2022年3月30日水曜日

加曽利E式土器学習 これまで これから

 Kasori E-type pottery learning so far and from now on


Looking back on the past (last 4 years) of Kasori E-type pottery learning that I am currently working on, I looked forward to future activities. Figuratively speaking, I move from basic learning to applied problem learning.


現在取り組んでいる加曽利E式土器学習のこれまでをふりかえり、これからの活動を展望しました。

1 縄文土器学習スタートで重なった好条件

縄文学習を進める中で縄文土器学習はあまりに重たく感じて真正面から取り組むことを長い間ためらっていました。しかし、いろいろな学習経緯や専門家アドバイスを受ける中で、2019年1月に縄文土器学習開始を決断しました。

2019年1月9日記事「縄文土器学習の開始

ラッキーなことにこの時期に加曽利貝塚博物館で平成30年度企画展「あれもE これもE -加曽利E式土器(千葉市内編)-」が開催されていて、その展示土器を学習素材とすることができました。

また、フォトグラメトリーに興味を持ち出したこともこの時期で企画展終了後に許可を得て展示土器の撮影をして3Dモデルを作りました。

幸先のよい縄文土器学習スタートが切れたと思います。

その後加曽利貝塚博物館では令和元年度企画展「あれもE… (印旛地域編)」、令和2年度企画展「あれもE… 北西部地域編」、令和3年度企画展「あれもE… 千葉市編2」と加曽利E式土器に関する企画展展示が続き、継続して多数の加曽利E式土器を体系的に観察することができ、学習を深めることができました。まことに幸運です。

同時に、フォトグラメトリーソフト3DF Zephyr Liteを使った展示土器3Dモデル作成にも習熟して土器観察をより詳細正確に行えるようになりました。さらに3Dモデル展開ソフトであるGigaMesh Software Frameworkに出会うことができました。展示土器を3Dモデルで、さらにそれを平面展開して観察できるようになったことは特筆して幸運であった出来事です。

2 学習経緯

2-1 平成30年度企画展と加曽利E式土器学習


平成30年度企画展の様子


平成30年度企画展のパンフレット

開催期間:2018年11月~2019年3月3日

企画展を5回観覧。企画展展示加曽利E式土器の観察結果に関する記事多数をブログに掲載しました。また展示土器の3Dモデルを作成しました。加曽利E式土器に関する加曽利貝塚博物館主催研究講座を数回聴講しました。

2-2 令和元年度企画展と加曽利E式土器学習


令和元年度企画展の様子


令和元年度企画展のパンフレット

開催期間:2019年11月~2020年3月

企画展を3回観覧。企画展展示加曽利E式土器多数について観察記録3Dモデルを作成して観察し、その結果を多数記事にしてブログに掲載しました。3Dモデルの展開をGigaMesh Software Frameworkで行い、文様を考察しました。加曽利E式土器に関する加曽利貝塚博物館主催研究講座を数回聴講しました。

2-3 令和2年度企画展と加曽利E式土器学習


令和2年度企画展の様子


令和2年度企画展のパンフレット

開催期間:2020年11月~2021年3月

企画展を5回観覧。企画展展示加曽利E式土器多数について観察記録3Dモデルを作成しさらにGigaMesh Software Frameworkで展開して詳しく観察しました。観察結果多数を記事にしてブログに掲載しました。加曽利E式土器・中峠式土器に関する加曽利貝塚博物館主催研究講座を数回聴講しました。

2-4 令和3年度企画展と加曽利E式土器学習


令和3年度企画展の様子


令和3年度企画展のパンフレット

開催期間:2021年11月~2022年3月

企画展を3回観覧。企画展展示加曽利E式土器多数について観察記録3Dモデル作成用撮影を行い、現在3Dモデルを作成途上です。作成した3DモデルはGigaMesh Software Frameworkで展開して詳しく観察しています。観察結果は記事にしてブログに掲載しています。加曽利E式土器に関する加曽利貝塚博物館主催研究講座を2回聴講しました。

3 作成した加曽利E式土器と関連土器の3Dモデル

企画展展示加曽利E式土器と関連土器でこれまでに作成した3Dモデルは次の通りです。(集成3Dモデルも含まれています。また一部重複があります。)


中峠式土器


加曽利EⅠ式土器


加曽利EⅡ式土器


加曽利EⅢ式土器


加曽利EⅣ式土器


加曽利EⅤ式土器


称名寺式土器

4 学習内容

4-1 これまでの学習内容

縄文土器学習を始めた2019年1月時点では縄文土器に関する知識は「皆無」であったといって過言ではない状況でした。そのような状況でスタートした学習であったため、次のような視点でこれまで学習を進めてきました。

ア 多数の縄文土器をより詳しく観察する

多数展示されている縄文土器を単に見るだけ、あるいは数枚の写真をとるだけでは自分の印象になにも残りません。そうした無知識の自分にとって、多数写真を周回撮影して3Dモデルを作成し、それをGigaMesh Software Frameworkで展開して文様を観察するという作業は土器観察をしっかり行う、詳しく行うという点でとても優れた方法です。3Dモデルとして画面上でいじくることができます。現物土器を手に取ってアーダコーダと観察する専門家の活動を疑似的に行っていることになります。3Dモデルを作成することにより、しないよりははるかに深い観察が出来ていることを実感しています。

イ 基本的な土器型式分類を確認する

これまでの学習は加曽利貝塚博物館の学芸員の方が分類した土器型式やその説明を吸収する立場から学習してきました。右も左も判らないので、「加曽利EⅡ式土器の特徴はコレコレ」という説明を現物土器で「そうなんだ、確かに。」と確認することが主な学習活動でした。正解のある問題を解くというレベルの文字通りの学習です。

ウ 土器型式変化の大勢感を理解する

アとイの活動を展開する中で、中峠式土器→加曽利EⅠ式土器→EⅡ→EⅢ→EⅣ→EⅤ・称名寺式土器という型式変化の大勢感を得るように学習を進めました。それはある程度出来てきたように感じます。ちんぷんかんぷんの外国語がいつの間にか少しだけ理解できるようになったような感覚だと思います。

4-2 これからの学習内容

これまでの活動でいわば「基礎学力」がついてきたので、これからは「応用問題」に取り組むことが肝要であると考えます。次の学習活動を展開することにします。

ア これまでに得た加曽利E式土器関連情報の整理

ア-1 加曽利E式期とその前後期の土器型式に対応する絶対年代年表の作成

・諸説の比較

ア-2 土器型式別特徴の整理(大きさ、器形、文様等)

・3Dモデルの活用

・GigaMesh Software Frameworkによる展開図の活用

イ これまでに学習してきた問題意識の整理

これまでの縄文土器学習で様々な感想や仮説をメモしてきましたが、これらを整理して、今後の学習で利用できるものを確認します。

・これまでの加曽利E式土器関連ブログ記事の通読と分析。

ウ 土器型式変化と関連する要因の推測

・土器型式変化と社会変化の関係を分析するために、どのような項目が関連するのか予察します。

エ 令和4年度企画展「あれもE…」の観覧学習

・2022年11月から始まる加曽利貝塚博物館令和4年度企画展「あれもE…」の観覧学習を行います。

4-3 当面の学習活動

ア 加曽利貝塚博物館令和3年度企画展「あれもE…千葉市編2」で撮影した土器の3Dモデル作成

イ 3-2の項目イの取組(過去記事通読分析)

ウ 3-2の項目ア-2の取組(土器型式別特徴の整理)


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