2016年6月15日水曜日

「~庄」地名の千葉県検索結果

1 鏡味完二の「~庄」地名に関する検討

鏡味完二の「~庄」地名に関する検討結果を参考として示します。

……………………………………………………………………
-no・syoの地名

"~庄"の地名は,荘園に関する地名である。

この地名は近畿を中心に,東西に対称的な分布の体勢をとり,西は瀬戸内の中央,東はフォッサマグナまでの間に密集して開拓地域をなし,それにつづく開拓縁辺地域は,九州の南端と仙台までの地域である。

この分布の様相から判断すれば,この地名の盛んに成立した年代は800年頃,すなわち平安初期と推定することができ,この時期は史家の研究によれば,初期荘園発達の時代である。

このように地名の分布のパータンの推定と,荘園発達の史的研究の結論とが年代的一致をみることは洵に興味がある。

〔地図篇,Fig.256〕


(Fig.22 No.8)

鏡味完二(1981)「日本地名学(上)科学編」(東洋書林)(初版1957年) から引用
……………………………………………………………………
鏡味完二は「~庄」を荘園に関係する地名としています。

2 千葉県における「~庄」地名と荘園との関係

2016.06.14記事「房総中世荘園の概略位置GISデータ作成」で作成した中世荘園GISデータと対照させるべく、千葉県の「~庄」地名を千葉県小字データベースから検索抽出しました。

「~庄」地名をアドレスマッチングでGISにプロットして、中世荘園分布図と対照させました。

その結果を次に示します。

千葉県内におけえる「~庄」地名抽出結果と中世荘園との対応(想定)

「~庄」地名分布と中世荘園との対応(想定)

「~庄」地名が12抽出されて、そのうち10が中世荘園と関わりがあると考えることができます。

「~庄」地名と荘園との関わりは千葉県では強いといえると考えます。

なお、鏡味完二は「~庄」地名を800年頃としていますが、この記事で対照した中世荘園リストの根拠となる史料はすべて12世紀以降のものです。


0 件のコメント:

コメントを投稿