この記事は2017.12.12記事「人骨7体出土縄文時代後期廃屋墓」、2017.12.13記事「多くが女性の人骨7体出土縄文廃屋墓 追考」の続きです。
7 J74竪穴住居純貝層に存在する直線状模様
7-1 直線状模様の確認と成因推定
次の写真に見られるように人骨7体を覆う純貝層に並行する2本の直線状模様が見えます。
J74竪穴住居純貝層の中に存在する直線状模様(非純貝層) 素写真は大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用
純貝層(イボキサゴがメイン、ハマグリが客体)は白色ですが、直線状模様は黒っぽく純貝層ではありません。
純貝層は人骨の上に貝殻を撒いてできた土層です、従って模様は木製品などのモノが最初からあり、その場所に貝殻が撒かれ、貝層が出来た後貝層の中で木製品が腐りその空洞部分に泥などが溜まってできたと考えることができます。
7-2 直線状模様の位置同定
直線状模様と柱穴や人骨との位置関係を把握できるように、画像処理しました。
純貝層の平面分布図
純貝層斜め写真への平面分布図投影
平面分布図(投影)への直線状模様の転写 素写真は大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用
平面分布図(投影)への直線状模様の転写
直線状模様を転写した平面分布図の正投影
直線状模様は人骨1号と2号の間にある柱穴(cp32)と人骨3号と4号の間にある柱穴(p12)を結ぶ直線の両側に分布しているように観察できます。
7-3 直線状模様の検討
直線状模様の両端付近の柱穴(cp32、p12)を取り巻いて人骨1号・2号、3号・4号が寄り添うように分布していることから、直線状模様は次のような木製祭壇の存在によりつくられたと想像しました。
純貝層で埋まった木製祭壇(空想)
柱の両側に横木を何本も通し様々な飾りをつけたのだと思います。その横木と飾りが貝層の中で腐り、その空間に泥がしみ込んで2列の直線状模様ができたと空想しました。
この様子を写真に書き込むと次のようになります。
木製祭壇(空想)の位置と人骨との位置関係 素写真は大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用
J74竪穴住居の機能不明柱穴の多くは補助構造柱ですが2つの柱穴(1つは機能不明柱穴、1つは古段階壁柱)が祭壇用柱であった可能性が濃厚となりました。
発掘途中の貝層写真が無ければ祭壇検討は出来ませんでした。
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