2022年3月13日日曜日

アワビの太陽光反射観察

 Observation of abalone's solar reflection


In order to examine the significance of the processed abalone excavated from the Daizennominami shell mound outdoor furnace, I conducted an experiment to reflect the direct sunlight on the abalone (modern product) and observe it. The interference color reflected light of the direct sunlight is so strong that it cannot be observed with the naked eye, and when it gets wet, the interference color reflected light becomes stronger. Imagine that this property is related to abalone as a totem.


縄文時代後期の大膳野南貝塚野外炉から出土したアワビ加工品の意義について興味があります。その検討のためにアワビ(現生品)に太陽直射光を反射させる実験を行い観察しました。太陽直射光の干渉色反射光は肉眼で観察できない強さであり、濡れるとさらに干渉色反射光が強くなることを体験できました。

1 アワビ(現生品)の太陽直射光反射

内面が磨かれた長径12.5㎝のアワビ(現生品)に太陽直射光を反射させ、その様子を観察しました。


アワビ(現生品)に太陽直射光を反射させた様子 1


アワビ(現生品)に太陽直射光を反射させた様子 1

乾燥した内面と濡れた内面の双方を観察しました。

観察結果

1) 肉眼では反射光本体を観察できない

アワビ内面に太陽直射光を反射させると全体が干渉色に輝きますが、反射光本体そのものを肉眼で観察することはできません。鏡に写った太陽光が強すぎて肉眼では観察できないのと同じ原理で、反射光本体は観察できません。アワビ内面は鏡と同じ反射機能を有していることを肉体的に体験できました。反射光本体は観察できませんが、周辺部全体はピンクとグリーンの干渉色に輝きます。

肉眼では見ることができないレベルのアワビ内面反射光の強さが、写真ではあたかも見えるように表現されていることも、今回確認しました。

2) 濡れると反射光がより強くなる

乾燥したアワビ内面より濡れたアワビ内面の方が反射光がより一層強くなることを確認できました。周辺部のピンクとグリーン干渉色もより強く輝きます。


アワビ(現生品)の太陽直射光反射の様子

2 メモ

両手で持ったアワビで太陽直射光をあたかも鏡のように反射させることができます。その反射光は強すぎて肉眼では見ることができません。つまり太陽光を人が手で操作できるということになります。同時に肉眼で見える周辺部はピンクとグリーンの美しい干渉色に輝きます。このような鏡類似反射機能を具備したモノ、干渉色に輝く手のひらサイズ大きさのモノは縄文時代には稀有であったと考えることができます。

このようなアワビの光学的特性がトーテムとしてのアワビ(アワビ信仰)と密接に関係していたと考えます。

3 参考 関連記事

2022.01.26記事「大膳野南貝塚出土アワビ加工品について

2021.12.24記事「真珠干渉色に輝く大形アワビ(千葉市大膳野南貝塚)を3Dモデルで観察する

2022.01.31記事「アワビ殻の入手



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