千葉県小字データベースの試用を行っていて、これまで気が付かなかった疑問が浮かび上がってきましたので、メモしておきます。
この疑問は花見川流域の問題意識とは関わりはありません。
疑問 房総南端に語尾ラの小字が多い。海人(アマ)の活動に投影して検討した「エラ」「イラ」地名ともかかわるのか?
房総南端館山市の大字布良(メラ)は「エラ」地名として捉えました。
2016.06.10記事「房総南端の地名 布良(メラ)」参照
この記事を書いたころから、館山市や南房総市では小字名の語尾がラであるものが多いことに気が付きました。
千葉県内のいくつかの市町村で統計を取ってみたところ、房総南端では語尾ラの小字が多い結果になりました。
例として南房総市と千葉県北端の香取市をとり、データを比較してみます。
語尾ラの小字の比較 南房総市と香取市
語尾ラの小字の割合
上記データはいずれも、ルビ(読み)で検索しています。
二つの市を比べて、南房総市で語尾ラの割合が多くなっている様相は主に「○○原」や「○○倉」が多いことによります。
なぜ「○○原」や「○○倉」が多いのか、まだわかりませんが、次のような想念が強まっていますので、とりあえずメモしておきます。
地名に関する知識が増えれば、この疑問を解くことがどれだけ意義があるのかないのかわかり、疑問もある程度解けると思います。
房総南端に語尾ラの小字の割合が多い理由
●「○○原」の意味が原っぱの原、野原の原ではない可能性が濃厚だと考えます。
孕むとか腹という意味で、膨らんだところという地形を表現していて、生産活動の特定場面と関わる意味がある可能性を感じます。
房総南端ですから海人の活動と関わると考えることが順当だと思います。
小字の現地を調査する必要があります。
なお、香取市の「○○原」にはかなりの、原っぱの原、野原の原が混じっているように、結びついている語から感じます。
もし、千葉県内の場所の違いにより、同じ「○○原」の原の意味が異なるとすると、その識別は困難が想定されます。
●「○○倉・蔵」は建物の倉ではなく、磐座(イワクラ)などのクラであり、座る場所という意味で、つまり居住する場所だと考えます。
海人の言葉であると考えたくなります。
小字の現地を調査する必要があります。
「○○倉」も場所によって座る場所であったり、建物の倉であったりその意味が異なるとすると、その識別をどのように行うか、困難が想定されます。
一筋縄では解決できない問題に足を踏み込んでしまったのかもしれません。
しかし、房総南端に語尾ラの小字が多い根本理由を、海人が南方からそれをもたらしたと空想しているので、当面はめげないで問題意識として保持したいと思います。
語尾ラの小字の統計分析を千葉県全体を対象にして徹底して行えば、有用な情報を得ることができるかもしれません。
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