2018年6月20日水曜日

下総縄文人の画期的発明 神聖純白固化材-漆喰

大膳野南貝塚後期集落から多出する竪穴住居内漆喰炉・漆喰貼床、屋外漆喰炉の意義について感じていることをメモしておきます。

1 漆喰の意味についての発掘調査報告書の記述
大膳野南貝塚発掘調査報告書ではじめて白色粘土状物質が貝を素材とする漆喰であることが明らかになりました。これは大膳野南貝塚発掘調査の特筆すべき成果です。一方、発掘調査報告書では漆喰出土の意味について次のように記述しています。
漆喰が何を目的として精製され、どのような理由で炉に使用されたのかといった根源的な問題点については明確な回答を導き出せていないのが現状であり、その解明にあたっては今後の研究課題とせざるを得ない。

2 漆喰に関する意味 メモ
ア 漆喰は破砕貝(純白パウダー)とともに下総縄文人が発明した純白性(すなわち神聖性)を具備した製品で、破砕貝と異なる点は固化材であることです。
イ 漆喰は純白性(神聖性)を有する固化材ですから、祭祀が行われる空間の炉や床などの「建材」として使われたと考えます。
ウ 漆喰を使った(使うことが許された)のは漁労に関わった集団だけであったと考えられます。
エ 漆喰炉を日常生活で使っていると汚れが目立ち純白性が減じるようになるので、祭祀活動を滞りなく実行するために炉維持管理活動が行われたと考えられます。その維持管理活動が炉内面の漆喰上塗りです。漆喰上塗りが行われることにより内面の純白性が再び復活したと考えます。繰り返し漆喰上塗りが行われた結果、炉は徐々に埋まっていったと考えられます。この結果、発掘時の炉断面には漆喰の積層が観察されます。
オ 漆喰は漆喰炉で製造されたと考えます。
カ 柄鏡形(敷石)住居の「敷石、石組炉」と「漆喰貼床、漆喰炉」は素材は異なりますがその意味は同じであると考えます。「漆喰貼床、漆喰炉」は石の入手が困難な下総ならではの画期的発明であったと考えます。

漆喰貼床
大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用

漆喰炉
大膳野南貝塚発掘調査報告書から引用

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