2017年4月6日木曜日

大膳野南貝塚 前期後葉集落 石器組成

大膳野南貝塚前期後葉集落の土器検討を深めたいと考えていますが、追って検討することにし、石器検討に移ります。

この記事では石器種類に組成について検討します。

前期後葉集落から出土する石器種類は製品15種類、原料剥片3種類に上り、全部で538点出土しています。

このうち石器製品15種類について次のような主な用途想定を行い学習を進めます。学習を進めていく中で、石器がどのように使われたのか知識を深め、主な用途想定を逐次修正発展させていくつもりです。

石器種類の主な想定

前期後葉集落の石器出土数をまとめると次のようになります。

大膳野南貝塚 前期後葉集落 石器出土数

石器製品種類別出土数をグラフ化すると次のようになります。

大膳野南貝塚 前期後葉集落 石器種類別出土数
グラフでは用途大分類別に色分けしています。

狩猟関連石器がメインであり、それと比べると植物採集・加工関連石器が大変少ない印象を受けます。

グラフを用途大分類別に作り直すと次のようになります。

大膳野南貝塚 前期後葉集落 石器製品分類別出土数


このグラフを見る限り、前期後葉集落の縄文人は植物採集より狩猟により多くのエネルギーを費やしていたように感じます。

本当にそうであるのか、同じ大膳野南貝塚中~後期に出土した石器出土数情報が発掘調査報告書にまとめられていますので、そのグラフを作ってみました。

大膳野南貝塚 中~後期 石器製品種類別出土数

大膳野南貝塚 中~後期 石器製品分類別出土数

前期後葉集落は中~後期と比べると確かに狩猟・動物加工関連石器の割合が極めて高いことがわかります。反対に植物採集・植物調理加工関連石器の割合が極めて低いことがわかります。

グラフから感じた第一印象、つまり「前期後葉集落縄文人は狩猟民であった」という印象はある程度首肯できることを確認できました。

なお、生業に占める漁撈の役割を石器出土数から見ることはほとんどできないこともわかりました。

中~後期集落は貝塚集落であり漁撈が生業の中で枢要な役割を果たしていたと考えますが、石器数ではそれは表現されません。

漁撈の主要な道具(丸木舟、網、籠、笊…)の材質はほとんど全て植物であったため、出土石器数から漁撈の様子を知ることは困難であると考えます。

石器原料と石器作成過程で生まれた剥片の出土数は次の通りです。

大膳野南貝塚 前期後葉集落 石器原料・剥片出土数

黒曜石剥片類が数としては多くなっています。

この傾向は中~後期でも同じです。

大膳野南貝塚 中~後期 石器原料・剥片出土数

次の記事で石器の姿を見てみます。

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