路と都市地域・産業集積地との関係から、交通路そのものの情報がなくても、都市地域・産業集積地の情報があれば交通路パターンのおおよその姿をイメージすることができます。

原始・古代にあっても全く同じ考えをとることができます。
原始・古代においても交通路(陸運路、水運路)は当時の集落や生業地を結ぶことによって成立していたことに間違いありません。逆に、全ての集落や生業地はその大小にかかわらず必ず交通路で結ばれていたことに間違いありません。

従って、原始・古代の集落や生業地の情報があればおおよその交通路パターンをイメージすることは、原理的にできるのです。

今、原始・古代の集落や生業地の情報は遺跡情報として存在しています。そしてその遺跡情報から遺跡密度図を作成すれば、その時代のおおよその交通路パターンをイメージすることは、原理として出来てしまうのです。

遺跡密度図さえあれば、だれでも、特段の分析や知識を必要としないで、交通路パターンをイメージすることが出来るのです。

交通路そのものの遺跡が見つかることは稀だと思いますが、遺跡密度図はその精粗を別にすれば任意に設定する時代毎につくることができます。そして、その時代毎に交通路パターンの推測ができてしまうのです。

原始・古代の交通路検討の有力ツールを発見したことになります。
遺跡密度図(ヒートマップ)という交通路検討の有力ツール発見はこのブログにとって画期的な出来事です。

2 遺跡密度図(ヒートマップ)から交通路パターン作業仮説を設定する
遺跡密度図(ヒートマップ)からイメージできる交通路パターンはあくまでも推測情報です。
この推測情報を作業仮説として設定して、それを実際の交通路検討に使えば、既存遺跡意義の再検討、交通遺跡の新発見等に活用することが可能だと思います。

このブログの範疇をはるかに超えていますが、もし全国を対象に縄文時代の交通路パターンを検討することがあるならば次のような作業仮説を立てることができると思います。

縄文遺跡密度図から作成した交通路パターン作業仮説(ar2014093001)
「枝村俊郎・熊谷樹一郎(2009):縄文遺跡の立地性向、GIS-理論と応用vol.17 no.1」掲載縄文遺跡密度に加筆

※ このブログにおける作業仮説を管理するために、今後記述する作業仮説に記号を付けます。
ar2014093001→ar(作成者の記号)2014093001(西暦2014年9月30日に作成した作業仮説のうち1番目)

3 千葉県北部の縄文時代交通路パターン作業仮説
縄文時代といってもその時期(草創期、早期、前期、中期、後期、晩期)によって社会の様子が大きく異なるのですが、手元にある情報はそれらの時期区分をしていないものしかないので、仕方なしに縄文全期をひとくくりにして、交通路パターン作業仮説を作成してみました。

千葉県北部の縄文時代交通路パターン作業仮説(ar2014093002)

陸運路と水運路及びその接合点であるミナトを概念的に描いてみました。ミナトは西根遺跡以外はまだ具体的遺跡に対応させて考えていません。また、陸運路と関係しないミナトも省いてあります。

この類の作業仮説は、いろいろな事実の認識が進めば新しい仮説に取って変わるもので、いわば肥やしみたいものです。ですからこの作業仮説は人前に出すのははばかり、個人だけで、密かに、何食わぬ顔で使うのが本来のあるべき使い方だと思います。
しかし、このブログはいつも申し上げているように、思考プロセスの実況中継の場ですから、この作業仮説の誕生から最後の廃棄までを伝えて行きます。

この作業仮説のミナトを具体的遺跡と対応させる作業をすれば、縄文時代交通路に関する認識が急速に深まるものと展望しています。

なお、ミナトは次のようなイメージで考えています。

西根遺跡(縄文時代後期)の学習から想定しているミナトイメージ

実際の、作業仮説(ar2014093001)と具体的遺跡との対応作業は、今すぐではなく、弥生時代、古墳時代、奈良時代、平安時代のヒートマップ作成検討後に行います。

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